ゴルフデータ革命 | ゴルフの自習のブログ

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タイトル通り、ゴルフ上達のための、練習法、技術論、考え方などを自問自答します。

去年買って、何か月もかけて読んだ本「ゴルフデータ革命」。



ゴルフデータ革命

これ素晴らしい!

ゴルフのスコアメークを数学的に分析し解明している。

「ドライバー イズ ショー、パット イズ マネー」や「スコアメークのためには刻む方が有利」など、
プロや上級者も信じる、
古くから言い古されていることが誤りであることに
気づかされた。


この本が実現したのは、アメリカのPGAが、試合の全選手の1ショット、1パットを克明に記録する仕組みがあってこそだ。

これにより、例えば、1.8メートルのパットが決まる確率や全選手のティーショットの飛距離平均、さらには、100ヤード以内のアプローチショットは誰が一番うまいかなどが簡単に導き出せる。


これだけでもかなり有用な情報なのだが、この本では、動的計画法という手法にもとづいて「稼いだ打数」という新しい指標を用いて、ゴルフのスコアに新しい分析を加えている。


PGAの発表する平均スコアなどの選手別のスタッツの中に、「SGP」というのを目にする。これは「Strokes Gained Putting」の略で、日本語では、「パットで稼いだ打数」。

2016年8月時点のUSPGAのSGPナンバーワンは、世界ランクでも1位のジェイソン・デーだ。64ラウンドで、ほぼ45打をパッティングによって稼いでいる。

稼いだ打数とは何か?
たとえば、10フィート(約3.3m)の平均パット数は、「1.61」。
約6割のプレイヤーが2パットで、約4割のプレイヤーが1パット、ごく少数のプレイヤーが3パットすると、こんな平均パット数になる。
このパットにおいて、1パットで入れたプレイヤーは、平均の「1.61」に対して、1.61-1=0.61、「0.61」打稼いだことになる。
同じく、2パットで入れたプレイヤーは、2-1.61=0.39、「0.39」打失ったことになると計算するのだ。
これを積み上げていくと、パットが得意なプレイヤーと下手なプレイヤーが明確になる。

ミドルホールで2オンさせるプレイヤーと2オンを失敗し、アプローチで3オンするプレイヤーでは、3オンの方がパット距離が短くなることが多いなど、単純にラウンドあたりのパット数だけで比較すると矛盾が生じるが、このSGPは、コースの難易度や天候なども処理できる。(詳しくは本を)

パットだけでなく、SGD(ストロークス・ゲインド・ドライビング=ティーショットで稼いだ打数)という指標もある。
他にも、ショートゲーム(-20ヤード、20-60ヤード、60-100ヤード)、アプローチ(英語だとアプローチだがグリーンを狙うショット。100-150ヤード、150-200ヤード)、それ以外のショットなどで、稼いだ打数を比較できる。

さらに、PGAだけでなく、アマチュアゴルファーの情報も加えた膨大なデータとシミュレーションなど統計的分析によって、多くの新事実が明かされている。

そのうち、特に興味深いものをあげていくと、


・プロもアマも、パットのスコアへの影響度は、全体の15%程度とわずか。

・プロとアマの差は、パッティングとショートゲームを足したものより、ロングゲームの差が大きい。

・ティーショット稼いだ打数は、スコア全体の28%とパットの約2倍。

・アマチュアからプロまで、飛ぶプレイヤーの方が、飛ばないプレイヤーより精度が高い。

・ティーショット(28%)、パット(15%)、ショートゲーム(17%)を除いたミドル、ロングショットのスコア影響度は、40%と最大。

・タイガーウッズは、全盛時、豪快なティーショットやロングパットのイメージ強いが、実際は、ロングショットが圧倒的に優れていた。

・パッティングが苦手なプレイヤーはショートすることが多い。

・プロが100ヤード手前のフェアウェイから寄せワンする確率は、28%。30ヤードからは52%。ラフでも30ヤードの方が確率が高く、レイアップはできるだけカップに近づけたほうが良い。

・のぼりパットを残すより、1-2フィート(30-60㎝)でも短い下りパットの方がやさしい。つまり、2パット目の位置(のぼり、くだり)を意識するより、カップに近づけることが大事。

