-第11章-
1月13日、Yamatoは人の声で目が覚めた。
どうやら、隣のリビングに彼の両親がもう起きて何かを話しているようだ。
朝食は、昨日ザ・リッツ・カールトン大阪で買ってきたパンだ。
目玉焼きやベーコン、紅茶と共にパンを食べた。
おいしかったのだが、東京でおいしいパン屋をいろんな人に紹介されて
食べている彼としては、そっちの店の方がおいしいかもなと思っていた。
朝はのんびり過ごしながらも、シャワーを浴びたりしながら出かける準備をする。
今日は、両親と一緒に千里中央まで歩いていって、おいしいカツサンドを
食べようということになっていた。
(わざわざカツサンドを食べに行こうなんておもしろいこというな)
そう彼は、考えていたが、この旅の目的は親孝行。当然、なんの問題もない。
千里中央までは歩いて35分くらい。
一人で歩いたら25分で行けるかもしれない。しかし、彼の母親は大阪人にしては
歩くのが遅い。東京では普通なのだが。
3人で千里中央まで歩いていたときに彼はふと思っていた。
(この2人は同じペースで歩くようになったんやな)
彼が幼かった頃、妹はもっと小さかった頃、4人で遊園地に行ったり、
買い物に行くと父の歩くペースが速く、私はそれについていっていたが、
妹と母はついていけず、いつも2対2でばらばらになっていた。
彼はほかのことも考えていた。
彼の妹が生まれたのが父親が30歳のとき。彼は今年30になる。
しかし、まだ結婚しようとは思っていなかった。
ずいぶんと生き方が違っている。
「結婚か・・・」
彼はそのことを考えると、胸がズキリとする。
彼に"約束"を、"約束"の大切さを教えてくれた人。その人との約束を守れなかったからだ。
「Yamatoのお嫁さんを見るまでは、長生きしなきゃね」
「うん、おばあちゃん、それまで元気で長生きしてね」
子供の頃からずっと、何回も繰り返したこの会話。この約束。
ついに果たすことができなかったこの約束。
彼が1年強通った中学校を横目に、他愛もない話をしながら3人は歩いていく。
いつもの格好をしながら歩いていると少し汗ばむくらいいい天気だった。
千里中央の近くは、緑もまだまだ多い。そんな中、新しいマンションも
数多く建てられていた。建築中のマンションも多い。
このあたりは、30年ほど前「千里ニュータウン」として開発のことが教科書にも
載ったような場所だ。その場所もだいぶ古くなってきたので、再開発をしているのだ。
そのカツサンドの店は、千里中央の駅のモールにある。
いや、カツサンドの店というのは正確ではない。喫茶店だ。
店名はニューアストリア」
カフェではない、「喫茶店」だ。もう、何十年もやっているのだろう。
聞いたところでは、母親が学生の頃に来ていたと言っていた。そんな店だ。
しかし、お昼前に行くと、並んでいる。みんなカツサンドが目当てのようだ。
少し並んで、店に入る。カツサンド(野菜入り)とアイスミルクティーを頼んだ。
出てくるミルクは、いわゆるミルクじゃない。フレッシュだ。
「うわ、フレッシュや。フレッシュ入れなんて見たん、何年ぶりやろ」
彼は思わずそう言っていた。
出てきたカツサンド、とてもおいしそうだった。
まずは、写真を撮って口にほおばる。
「めっちゃうまい!」
人気がある理由が納得できた。
満足して、店を出た後、夕飯の買い物をし、おやつに和楽路屋で
持ち帰り用のたこ焼きを買って、また歩いて家まで戻る。
マンションの近くまで戻り、そのままケーキを買いに行く。
マンションのすぐそばに割と新しいが、有名なケーキ屋がある。
「ムッシュ・マキノ」というケーキ屋だ。
そこは、シュークリームが一番有名らしいが、以前テレビで取り上げられてから
すぐ売切れてしまうらしく、夕方前に行ったときにはもうなくなっていた。
結局、ケーキを3種類選び、家に帰った。
