Ｍ－４３２　へべ半面　　　　　　　　　　　　　　　　Ｈ．３０×Ｗ．１９×Ｄ．１４ｃｍ　（ロシア・エルミタージュ美術館収蔵　１８００～１８０５年　アントニオ・カノーヴァ作）

この半面像、日本の画材業界では長らく「ギリシャ・ヴィーナス」の名称で流通してきましたが、ようやくオリジナル彫像が判明しました。

名称は「へべ」（Hebe　”ヘーベー”の表記もあり）。古代ギリシャ神話の登場人物で、「若さ」、「青春」の女神とされています。オリジナル彫像の作者は、１９世紀新古典主義を代表する彫刻家アントニオ・カノーヴァで、ロシア・サンクトペテルスブルグのエルミタージュ美術館に収蔵されているものが、石膏像の原形になったものと推定されます。

アントニオ・カノーヴァ作　「ヘべ像」　ロシア・エルミタージュ美術館収蔵　１８００～１８０５年頃

青春が神格化された女神であるヘべは、ゼウスとヘラの娘で、オリンポス山の神々の宴会における給仕係です。神々の若さをたもつための不死の霊薬であるネクタール（神酒）や、アムブロシアー（不死の効力がある神々の食べ物）を給仕して回り、宴会では舞踊を披露していました。トロイアの王子ガニュメデスが、ゼウスによって神々の給仕係に任命されたため、ヘべはその任を解かれましたが、やがて天上の神々の仲間入りをしたヘラクレスの妻となりました。

美術作品でのヘべは、袖のないドレスを着た美しい乙女として表現されることが多く、酒杯と水差しを持ち、背中に翼を生やした姿で描かれることもあります。

アントニオ・カノーヴァ作　「ヘべ像」　ロシア・エルミタージュ美術館収蔵　１８００～１８０５年頃

カノーヴァ作　「ヘべ像」　ベルリン美術館収蔵

カノーヴァ作　「ヘべ像」　英国・バース美術館収蔵

余談ですが・・・

じつは、この半面像については、２０１０年頃にこのブログで「ポーリーヌ・ボナパルト」の彫像かも？として紹介していました。
その時の記事です　→　http://ameblo.jp/sekkouya/entry-10661767735.html

その記事内でも、なんとなく自信が無いけど、たぶんこれだと思う・・・っていうニュアンスになっていますが、やはり誤りでした。横顔の雰囲気、髪の流れがそっくり・・・でもちょっと違うな・・・ということで断定は避けていたのです。この「ポーリーヌ・ボナパルト」の彫像もカノーヴァ作ですから、目の付け所は悪くなかったというわけです。何年もモヤモヤしていて、ああ！これだっ！って分かった瞬間ってとってもうれしいものです（笑）

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M-432 へべ半面

M-432　へべ半面