前回のブログの続き。映画もだけど、特典のオマー・シャリフのインタビューがまた素晴らしい。

彼はエジプトの裕福な家庭で生まれ、カイロ大を卒業、イギリスの 王立演劇アカデミーで学び、30歳で名作「アラビアのロレンス」でハリウッドデビューという経歴。つまり西欧にもイスラム世界にも精通している稀有な存在。


「イブラヒムおじさんとコーランの花」は、

ユダヤ人の少年とイスラム教徒の老人を描き「民族や宗教は違っても人間は共存し愛し合える」というテーマに共感して映画出演した。


しかし現実にはそのようにならず、中東でのイスラエルとパレスチナの紛争が続き、暴力の連鎖が起こる原因として、イスラム世界の根本的な問題は貧富の差が激しい事。そしてイスラム世界は今も部族社会で伝統的な社会。人々の考えかたが中世のままであるため一気に近代化をはかろうとしても難しいと語る。こういう伝統的な社会を変えるには時間がかかるのは仕方ないと言う。


この映画が西欧とイスラム世界の相互の理解を深める事が出来るかとの質問にも バッサリと、

「映画にはたいして影響力はない。テレビで毎日きちんと1時間でもちゃんと社会意識を深める番組を放送をすること」だと語る。

このインタビュー。私たち日本人も教科書で民主主義を教わっているはずなのに。裏金問題といい、セクハラで辞職する地方市町村長……日本は本当に近代化してるんでしょうか。恥ずかしい。


しかしこんな知的なオマー・シャリフも 晩年はアルツハイマー病を患って亡くなったと知り、このインタビューも感慨深いです。