初心者の私がこんな題名で書くのは気が引けるのですが、初心者ならではの私が陥ったトラブルや体験を基に、お役に立つこともあればと思って書いてみます(なお、ベランダ培養をしている私の体験を基にしているので、お庭(地上)での培養環境に当てはまらないこともあることをご了承下さい)
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 盆栽の教科書には「水やり3年」という言葉があるように、たかが水やりと思って侮っていると痛い目を見てしまいます。特に日本の梅雨時期から夏の猛暑は鉢植えの植物にとって過酷な環境と思われます。

 夏場の水やりは、朝は8時前位までに水やりを済ませ、2回目の水やりをする場合は夕方(気温が下がる16、17時~)に水やりをするというのが良いかと思います。*ちなみに私は夕方(夜)潅水をメインとして、足りなければ朝方に足すというタイプです。



 太陽が高い時間を避ける理由は、サウナ状態の蒸(む)れによる細胞死を回避するためと言われています。これは頷けます。かんかん照りの状態で散水してもお湯になります
し、お湯に浸かった状態で何時間も過ごしたら弱る or
枯れます。夕方に葉水するのも、私の感覚としては火照ったイワヒバの体温を下げる気持ちでかけています。
 もう一つ大事だなと思う点は、土中の水
分です。特にイワヒバは水はけの良い土を好みます。イワヒバの場合、一般的な盆栽鉢の土のように、敢えて突き固めたりせず、緩く空気を入れるようにするの
が良いそうです(水戸市植物公園でのイワヒバ講習会でも先生が述べていました)。植え替え時に土をふるいにかけて微細な粒塵を取り除いたり、鉢底に行くにしたがって粒径を大きくしていくという
のも水はけをよくして根をしっかり伸ばすためということが理由として考えられます。
 なぜそこまでするのか?教科書曰く、「根も呼吸しているから」というご回
答。「土中に適度な空間を作り、新たに水をやることで、土中の空気が入れ替わる」、、、なるほど~。土中にも新鮮で爽やかな水と空気が必要なのですね。言
い換えると、ジメジメ、ジュクジュクしている状況で、次から次に水を与えると、蒸れと高湿度で環境が悪化していくのですね(=根腐れ、病気、カビ、苔の発
生)。土中の根にも、サラサラ感をたまに感じさせるのがコツかなぁと思った次第です。
 ちなみに一般的に夏場に多肥をしないのもそういった理由が
あると思います。土中の元肥や表土の置き肥は、潅水時に水に溶けた状態で根から吸収されますから、水分がなくなるからといって、夏場にざぶざぶ水をあげる
と、当然肥料も溶出してどんどん土中に染みこむ結果になります。根からすれば、サウナ風呂の中でトンカツの大食い大会になってしまうと思います。さらに土
が常に湿っているとそれらの肥料を糧に、苔(藻?)も生えやすくなります。その結果、通気性が落ちて悪循環になっていくのだろうなぁと。



<やや高度な水やり>
 水やり時に一様に鉢底から水が抜けるまで、水を与えていませんか??水やり直前にそれぞれの鉢を持ち上げてみると良
いです。同じ号数の鉢、同じ土の構成、前回に同じ時間に水やりをしても意外と重さが違うものです。日向、日陰、風通しなど環境要因もあります
が、小さな株や根の発達が弱い株ですと、水の吸い上げが少ないということが原因として挙げられます。水やり直後の重さを100%としたら、今何%位になって
いるのか一度知っておくと便利です。「この鉢は水の減りが遅いから今日の水やりはスキップしよう」など作戦変更できます。。
 逆に、まだたっぷりと水分が土中に残っているのに毎日水をあげ続けると、根腐れが起こり、結果として十分な水を吸い上げられずに葉が巻き込むという状態になります(私は当初、これを水が足りないと思って、さらに水やりの回数を増やしました[E:bearing])。もし、植え替え適期であれば、鉢を開けて、土壌改善して植え直し、暫く日陰に置いて控えめに水やりすることで回復できるかもしれません。日陰においてたっぷり葉にも根にも水をあげているのに葉の巻き込みが戻らない場合は、根張りに問題があることが考えられます。例年の植え替え時は、根詰まりして水はけが悪くなっていないか、根が腐っていないか等確認するのは大事だと思っています。
*ちなみに、植え替え直後に葉が巻いてしまうのは、植え替え時に根を切った or 痛めたことが原因である場合があります。



 乾燥の目安として、先ほど鉢の重さを指標に使えることをお伝えしましたが、第二候補として盆栽用の硬質赤玉土(小粒)というのがあります。鹿沼土
ではいまいち乾燥しても色合いの変化がないのですが、この硬質赤玉土はくっきりと色の違いが分かります。園芸の盛んな地域ではごくありふれたモノか
もしれませんが、意外と私のご近所では取り扱っていません。ちょっとお値段は高いのですが、見つけた時に入手して、表面に敷いたりすることもあります(化粧土替わりにもなるので)。



 私のベランダ培養の環境の特異性について述べておきますと、(1)雨がほとんど(というか横風でも来ないと全く)当たりません。ただイワヒバは、空中湿度が高いことを感じているのか、雨の日は気持ちよさそうに葉を広げています(すごく微妙な差でうまく説明ができません)(2)日照時間はだいたい9時から14or15時までです。なので、私がブログで紹介する無遮光の強日条件というのは一般的な「強日」よりも日照時間が短いということになります。(3)軒先、手すり壁(隙間なし)、洗濯物に囲まれるので、風がない夏日はムシッとしています(こういう場合の湿度の高さは、ヒトだけでなくイワヒバも不快のようです)。逆に風が強い日は、露地よりも早く乾燥する気がしています。なお、コンクリートに鉢を直置きすると炎天下の熱が直接伝わるので、私の場合、枕木を利用しています。ベランダ培養は、方角、日照時間、湿度、風等、様々な条件の環境が想定されます。よって、もし私のようにベランダで挑戦される方がいらっしゃいましたら、まず環境チェックをお勧めしたいと思います。





【まとめ】
 イワヒバは乾燥には強いので水を切らしてもなんとかなります。しかし、園芸品種のイワヒバは一般に定期的に潅水していると思い
ます。それは鑑賞目的であったり、葉の開閉で余計なエネルギーを使わせないということだと思います。一方で水を与えすぎると強靱なイワヒバも枯れる結果に
つながります。その微妙なバランスは、培養棚の環境や、各鉢の条件でおのおの違います。水やりの回数と一度に与える量の最適な条件を知ることは、良いイワヒバ培養につながるのだと思います。



以上!!!



*しまった!今日も写真がない!植え替え時に見つけたコナダニと表土から染み入った黒い苔(藻?)の写真を載せます。こういう鉢のイワヒバは調子良くないですよ~(→表土は、崩して捨てて、コナダニはざぶざぶ水をかけて洗い流してしまいます)



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