生きているうちにお墓を建てる人が増えています。


これを寿陵(墓)あるいは生前墓と呼びます。
最近民間の霊園では、申込者の多くが生前にお墓を求めていると言われています。
古来中国では、生前にお墓を建てることが長寿を授かる縁起の良いこととされていました。

最近では縁起のためだけでなく、子供に負担をかけたくない、または自分の気に入った墓碑銘や石、場所などを選びたいという人が寿陵墓を建てているようです。


石材店スタッフのひとりごと。


◆寿陵の意味
生きているうちにお墓を建てると早死にする、または悪いことが起きると言う人も多いようですが

それは迷信です。
「寿陵」の寿の字が示すように「家に幸せをもたらし、長寿が約束される」 といわれ、

大変おめでたいお墓なのです。

仏教の教えにおいても、「寿陵」を建てることは、「逆修(ぎゃくしゅう)」すなわち

「生前、自分のために仏事をいとなみ、冥福を祈ること」を為すことになります。
「逆修」は善根を導き、それによって功徳がもたらされます。
そして「功徳は」さらに、子から孫へと残すことができ、未来の繁栄と幸福につながると言われています。
今までは、身内が亡くなったあと、法要等にあわせてお墓を建てる人が多かったのですが、

お墓をいつ建てるべきかについては仏教の教義の上でも特に決まりがありません。
思い立ったときこそが、お墓購入の最良の時期といえます。

生前に自分の「寿陵墓」を建てることも選択肢の一つでしょう。

寿陵の「寿」という文字は、「じゅ」と読み、長寿・長命など、いのちを長らえるという意味で使われます。
また、「ことぶき」と読むときには、祝いごとを表します。
また「陵」は「みささぎ」「はか」と読み、中国では古くから「皇帝の墓」という意味で使われてきました。
日本でも天皇の墓を「御陵(ごりょう)」と呼んでいます。

石材店スタッフのひとりごと。

◆寿陵墓のメリット

身内が亡くなった時、「すぐにお墓を…」といっても、

墓地の立地環境や交通の便などを考えている意外に時間が掛かるものです。
満足のいく墓地を見つけることはそう簡単なことではありません。
実際墓地を建てるにしても、石材の加工や工事期間を考えれば最低でも1カ月以上はかかってしまいます。
その意味で寿陵を建てておけば、いざというときでも「安心」です。
まず、何よりも後に残った家族への負担を軽減することができるからです。
また、お墓は課税の対象になりませんので、相続の際に相続税はかかりませんし、

不動産取得税・固定資産税などもかかりません。
親が寿陵墓造っておけば、相続の時に墓地大は除外することができるのです。


石材店スタッフのひとりごと。

◆開眼法要は必要?

通常、墓石を建立したら、最初に墓石に魂を入れる「開眼法要(入魂式)」を行います。
お墓に限らず、仏像や仏壇、仏画、卒塔婆、位牌、石塔などはすべてこのような儀式を経てはじめて霊験ある存在になります。
つまり魂を入れない墓石はただの石にすぎないのです。
寿陵墓の場合も、亡くなったあとに建てられたお墓と同じように墓前でお坊さんに開眼(入魂)のお経を唱えていただき、魂を迎え入れることが必要です。
分家であっても開眼法要を行うことによってご先祖との絆が生まれ、「先祖代々の墓」になります。
法要のいとなみ方については宗派によって異なりますので、事前に菩提寺に相談されたほうがよいでしょう。



石材店スタッフのひとりごと。


◆日本での寿陵の歴史

寿陵はもともと中国ではじまってものですが、日本でも「日本書紀」や「聖徳太子伝暦」のなかで、

今からおよそ1300年以上前に聖徳太子が生前に自分のお墓をつくったという記録が残っています。
時代の流れから現在増加している寿陵も、案外、本来のお墓の姿に戻っているのかもしれません。


石材店スタッフのひとりごと。


※参考資料・・・鎌倉新書発刊「2分でわかる仏事の知識