A-345 ダンテ胸像(小)
A-345 ダンテ胸像(小) H.18×W.23,5×D.13cm
石膏像の写真が意味不明にソフトフォーカス気味ですが、それは無視していただいて・・・
ルネッサンス突入第一弾は、あの”ダンテ”さん。
石膏像自体の原形の所在や作者などのデータはありません。由来がよく分かっていません。
ですので、ダンテという人物について少しだけ触れましょう。
ダンテ・アリギエーリ(1265~1321年)は、都市国家フィレンツェ生まれの詩人・哲学者・政治家です。
ボッディチェリ作 ダンテの肖像 1495年製作
ダンテの代表作は、言わずもがなの叙事詩”神曲”なわけですが、この”神曲”はキリスト教的な世界観を踏まえつつ、古代ローマの詩人であるウェルギリウスを登場させるなどして、それまでの中世的価値観にとらわれない新しい人間存在のありようを模索した作品です。
もちろん私は実物を読んだことはありません。。。受け売りです・・・
ボッディチェリ作 神曲に登場する地獄の図
ダンテが、数百年続いてきた中世キリスト教的な世界観から一歩踏み出すような著作を執筆したのは、当時の政治状況が影響しています。
13世紀末のフィレンツェでは、ローマ教皇庁よりの勢力と、神聖ローマ帝国よりの勢力とが、激しく争っていました。ダンテは教皇庁よりの政治的立場だったのですが、いろいろな政争に巻き込まれて、最終的にはフィレンツェを追放されてしまいます。
当時のイタリアは、各都市ごとが独立した国家のような状態でしたので、自身の所属している都市からの追放は存在基盤そのものを失う大変な状況でした。
自身の存立基盤を失ったダンテは、その後北イタリアの各都市を放浪する半生を送るわけですが、そういった”後ろ盾”を失った状態で書かれたからこそ、”神曲”は新しい時代の到来(ルネッサンス)を告げる名著となったのでしょう。。
ダンテ自身は熱心なキリスト教徒でしたので、あくまでキリスト教的な世界観の中で、人間がより人間本来の喜びに満ちて生きるにはどうしたらよいのか?という問いかけが神曲には書かれています。
そして、こういったテーマの表現のために、ダンテは古代ローマや、古代ギリシャの要素と聖書の要素とが渾然一体となった世界を作り上げました。
神曲には、ギリシャ神話に登場する、
冥界の守り神ケルベロス、
ミノスの怪物ミノタウロス、
半人半馬のケイローン、ネッソス、
ローマ的要素の、
詩人ウェルギリウス、
シーザー、
それを裏切ったブルータス、
冥界の王プルート、
清廉潔白な小カトー、
そして、キリスト教の、
アベル、カイン、
イエス、ユダ、
当時の神学者トマス・アクィナス、
などなどが登場してきます。。。
それまでの、ヨーロッパ文明を縦断するような視点と知識で人間存在を見つめなおしたのが神曲なのです。
これは、まさにルネッサンスの精神的なバックボーンとなるものでした。
フィレンツェ・ベッキオ宮のダンテのデスマスク、とされている半面。
但し、これは後世だいぶ手が加えられているようです。
この辺、比較的石膏像に近いですかね・・・
フィレンツェの”ダンテの家”とされている建物。
それにしても、この飛行帽のようなかぶり物は何なんですかね~?
肖像画も、彫刻も、ダンテ像はみんなこのスタイルです。。
イタリアの2ユーロ硬貨は、ダンテさん。ラファエロの原画ですって。。さすがイタリア。。。
ユーロって、国ごとにお金が違うもんなんですね。。全部同じものを使ってるんだと思ってた。。
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