1月13日、Yamatoは人の声で目が覚めた。
どうやら、隣のリビングに彼の両親がもう起きて何かを話しているようだ。
朝食は、昨日ザ・リッツ・カールトン大阪で買ってきたパンだ。
目玉焼きやベーコン、紅茶と共にパンを食べた。
おいしかったのだが、東京でおいしいパン屋をいろんな人に紹介されて
食べている彼としては、そっちの店の方がおいしいかもなと思っていた。
朝はのんびり過ごしながらも、シャワーを浴びたりしながら出かける準備をする。
今日は、両親と一緒に千里中央まで歩いていって、おいしいカツサンドを
食べようということになっていた。
(わざわざカツサンドを食べに行こうなんておもしろいこというな)
そう彼は、考えていたが、この旅の目的は親孝行。当然、なんの問題もない。
千里中央までは歩いて35分くらい。
一人で歩いたら25分で行けるかもしれない。しかし、彼の母親は大阪人にしては
歩くのが遅い。東京では普通なのだが。
3人で千里中央まで歩いていたときに彼はふと思っていた。
(この2人は同じペースで歩くようになったんやな)
彼が幼かった頃、妹はもっと小さかった頃、4人で遊園地に行ったり、
買い物に行くと父の歩くペースが速く、私はそれについていっていたが、
妹と母はついていけず、いつも2対2でばらばらになっていた。
彼はほかのことも考えていた。
彼の妹が生まれたのが父親が30歳のとき。彼は今年30になる。
しかし、まだ結婚しようとは思っていなかった。
ずいぶんと生き方が違っている。
「結婚か・・・」
彼はそのことを考えると、胸がズキリとする。
彼に"約束"を、"約束"の大切さを教えてくれた人。その人との約束を守れなかったからだ。
「Yamatoのお嫁さんを見るまでは、長生きしなきゃね」
「うん、おばあちゃん、それまで元気で長生きしてね」
子供の頃からずっと、何回も繰り返したこの会話。この約束。
ついに果たすことができなかったこの約束。
彼が1年強通った中学校を横目に、他愛もない話をしながら3人は歩いていく。
いつもの格好をしながら歩いていると少し汗ばむくらいいい天気だった。
千里中央の近くは、緑もまだまだ多い。そんな中、新しいマンションも
数多く建てられていた。建築中のマンションも多い。
このあたりは、30年ほど前「千里ニュータウン」として開発のことが教科書にも
載ったような場所だ。その場所もだいぶ古くなってきたので、再開発をしているのだ。
そのカツサンドの店は、千里中央の駅のモールにある。
いや、カツサンドの店というのは正確ではない。喫茶店だ。
店名はニューアストリア」
カフェではない、「喫茶店」だ。もう、何十年もやっているのだろう。
聞いたところでは、母親が学生の頃に来ていたと言っていた。そんな店だ。
しかし、お昼前に行くと、並んでいる。みんなカツサンドが目当てのようだ。
少し並んで、店に入る。カツサンド(野菜入り)とアイスミルクティーを頼んだ。
出てくるミルクは、いわゆるミルクじゃない。フレッシュだ。
「うわ、フレッシュや。フレッシュ入れなんて見たん、何年ぶりやろ」
彼は思わずそう言っていた。
出てきたカツサンド、とてもおいしそうだった。
まずは、写真を撮って口にほおばる。
「めっちゃうまい!」
人気がある理由が納得できた。
満足して、店を出た後、夕飯の買い物をし、おやつに和楽路屋で
持ち帰り用のたこ焼きを買って、また歩いて家まで戻る。
マンションの近くまで戻り、そのままケーキを買いに行く。
マンションのすぐそばに割と新しいが、有名なケーキ屋がある。
「ムッシュ・マキノ」というケーキ屋だ。
そこは、シュークリームが一番有名らしいが、以前テレビで取り上げられてから
すぐ売切れてしまうらしく、夕方前に行ったときにはもうなくなっていた。
結局、ケーキを3種類選び、家に帰った。