何十人もの
大人たちが向かい合い
それぞれ対面の相手と
両手を握り合っている
ロンドン橋が連なったような
腕の道
先生は一人ずつ
子供をスーパーマンのような
体勢にさせ
腕の道に乗せる
腕の道は波立ち
徐々に子供を
反対側の岸まで泳がせる
興奮している子供たちが
まだかまだかと奇声をあげながら
自分の番を待っている
父兄たちも
自分の子供が流れてこないかと
満遍の笑みで腕の道を動かし続ける
列の後ろで
その光景を目の当たりにした時
3歳の私は頭が真っ白になった
怖い
いつか自分の番がくるのだと
理解出来た時
列から走って逃げた
だぁーめっ!
楽しいよ~っ
先生ががっちりと捕まえ
私を抱き込む
それでも必死に暴れていると
体が宙に浮いた
悪い子は先に流しちゃいましょう!
知らない大人たちの笑い声と
知らない大人たちの顔が
次々と私を覗き込む
泣きわめきながら
腕の道の上で暴れ
流されていく
気付くと
園で飼育している
クジャク小屋の前に
座っていた
怖かったと何度も
クジャクに話かけている
遠くで賑やかな声が
さようならと言っている
私はクジャクから目を離さなかった
しばらくしてから
父か母が迎えにきて
静かになった後の園を
出た記憶がある
腕の道に父か母はいただろうか
その時の記憶は強烈で
いまだに
ふと思い出すことがある
クジャクは薄暗いケージの中で
優雅に歩いていた
青い体がとても綺麗で
目の合わぬクジャクの目を
じっと見ていた
今でも心を落ち着かせたい時
その時見ていたクジャクの
綺麗な青い顔を思い出す