まるで

数秒間のショート動画が

繰り返し再生されているかのように

全く同じことを

繰り返し

発言するAさん。

認知機能の低下で、

短期記憶を数秒間しか

保持できません💦

そんな彼女でも、

自分が

同じことを何度も何度も

繰り返し

質問していることには

気が付いているのです

そのため、

「あー、もう私ダメやわ」と

ひどく落ち込んで…

強い不安感も

ひしひしと伝わってきます。
きっと恐怖心にも似た感情に

押しつぶされそうになっているのでしょう。

「私はおかしなことを言っている」
「私は、聞いたことをすぐに忘れてしまう」

「同じことを同じ人に、延々と尋ねている」

もし、自分が

こんな状況に
置かれたら….

きっと不安にもなるし、

怖くもなります

あれほど焦っていて、

恐怖心が伝わってきた人は、

私の看護師経験では初めてでした。

いつもなら、

彼女の不安や恐怖が大きい時には、

私は隣に座って

お話をします。

🌺

けれど、

あの時は、

いつもの対応では足りなかった。

彼女は、

部屋の中を

歩き回ったり

同じことを何度も繰り返し尋ねたり。

返答のメモを取るけれど

メモの存在を忘れてしまう…

「もう、あれしかないな！」

私は、

タッチングによる

安心感を与えられないか

試みたのです。

まずは、
「爪が伸びているので、切りましょうか」

と声掛け。

「そうね、ありがとう」

彼女は答えます。

爪を切ることよりも
私がしたかったのは、

タッチングによる

安心感の共有です。

私は彼女にゆっくりとした口調で

話しかけながら、

（元々、私はゆっくりとしか話せませんが笑）

彼女の手に触れて

爪を切ります。

爪切りの後は、
ファイルで角を落としたり、

全体を滑らかに。

こうした、

単なる「爪切り」の工程が
「まあ♡キレイにしてくれて、ありがとうね」と
彼女の笑顔まで引き出しました。

介護美容に携わる方には、

もう耳タコでしょうが

「オキシトシンの分泌」

「C触覚線維の刺激」

による効果が

顕著に得られたケースだと
考えています。

🌺

不安な時は、

誰にでもあるもの。

特に認知機能が低下した方や、

喪失経験の多い高齢期の方は、

不安を感じやすいものでしょう。

そんな時に、

触れてあげること、

優しい口調で接することは

安心感へ導きます。

介護美容、

取り入れない手は、

ないでしょう

介護美容の意義を痛感した話