なぜそれは起こるのか―過去に共鳴する現在 シェルドレイクの仮説をめぐって/喰代 栄一

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例えば、鳥のカッコウは自分では卵を育てず、ビンズイなど、他の種類の鳥の巣に自分の卵を産みつけ、その親鳥に成長するまで育てさせます。

そして、他の卵よりいち早く孵化したカッコウの雛鳥は、無意識にもビンズイの卵を巣の外に捨ててしまい、親鳥ヒンズイの愛情を独り占めにして成長します。 さらに不思議なことに、カッコウの卵の色は、相手の卵と同色、同模様で産み付けられるのです。

生化学者であるシェルドレイクは、こういった現象がなぜ起こるのかということを、遺伝子の突然変異や本能からくるものではなく、『ある行動や思考が一定の量に達すると、それは時と空間を越えて伝染する』という説で唱えています。

1羽のカッコウの親鳥が、ある時たまたま他の鳥の巣に産み落としたら、運良く上手に他の鳥が育ててくれた。 そして2羽、3羽と、同じ行動を別のカッコウが真似した時、地球の反対側にいるカッコウにもその習性が、教えることなく伝染したのでは? という理論です。


他の研究機関からは、立証性に欠けた突飛すぎる発想だからという理由で、当時全く相手にされていないのですが、その他の豊富な実例と、実験の数々が面白く、そういう考えも在りうるかもと、好奇心を充分に刺激する内容です。