5月16日、JR東日本長野支社から中央線特急「あずさ」「かいじ」へのE353系投入に関する発表がありました。

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これまでは「スーパーあずさ用新型車両」として紹介される機会の多かったE353系ですが…

現在、全列車がE257系により運行されている「あずさ」「かいじ」のうち、「あずさ」では10往復中3往復、「かいじ」では12往復中9往復が、2018年7月1日よりE353系での運行に変更されます。

既に「スーパーあずさ」は全列車がE353系で運行されていますので、7月からは中央線特急全30往復のうち20往復が新型E353系での運行、ということになります。
また、これまで運用に就いていたE353系は全て3+9の12連でしたが、7月から運用開始となる列車は全て9連。つまり、E353系初の9連運用が始まります。
7月より投入されるE353系は9連7本63両。現在は12連5本60両が稼働中ですので、一気に倍増することに。
また、現時点ではS-110編成までが出場済みとなっているため、7月までにS-111、S-112編成が製造され、S-101編成の量産化改造が完了することが予想されます。
加えて、この発表の中で初めて「E257系にリニューアルを施工し、東海道線に転用する」ことが公式発表されました。先般発表された豪華仕様の「E261系」と共に伊豆方面で活躍する姿を見ることができそうですね。


-7月からの中央線特急-
・「スーパーあずさ」 全列車
・「あずさ」17、21、27、12、16、34号
・「かいじ」103、107、115、112、116、124号以外の列車
以上の列車がE353系での運行。なお、車両取り替えによる運転時刻の変更は無し。

-E353系の現状-(本稿作成時点)
S-202+S-102(2017年12月改正から使用開始)
S-203+S-103(同上)
S-204+S-104(同上)
S-205+S-105(2018年3月改正から使用開始)
S-201+S-106(同上)
12両編成は基本的に上記の固定ペアで組成

S-101(長野で量産化改造中)
S-107~S-110(落成後運用せず各地に疎開、各種訓練に充当)
S-111~(製造中)

S-200番台は3両編成、S-100番台は9両編成。12両編成は ←新宿 S-200+S-100 松本→ の組成



さて、ここからは運用面を見ていきましょう。

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現在、154両が運用されているE257系。第1編成の落成からちょうど17年、ついに中央線を追われる立場に。

現在、E257系9両編成は16本が在籍し、通常14本が使用されています。
今年3月のダイヤ改正でそれまでE351系が担っていた平日の「中央ライナー」2号、7号をE257系に持ち替えるため運用を改定。E353系への段階的な置き換えを見越した運用が組まれています。
具体的には、9連の14運用が「分併やライナーなどが絡む8運用」と「9連単独で特急のみの6運用」に分かれており、7月からは後者の6運用をE353系に置換えるということになります。

発表をご覧になった方の中には、「あずさ」より「かいじ」が先に新型車両に置換えられることを疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんが、「かいじ」はほとんどが9連単独で、深夜帯に下り列車が多く設定されることもあって同じ運用に「ライナー」を組み込むことができないため、必然的にE353系への置換えが優先的に行われることになるわけです。なお、現在4本が設定されている特急車の甲府滞泊は7月に全てE353系に変更されます。
また、現在E257系11連が運用されている列車や「ライナー」「快速」は7月以降も変わらずE257系での運行で、南小谷や千葉、長野、青梅といった場所でE353系の姿が見られるのは、まだ先になりそうです。

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12往復中1往復のみ設定されている11連「かいじ」。7月以降もE257系での運転です。

およそ16年前、E257系による183系の置き換えは2001年12月~2002年12月という極めて短期間で行われました。
その際も、段階的な置換えが実施され…
2001年12月 E257系運用開始。全列車11連固定編成
2002年3月 E257系9連運用開始。「かいじ」への投入開始。189系11連運用終了。183系9連運用を2グループに分離
2002年7月 183系9連運用2グループのうち片方をE257系に置換え、「かいじ」全列車をE257系に統一。「ライナー」でE257系使用開始
2002年12月 「あずさ」「かいじ」全列車をE257系に統一

という流れになっていました。

昨年から始まったE353系への置換えも…
2017年12月 E353系運用開始。全列車12連固定編成
2018年3月 「スーパーあずさ」全列車をE353系に統一。E351系運用終了。E257系9連の運用を2グループに分離可能な形に改定。「ライナー」全列車をE257系に統一
2018年7月  E257系9連運用のうち片方をE353系に置換え、E353系9連運用開始。「かいじ」への投入開始

という形になっており、E351系・E257系のE353系への置換えも、以前と同様に段階を踏んで進んでいくことになりそうです。

さて、上で触れたように、7月以降E257系は9連8運用、2連4運用となります。7月以降も運用を継続するE257系9両編成は9~10本程度でしょうか。少なくとも9連6本は運用を離脱することが見込まれ、これらの編成がどのような動きを見せるのかにも注目です。

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特徴的なカラーリングのE257系。配色パターンとドア横の小さなイラストは1両毎に異なります。

2017年12月から翌年7月までという短期間で123両が運用を開始することになるE353系。置換え開始以前のE351系、E257系の総数が214両だったことを考えると、半数以上の置き換えが間もなく完了することになります。
中央線での運用を終えたE257系が東海道線に転用され、今後も活躍が見られる…というのは間違いありませんが、当然車両デザインは大きく変化するでしょうし、編成組み換えが発生すれば(同期の683系がそうであったように)、その過程で一部車両は転用されず終いになるかも知れません。

また、この投入ペースが維持されれば(且つ、E257系の転用改造がハイペースで進めば)、来年の3月改正あたりで中央線全特急列車がE353系に統一されることも十分あり得るでしょう。ゆくゆくは、常磐線特急のように松本行きは「あずさ」、甲府行きは「かいじ」に統一され、「スーパーあずさ」の名が消えることも考えられます。

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東京駅1番線で発車を待つ、中央線特急の最終列車「かいじ123号」。この列車の終着、甲府到着は日付変わって0:40。「甲府駅からのお乗り換え列車は全て終了しております。改札口へお進みください」という最終列車らしい案内を聞くことができます。この列車も7月からはE353系9連での運用に。

E353系が「スーパーあずさ」として走り、カラフルなE257系が9両や11両を組んで早朝から深夜まで活躍する中央線は、まさに現在の、ほんの短い期間しか見ることができない光景です。
後悔のないように記録を進めておきたいものですね。

それでは。