A-361 御者の像 | きょうの石膏像 

A-361 御者の像


きょうの石膏像     by Gee-A-361


A-361 御者の像     H.34×W.8.5×D.8cm (ギリシャ・デルフィ考古学博物館収蔵)



ギリシャ関連を続けます。



この彫刻は知っている人は知っている、古代ギリシャを代表する傑作彫刻なのです。何日か前に取り上げたS-229 コレー頭像 と同じギリシャのデルフィに本物があります。



古代ギリシャのデルフィは神託の場所でした。


もともとデルフィを支配していたピュトンという大蛇をアポロンが退治して、自身の持つ予言の能力の発信地として、このデルフィを神託の地にしました。


アポロン神殿が造られ(現在も礎石部分と柱が残っている)、そこの地下室で神託が下されたそうです。

神託は巫女が鼎(”かなえ”と読む。3本足の椅子みたいなもの)に座り、月桂樹の葉を噛みつつ大地の裂け目から出てくる蒸気を吸い込みつつうわごとのようにつぶやいたものを神官が翻訳するというテキトーなもの。


そんなシステムだったので、最初のうちは良心的なものだったのでしょうが、時代が進むにつれて非常に政治的なご意見番となってしまったようです。例えば、神託を得て隣国に攻め込めば、それが正当化されてしまったり。


神託が政治的に重要なものになっていったため、いろいろな都市国家は競うようにデルフィに寄進するようになり、最盛期にはアポロン神殿(これは山の上のほう)への参道沿いに、ずらりと各ポリスから奉納された建造物が並んでいたそうです。


現在のデルフィはこんなです。


きょうの石膏像-GK121

紀元後500年くらいからすべて地中に埋もれ、その上に村が発展していましたが、19世紀の末になってフランスの研究チームが村を丸ごと移動させ(1キロくらい離れた所に別の村を造った)発掘されました。



なんかデルフィの説明になってしまいました。肝心の石膏像の本物はこちら、


きょうの石膏像-GK119


だいたい2メートルくらいの大きさの彫刻ですので、今回の石膏像(H.34cm)とはクオリティの面では比較になりませんが、本物は本当に素晴らしい。


全体はブロンズ製です。左手は失われていて、右手には馬をひく手綱が残っています。


これだけのものが作れる古代ギリシャのブロンズの鋳造技術というのは驚異的!。なんといっても、この作品の素晴らしいところはB.C.5世紀のオリジナルであるというところ。しかも損傷が少ない!。”まつげ”までばっちり残っている!目


同時に出土した礎石の記述によると、シチリアの専制君主ポリュザロスがピュティア競技会で戦車競争に勝利したことを記念し紀元前474年に奉納したものだそうです。


きょうの石膏像-GK118


きょうの石膏像-GK117


全体の構成はこうなっていた!という想像図。黒く見える部分は実際に出土した部品ですね。

かなり高い場所に設置されていたため、下側からの見栄えを考えて御者の腰から下がスラーっと長く強調されて作られているということです。

きょうの石膏像-GK120


次回はこの彫刻の原作サイズの半面をご紹介します。




今回取り上げた、A-361 御者の像は、私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」で実際に購入していただくことが出来ます。以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。


きょうの石膏像     by Gee-sekkouzou.com




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