N-308 小児立像(キューピット) | きょうの石膏像 

N-308 小児立像(キューピット)


きょうの石膏像-A-308
A-308 小児立像(キューピット)   H.47×W.16×D.18cm

 

 

これまた定番中の定番ですが、はっきりとした由来はわかりません。

 

 

 

ただセザンヌの絵の中にモチーフとして描かれているので、100年以上前から石膏像として流通していたものです。

 

 

南仏にセザンヌのアトリエが保存されていますが、そこには現在でもこの石膏像が展示されています(他にも男子解剖座像やボルゲーゼの闘士の縮小の全身像など飾られています)。印象派の人々にとってはこういった石膏像を所有することは、すでに一般的だったようです。

 

 

 

なんかセザンヌが描いていると聞くと、急にこの石膏像が輝いて見えてきません?ちなみにその当時から両腕はすでにありません。どんなポーズをとっていたのか興味深いところです。

 

 

 

印象派よりもっと前の時代は石膏像ってどうだったんだろという疑問がわくでしょうが、それはまたの機会に。

 

歴史を語ろうとすると長くなりそうなので。

 

2018年4月 追記: この彫像についての詳細が判明しました。
 

制作年代  : 17世紀前半

収蔵美術館 : 

作者    : フランソワ・デュケノア(François Duquesnoy, 1597 – 1643)
       
   (イタリアでの呼称は Il Fiammingo)

 

小便小僧の作者であるジェローム・デュケノア(Jerôme Duquesnoy)の息子フランソワ・デュケノアの作品です。フランドル出身のデュケノア親子はベルギーの宮廷彫刻家でした。フランソワは宮廷からの支援を受けローマで彫刻を学び、その後もローマで活躍しました。同時代にローマで活躍していたベルニーニが劇的な表現を得意としていたのに対し、デュケノアは古典・古代のカノンに習った抑制された作風で高い評価を得ました。聖人像、プット(小児)像、古代遺物の修復・再生などたくさんの作品を残しました。フランス宮廷からも高く評価され、晩年には王立彫刻アカデミーの設立を委託されますが、フランスへと旅立つ途上で亡くなりました。
 19世紀末に印象派の画家セザンヌがこのキューピット像をモチーフにした作品を描いています。当時の美術教育教材としてポピュラーな石膏像だったようです。他にもほぼ同一の彫像で、両腕が備わり踊るポーズの石膏像の写真が残されており、原作彫刻には両腕が存在したものと推定されています。


 

 

2010.09.05 追記:

 

 

 

 

セザンヌの絵画がWikiでみつかりましたので貼っておきます。

 

 

File:Paul Cézanne 195.jpg

 

この時点で、すでに両腕は無いみたいです。奥に見えているのは男子解剖坐像ですね。この解剖坐像は、ゴッホも描いています。

 

 

File:Paul Cézanne Cupido de escaiola.jpg

 

 

二枚とも、1895年制作となっていますので、けっこう晩年の作品ですね。

 

 


 

 

 

今回取り上げた、A-308 小児立像(キューピット)は、私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」で実際に購入していただくことが出来ます。以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。


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