- 生命の暗号を聴く 名曲に隠されたタンパク質の音楽/深川 洋一
- ¥1,365
- Amazon.co.jp
第一章
、第二章
と、1冊の本を3回に分けてしまってすみません
内容が斬新なだけでなく、読んでいくほどにメッセージ性が強い本でしたので、つい長くなってしまいました。 もう少しお付き合いください
さて、『ウシバエ』 の幼虫が牛に寄生することによって一番困るのは皮革事業者でした。
牛の体内に入り込んだウシバエの幼虫は、『ヒポデルミンC』 というタンパク質を分泌して、内部から牛の皮膚に穴を開けて外に出るのです。
皮革事業者にとってウシバエは商品価値を下げる厄介者ですが、牛の乳汁量や牛肉の味、ましてや狂牛病に悪影響を及ぼすということは全く立証されていませんでした。
単に人間にとって不都合というだけで、強い化学薬品を使って絶滅せよと国からの指示があったのです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ジョエル・ステルンナイメール博士は、タンパク質を構成するアミノ酸配列の波動を、1つ1つ楽譜に置き換えていく研究を重ね、未だその働きが解明されていないタンパク質に対しても、似たような楽譜(メロディ)を持つ既に解明されているタンパク質の働きと比較することで、未知のタンパク質の働きについても
予測しました。
これによりステルンナイメール博士は、ウシバエが牛の皮膚に穴を開ける際に分泌するタンパク質 『ヒポデルミンC』 が、実は狂牛病の元凶といわれる
『プリオン』 の合成を抑制する ということを確信するのです。
そしてこの見解が真実であることを、他の角度から分析されたデータが証明しています。
狂牛病を抑えようとして政府が行った処置が、実は狂牛病の結果を最悪にしていたということです。
裁判はもちろん二人の農夫に軍配が上がりました。
もともと狂牛病発症の原因は、飼料となる肉骨粉に混入している スクレイピー病にかかったヒツジの骨肉や脊髄だといわれています
ここでも、もともと草食動物の牛にヒツジの骨肉を与えている人間の所為が見えてきます。
自然の摂理を人間の都合だけのために変えてしまおうとすると、自然の秩序は大きく乱れ、結局は人間に大きなしっぺ返しがくるということを思い知らされます
本書での “トリインフルエンザ” に対する著者の見解は必読です
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ここまで読んできて、『タンパク質の音楽』 が 全ての生物に及ぼす影響の大きさに驚きます。
人々の心に響き、歴史に残る音楽には、DNAレベルで理由があるのだということをこの本は教えてくれます。
音楽は『薬』 であり 『毒』にもなり得ます。
私達は一人一人、きっと自分に足りないものが分かっていて、喉が渇くと水が欲しくなるように、心地よく心に沁み入る曲には身体の奥底が求めているメッセージが含まれているのだと思います。
もしかすると、そう遠くない将来、体調が悪いときにはネット上のデータバンクを通して症状と対応するアミノ酸配列を持つタンパク質を検索し、『タンパク質の音楽』 へと変換して治療してくれる 『音薬システム』 なるものが出来上がっているのかもしれません
これからは、美しい音楽を大切に聴こうと思いました。