巻柏(イワヒバ)に初めて出会ったのは道の駅で売られていた一鉢の山取りの野生株を買ったこと。盆栽のような株立ちで日本的な渋い佇まいでした。イワヒ
バの外観から、なんとなく奥深い山の陽の当たらない場所に生え、渓流の岩肌の水しぶきがかかるようなところに生えているんだろうなと思っていました。鉢植えは、あまり
に水はけの良い土に植わっていたので、かわいそうと思い、水持ちの良い土に植え替え、日陰で培養。毎日頭からじゃぶじゃぶ水を与えていました。そのうち葉
が丸まってきたのですが、「ははーこれが水が足りないときに葉が丸まってしまうという奴だな」と思い(本当は根腐れ)、ついに水耕栽培にしてみました=根が水に常に浸かっている状態。結果は無惨な立ち枯れの姿になってし
まいました。
 これが教訓となりイワヒバの生理と培養条件を調べました。私のやっていたことは良くないことだらけ。判ったことは、シダの仲間なの
に想定外の特徴が多くて吃驚しました。。イワヒバというのは、極めて水はけのよい環境が好きで乾燥は問題ではないこと、比較的日光が必要なこと、紅葉する
こと(特に園芸品種は日照斑や固定斑がありとても多様なこと)、紅葉するのに落葉しないこと、冬になると休眠すること、休眠状態になると5-6ヶ月は平然
と水なしで生き抜くこと、紅葉して落葉しない葉は春になるとまた緑に戻ること、何十年あるいは百年以上(?)生きる長寿な植物であること等が判りました。
なんて不思議な生き物でしょう。
 特にこの植物が江戸時代から続く園芸品種として愛培され、銘鑑(相撲のような番付表)が存在し、先人がたった一種の中に多種多様な色彩と葉性を見い出し、今日まで文化として受け継いでいることにも感銘を受けました。
 
このブログには、何となくイワヒバの歴史にちょっと首をつっこんでみた初心者の奮闘日記を記そうと思っています。イワヒバに関する情報がなかなか無い中
で、初心者の目で見た気づいた点を載せ、都会のマンション暮らしでもイワヒバ文化に触れることができるんだなぁ、と共感して頂ければ嬉しいなという気持ち
と共に綴ってみようと思います。