大人の科学マガジンVol.17 テルミン/大人の科学マガジン編集部
¥2,300
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先月発売した 『大人の科学 vol17』 の付録がスゴイです。

世界初の電子楽器、テルミンのミニチュア版が付いているからです音譜


テルミンの音色は聴く人を異次元に迷い込ませたかのような気持ちにさせ、

ヒッチコック作品などのホラー、SFムービーなどに多く使用されてきました。

実際に弾いている姿も、2本のアンテナ間に漂う電磁場を、空間にかざした手で干渉しているだけなので、物体が無い分、とても不思議に見えます。


テルミンは、ロシアの物理学者であり且つチェロ奏者でもあった

レフ・セルゲイヴィッチ・テルミン氏によって発明されたものですが、彼の人生とロマンスが記録された素敵な映画もご紹介させていただきます。



テルミン
 

¥4,441


テルミン氏はロシアからニューヨークに移住して、楽器“テルミン” の他にも様々な発明に取り組んでいましたが、ある日KGB に拉致されて、7年間という年月をロシアの刑務所で就労して生きました。

この映画では、服役後も国益のために盗聴器の開発を強いられて生きた彼の人生と共に、彼の最愛の恋人でありテルミン奏者でもあった クララ・ロックモアという美しい女性との、長い年月を超えた関わりも記録していて、見終わった後には、歴史に翻弄された男女のせつなくも美しいドラマを見たかのような感動が残りました。


二人はアメリカで恋人として過ごした時代もありましたが、テルミン自身は黒人ダンサーを妻とし、彼がKGBに拉致されてからは、クララもアメリカで別の男性と結婚し暮らしていました。

ある日クララの夫が、クララの故郷を見てみたいというのでロシアに渡ったとき、彼女はテルミン氏がまだ生きているということを偶然に知り再会します。

テルミン氏は彼女に、

『君のことはずっと想っていた。 思い出の中の君をね』 と告げます。

まだ若い日の彼女がテルミンを奏でているときの映像を見ると、彼女の中でもテルミン氏は、 “心の中の永遠の恋人” だったのではないかと思います。 急に消えてしまって二度と会うことのできない運命を負わされた愛しい恋人です。


2度目の再会は、2人共に80を超えた歳でした。

この記録映画のための再会です。

クララは、『会わないほうがいいこともあるのかもしれない。 思い出の中で生き続ける方が...』 とも迷うのですが、テルミン氏はクララの住むマンションのドアをたたき、二人は再会します。

『私がわかる? 歳をとってから再会するなんて素敵なことね』

と言った彼女の言葉が印象的です。

そしてその時に真っ赤なシャツを着た彼女が奏でた曲 『サマー・タイム』 ほどに心に沁みたテルミンの音色はありませんでした。


年老いた二人の老人、赤いコートを着たクララと、グレイのコートを着たテルミン氏が腕を組んでニューヨークを歩く後ろ姿は、記憶にいつまでも残る美しい映画のエンディングでした。


機会がありましたら、是非 THEREMIN - An Electronic Odyssey - をご覧ください。