翌日、あまり寝てないせいか少し熱っぽい感じでボーっとしていた


和浩も目をさまして少し遅めのご飯を食べた


それから部屋に戻ってどう切り出そうかと考えていたら胸がつぶれそうなくらいキューっとなって話し出す前に泣き出してしまった


和浩は私が泣き出したことに気づいて慌ててた


「おい、どないしたんや?」



「なんでもない」



「なんでもなくて泣くことあるか 何かあんねやろ?」



このことで話しやすくなったのは確かだった こんな時自分のズルさを感じて嫌になる



「…… あのね、昨日の飲み会でHさんに結婚する前に一度考えてみろって言われたんやんか 和浩、なんか私に隠してることとかあんの?」



「はぁ?? お前何言ってんの Hも何考えてそんなん言うてんやろな」



「そんなん知らんよ 知らんし意味わからんから和浩に聞いてんねん」



「俺にもわからん 隠してることなんかないって お前が納得いかへんねやったら今からHに電話したろか?」



「もう… ほんまに意味わからん」



ここまで話したら和浩が「こっちおいで」って抱っこしてくれた


喧嘩したらいつも抱っこされて仲直りしてたから


でもね、話してる時に和浩が慌ててる事、嘘をついてる事…わかったんだ


Kは嘘つくと右の耳をさわる癖があったから


人より大きな眼をしてるから黒目が泳いでるのもすぐわかるんだ


抱っこされながら、もっと悲しくなって号泣した


一旦落ち着いてから和浩がちょっと出かけよか?と切り出しドライブした


私は海の多いところで育ってるから海が大好きで、地元でもひとりで海にでかけたりしていた


和浩はそれを知ってるから海を見に車で1時間ほどかけて連れていってくれた


その間の会話はあまり覚えていないけど運転してる和浩の横顔が動揺をかくしきれてなかった


しばらく海でぼんやりして、それから帰りにHさんの家に行った


Hさんは既に結婚して子供も一人生まれていた


夕飯時だったんで、和浩はHさんを外に呼んで何か話してた


私は車の中で待ってた


話が終わったらしくHさんも一緒に車まで来て「昨日は酔ってたからごめんな 気にせんとってや」と謝られた


和浩はHさんに「呼び出して悪かったな」と声をかけて車に乗り込んだ


頭の中で変な虫が飛び回ってる様な、そんな感じがして眩暈をおこしそうになった


だってこんな事で納得できるわけない 


長年Kのこと好きで和浩の事を見続けたわけだし、嘘をつき通せないこの人の性格もわかってる


私の勘が私に話しかけていた


(間違いなく和浩は何か隠してる)



帰り道、もう遅くなったので外でご飯食べて帰る事にした


食べてる間は穏やかに、楽しく話をしようと心がけていたけどその時も何を話したか覚えていない



帰宅してからもう一度話した


「ねぇ、しつこいようだけどほんまに何も隠し事ないよね?」


「お前Hんとこまで行ったやんか まだ疑ってんのか?」


と逆ギレ寸前


仕方ない 和浩から話さない限り進展はなさそうだった


再来月には結婚式 今回はっきりさせないと、結婚なんてできない


この日はもうその話には触れなかった



が、そのままにできるわけもない



翌日、私も腹をくくっていた


(何を聞いてもいい 全てクリアにしたい)


和浩と喧嘩になるかもしれない。でも黙ってたらいけないって…




お昼を過ぎたころ、私が納得するまで話をしたいと言って話し合いをはじめた



「あのね、私は和浩の事大好きやしあんた以上に好きになる人はいないって自信があるねん 私も念願かなってやっと和浩と結婚前やん? でもな、今回のことハッキリしな結婚に対して躊躇してまうねん だからきちんと話しよ」



和浩は黙っていた


生まれてはじめてこの言葉を使った。それ以降使ったこともないけど


「私も聞きたくない事だと思うし和浩も話し辛いかもしらんけど 私も心を鬼にして聞くつもりやからきちんと話して」



和浩は下を向いて唇を震わせていた



そして和浩が話した内容…



事態は私が思ったよりも悪かった