「泣ける映画」「鬼才(出演者にとっては鬼)監督の映画」という事で、前からかなり楽しみにしていました。最後に泣いた映画が同監督の「嫌われ松子の一生」だったので、今度も泣かせてもらう気満々でした。
(以下、ネタバレあるかも)
・・正直、泣けませんでした。
話もCGも美しすぎて、泣くベクトルではありません。
「嫌われ松子」では、松子の人生が、他の人の身勝手に振り回されてどんどん悪い方向に向かってしまう理不尽さと、それでもめげずに人に尽くす松子の底なしの優しさに涙したんだと思います。今回の「パコ」ではそういう無意識に泣けてしまうようなものがありませんでした。
ところが、映画を観て1週間、思い返すたびにだんだんと全体が思い出されてきて、感動が来ました。
表側の人生とは違う、F1レースのピットのような裏の舞台「病院」。そこで表側では強い自分を誇ってきた頑固ジジイ「大貫」が、他の弱い人たちを見下していました。でも、表の世界が自分がいなくても回っていく事を知り、自分が他の人と変わりない弱い存在であることを知ったときの苛立ち。パコに会って、「強い事」よりずっと価値のあることを見つけたときの感動。そういうものがだんだんと分かってきたんでしょう。
主人公のパコと大貫以外もそれぞれいいキャラクターが与えられていて、皆、表の世界に不安や悲しみを持っています。(「堀米」は別として・・)観る人は少しずつ自分に当てはめて観られたんじゃないかと思います。
桑島十和子さんが描く絵本の世界も素晴らしい。もう一度観れば、細部まで楽しめたんでしょう。細かくお楽しみがあります。僕は「ザリガニ魔人」の造詣の素晴らしさに見入ってしまい、他を見逃してしまったのがくやしいです。
そういうものが、時間がたつほどいい思い出として現れてくる映画でした。
小・中学生に観せる映画としては最高のものだと思いました。「崖の上のポニョ」と逆の意味で、お勧めです!