マンション管理士試験は重箱の隅をつつくような問題が出ます。
歴史が浅いので、過去問で出尽くされていません。なので、新たな問題に対応する必要があります。
このような前提を踏まえつつ、試験対策として、注意すべきは次の①~⑥だと考えます。
①過去問は完璧にする。
②区分所有法及び標準管理規約は完全に理解する。
③民法の重要部分については理解を深める。
④最新の判例をキャッチしておく。
⑤設備関係はテキスト・過去問以上はやらない。
⑥管理業務主任者試験に先に合格する。
個別に説明いたします。
①過去問は完璧にする。
過去問はできて当たり前にしておかなければなりません。
私の場合は、本でもやりましたが、外出先でスマホでもできるように香川先生のホームページで勉強していました。
http://www20.tok2.com/home/tk4982/kako-table.html
先生の主観が結構入っていますが、説明は深いところまでしていただいているので、とても勉強になります。ただ単に答えを書いているわけではなく、応用の話なども書かれています。説明が長すぎである傾向がありますが、長文には慣れていた方がいいです。
②区分所有法及び標準管理規約は完全に理解する。
区分所有法及び標準管理規約は重箱の隅をつつく問題がよく出ます。
また、深い理解をしていないと解けない問題も多く、勉強の半分以上をこれに割かないといけません。条文は必ず熟読する必要があります。
条文を読んでいるとよく出てくるのが、読み飛ばしがちな準用条文です。
例えば、区分所有法で言いますと、
(共用部分の変更)
第17条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
(共用部分の管理)
第18条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第2項の規定は、第1項本文の場合に準用する。
※準用後の規定
第17条第2項 共用部分の管理が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
上記のように第18条第3項で第17条第2項を準用していますが、読み飛ばしがちです。
準用後の条文集を作成しておくことが望ましいです(特に団地関係は準用だらけです。)。上記の例では、共用部分の「管理」で特別の影響を及ぼすときも承諾を得る必要があるとの規定です。また、この規定は強行規定(規約で別段の定めができない)になります。
こういうところが狙われてきます。
勉強になりますので、まずは準用後の条文を作ることをおすすめします。
③民法の重要部分については理解を深める。
一般法である民法に対して、区分所有法は特別法になります。なので、区分所有法の規定にない事項は民法の規定を使用します。
特に共有関係、瑕疵担保責任は頻出です。
④最新の判例をキャッチしておく。
最新の判例は頻出です。平成24年度も直近の判例が2個出ました。
これは最高裁の判例検索システムで検索するのが早いです。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?hanreiSrchKbn=02
参照法条のところに「区分所有」等を入力してから検索すると関係する判例が抽出されます。
今現在検索した場合の上2つの次の事件の裁判要旨はそのまま平成24年度の問題に出題されています。
・名誉毀損文書頒布行為等停止請求事件(平成24年1月17日)
・不動産競売申立て一部却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告及び許可抗告事件(平成23年10月11日)
なお、平成25年度試験の場合は平成25年4月1日以前に判決が出た判例のみ出題されると考えられます。出題の法令の施行基準日が毎年4月1日現在となっておりますので、判例もそれと同じだと考えられます。
⑤設備関係はテキスト・過去問以上はやらない。
このマンション管理士試験を受験する方は2パターンに分かれると思います。建築関係の勉強をされてきている方(建築士保有者等)と法律関係の勉強をされてきている方(宅地建物取引主任者保有者等)の2パターンです。
私は後者でしたので、設備関係の問題は苦手でした。
人によっては、2級建築士の問題を問いたりして対応されている方もいるようですが、それは時間的にも無理と判断し、テキストと過去問だけひたすら暗記しました。
⑥管理業務主任者試験に先に合格する。
実はあまり知られていないことですが、マンション管理士試験の合格率は7%~9%ではありません。初学者にとっては5%前後の難関試験なんです。
これはどういうことかというと、管理業務主任者試験の合格者が合格率を引き上げているため、全員を合計すると7%~9%になるのです。
具体的に言うと、管理業務主任者試験の合格者のマンション管理士試験の合格率は15%前後で、合格者に占める割合は50%を超えます。
どうして、管理業務主任者試験の合格の有無で大きく差が出るのか考えました。おそらく次の理由によると思います。
・マンション管理適正化法関連の5問が免除である。
・試験時間が10分しか減らない。
・マンション管理士試験に特化した勉強ができる。
はじめの5問免除は当たり前ですが、マンション管理適正化法に勉強時間を割かなくていいのは、大きな利点です。また、正答率が低くてすみます。平成24年度試験で言うと、免除なしの者は、34点/50点(68%)ですが、免除されている者は、29点/45点(64.4%)の正答率で構いません。換言すると、免除なしの場合は50問中16問しか間違えられませんが、免除ありの場合は45問中16問も間違えられるのです。
また、試験時間についてですが、免除なしの場合は50問を120分で解くことになりますので1問あたり2分24秒になりますが、免除されている者の場合は45問を110分で解くことになりますので1問あたり2分26.6秒になります。あまり変わりませんが、少なくとも免除なしの者よりも優遇されています。本来は同じにすべきですが、割り切れないのでしょう。10分減で手を打ったのだと思われます。また、これは平均の時間なので、実際は、46問~50問に10分以上掛かっているかもしれません。時間的にも免除ありの場合が優越します。
最後に勉強方法ですが、管理業務主任者試験とマンション管理士試験の出題範囲ですが、近いようで近くありません。例えば、標準管理委託契約書は管理業務主任者試験ではよく出題されますが、マンション管理士試験では1問程度しか出ません。また、管理業務主任者試験が基本的な問題が出題されるのに対し、マンション管理士試験は応用問題が好んで出題されます。よく資格学校や参考書でW合格を謳っていることがありますが、それはおかしいと思います。両試験の合格率には4倍程度の開きがあるにもかかわらず(マンション管理士試験の合格率:5%前後(免除がない場合)、管理業務主任者試験の合格率:20%前後)、同じ勉強方法で済むはずがありません。「二兎を追う者は一兎をも得ず」にならないように、管理業務主任者試験に先に合格することをおすすめします。
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