こんにちは。

今回は、E129系…と、よく似たお顔の電車の話題です。

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2006年に登場した、仙台地区向け交流電車E721系と…

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2014年に登場した、新潟地区向け直流電車E129系…

この2形式は、前面や車体のデザインに似通った部分が多いことでよく知られています。
(実際のところ、車体構造や設計思想など、全く違う部分は多々ありますが…)

2015年に2連8本が新造された「仙石東北ライン」用HB-E210系ハイブリッド気動車もE129系とほぼ同一の車体、前面デザインで登場しており、「この顔」が今後のJR東日本の地方向け電車・気動車の標準タイプとなっていくことでしょう。

ちなみに、今後男鹿線用に登場する予定の「EV-E801系」交流蓄電池電車も前面の印象はE129系などにやや似通っているものの、実際のところはJR九州の817・819系の前面デザインを「JR東日本風」に変更したもので、車体はE721系、E129系いずれとも異なった仕様となる予定です。

デザインの似通ったE721系とE129系ですが、双方電化方式の違いから顔を合わせる機会もなく、製造時期(E721系:2006年-2010年 E129系:2014年-2017年度予定)はもちろん、製造工場(E721系:川重・東急 E129系:総車新津)も異なっており、まったく接点がありませんでした。


ところが…先日、JR東日本仙台支社発表されたプレスリリース内でE721系の増備が公式発表。
実に6年ぶりとなるE721系の増備車はE721系1000番台に区分され、これまで全車が2両編成だったE721系に4両固定編成が新たに誕生すること、719系を置き換えること、従来の「赤+白+緑」帯が「桜色+白+緑」帯に変更されること、そして総合車両製作所横浜事業所・新津事業所にて製造されることが発表されました。

4両固定編成での新造となりますので、新たに中間車が登場します。
E721系は1M方式ですので編成は既存車を踏襲したクモハ-サハ-モハ-クハとなり、E129系のクモハ-モハ-モハ-クモハとは異なりますが、システム上はE129系同様「2連固定編成を2本併結」した形となり、中間車もE129系同様やや変則的なドア配置となるものと思われます。

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車端部の長さが前後で異なるE129系中間車。E721系中間車も同じような設計になるのでしょうか?

また…

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眩いHIDヘッドライトが特徴のE721系ですが…

2013年にE721系をベースとして製造された青い森703系では、現在E129系のヘッドライトに採用されているものに近い「2連LED」式となっています。今回増備されるE721系でもHID灯からLED2灯への変更が行われるのでしょうか?


さて、新しい車両が来れば、消える車両もあるわけで…

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JR初期から仙台地区の主力として活躍してきた719系。集団見合い式のセミクロスシートがユニーク

719系の新造はJR化後であり、ブレーキは電令式、車体も一見まだまだ使えそうに見えますが、719系(狭軌車)の台車は719系新製時に廃車が進んでいた急行型電車の再用品でそのあたりも今回の置き換えに関係しているのでしょうか。
なお、719系には磐越西線向けの観光列車「フルーティア」として改造されたばかりの車両もあります。「フルーティア」は定期列車に併結されての運用ですので、今すぐに719系の全廃は考えづらい、とも思われますが…?

いずれにせよ、今回新津事業所でのE721系製造が発表されたことで、ついにこの似通った2形式が同時期に、同じ製造工場で製造されることになります。
夏頃には人数限定(かつ一部を除き撮影不可)ながら新津事業所見学会が予定されていますので、もしかしたら製造中のE721系を目にすることもできるかもしれません。

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ステンレス構体の状態ではE129系とE721系を見分けられない…と思われるかもしれませんが、E721系は低床構造のため、客用扉と乗務員室扉の高さが異なる点や車体裾部が折れ曲がっている点に注意すれば見分けは容易でしょう。

新津事業所では、今年3月にE129系B編成が出場して以来、車両の出場がないどころか工場外部にも完成車両の姿が見られない状況だった、という話を聞いており、「新津は一体何を作っているのだろう?」と疑問に思っていましたが、今回の発表によりその疑問も解けました。

今回新造されるE721系1000番台は4連19本76両。横浜と新津の担当割合がどのようになるのかは分かりませんが、今のところ新津で製造されているのはE129系のみで、残りは僅か52両。さらに、製造は2017年度までかかるようですので、E235系等の動向も絡むとはいえ、相当数のE721系が新津から出場するものと考えています。


ところで、これまで様々な車両を製造してきた新津車両製作所~総車新津事業所ですが、(管理人が把握する範囲では)今回のE721系が初の交流専用電車の製造となります。交流区間を走行する車両ではE531系を製造していますので、交流加圧設備等の面では特に施設改修等は不必要と思われますが、気になるのはその出場方法です。

(追記)総車新津事業所内に交流加圧設備は無いとのことです。

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JR東日本向け出場車は信越本線での出場試運転が通例でしたが…

これまで、JR東日本向け車両の出場時は自走で出場し、信越本線で試運転を行うのが通例でした。(保安装置非対応車も可搬式保安装置で対応)
ですが、E721系は当然ながら信越本線では走行できませんので、新潟地区での出場試運転も不可能。そのため、近年では珍しい甲種輸送による出場となるのでしょうか?ちなみに、新津車両製作所時代の甲種輸送による入出場実績としては都営10-300形、小田急4000形、E233系グリーン車等があります。
また、新潟から仙台までの甲種輸送であれば、間違いなく首都圏回りでしょう。ということは、EH200形とEH500形のリレー形式でしょうか?そのあたりも気になるところです。

製造開始から10年となる今年、再増備が決定したE721系。実車の登場とその活躍に期待です。

それでは。