・パットの難易度を決める最大の要素は距離。1.5mの曲がるラインよりも1.8mのストレートなラインの方が難しい。


どれも、いままでの常識を覆すものばかり。

しかし、実戦で試してみると、確かに、これらが正しいことに気付かされる。

たとえば、短い320ヤードくらいのミドルホールがあると、2つの選択肢がある。
1つは、ドライバーでできるだけグリーン近くまで打つ。
2つめは、100ヤード程度が残るように、ロングアイアンやユーティリティなど刻む。
多くのゴルフ雑誌はスコアメイクにおいて、2つめを選択すべきと説いている。
しかし、この本に従うと、1つめが正しい選択となる。

カップまで30ヤードの場合と、80ヤードの場合の平均スコアは、
PGAプロは、
30ヤード フェアウェイ 2.5打 ラフ 2.7打
80ヤード フェアウェイ 2.7打 ラフ 3.0打
となる。

フェアウェイはもちろん、プロの厳しいラフのセッティングにおいても、80ヤードのフェアウェイと30ヤードのラフが同じスコアなら、ミスも承知で30ヤードフェアウェイを狙うべきだ。

アマの場合(ここでは平均スコア90プレイヤー)はもっと顕著。
30ヤード フェアウェイ 2.9打 ラフ 3.1打
80ヤード フェアウェイ 3.4打 ラフ 3.5打
となる。
30ヤードのラフより80ヤードのフェアウェイの方が0.3打も損する。同じフェアウェイなら0.5打も損をする。
0.3打ということは、18ホールに換算すると、5.4打だから、バカにできない。

自分の場合だと、320ヤードドライバーでいい当たりすれば、残り3~50ヤード。
バーディが取れる確率は1/3程度。ほぼボギーはないだろう。平均打数は、ティーショットを入れて、3.7弱くらい。
一方、ユーティリティで220ヤード打って、のこり100ヤード。バーティの確率は1/4程度。ボギーの可能性も同じくらいあるかもしれない。
平均打数は、4.0くらい。0.3打違う。
もちろん、池やOBのリスクの可能性が高いホールでは違ってくるが、OB等の可能性の低いホールでは、できるだけ近くまで打つべきなのだ。


また、グリーンでも、のぼりのやさしいラインにつけるべきというのが定石で下りや曲がりの大きい位置に付けるよりも、少し遠くてものぼりの曲がりに少ないラインが易しいなど言われている。
だが、データでは、傾斜ラインよりも残る距離が大事であることを明確にしている。
つまり、のぼりラインを残そうとして、あえてピンの手前をターゲットにすることはナンセンスなのだ。


最近は、実際にこの本から学んだことを意識して実践している。


いままで、ラウンド中、半分以上のホールでティーショットを安全に打とうとして、距離よりも方向性を優先させるつもりで、軽めに打っていたが、ほぼ全ホールで強めに飛距離が出るように打つようにしたら、飛距離だけでなく、フェアウェイキープ率も向上し、セカンドショットが楽になった。


パターは、入る確率が20%程度と言われる5mよりも近い場合は、必ずオーバーさせるように転がし、20%以下の5m以上は距離を合わせることに徹することでバーディが増え、スリーパットが減った。

刻むか、近くまで打つかを迷ったときに近くまで打つことを選択することが増え、バーディチャンスが増えた。



この本のキャッチコピーにある「パットイズマネーは迷信だった」は、ずばりあたっているようだ。
パットやアプローチを軽視する初級者が中級者を目指すときに、ショートゲームの大事さに
気付くことは必要だが、やはり、トッププロがすごいのはロングゲームだし、より上級者を目指すには、アマチュアもロングゲームを磨くことが必須であると再認識。
どのゴルフ場にも、変なスイングだけど、アプローチとパットは上手でいつもいいスコアであがってくる人がいて、その人たちを見ると、ショートゲームばかりに目が行くが、やはり、ショートゲームだけでは限界があるのでロングゲームを鍛えることにこそ時間を割くべきなのだ。


さらにレベルアップのために、ロングゲームのドライバーやロングアイアンの練習を増やし精度アップをはかっている。


この記事だけでは、ほんとかな?と思うかもしれないが、本を読めば納得するはず。目からウロコ。
300ページ以上あるこの本にはここに役立つことがたくさん書かれているので、興味のある人はぜひ読んでほしい。
(ちょっと小難しくて、読み始めると眠くなるのがたまにキズ。)

記事の例↓

残り距離と平均打数

ティー、フェアウェイやラフ、バンカー、グリーンからの残り距離別の平均打数。