更に、「世界最古の《はがね》」の記事には別の問題があります。<これまで最古とみられていた鋼(紀元前20―18世紀)を約200年さかのぼる>と言っていますが、年代から判断するに、これは、冒頭の表のNo.1のことだと思われます。つまり、No.3の2008年の発見が見落とされているのです。No.3はNo.1の1年前に出土しており、その年代は、<現地にメソポタミアのアッシリア商人が植民地を築いたり、鉄の帝国として知られるヒッタイトが建国されたりするより前の、紀元前 22~20世紀のもの>(朝日新聞電子版2008年04月20日)、すなわち紀元前2100~同1900年代なので、No.5の小刀は、これと同年代の人口鉄ということになります。
このNo.5の発見は、「No.3と相俟って、鉄の起源がヒッタイト以前にある可能性を更に強めた」と書かれるべきものだったのです。結局、2009年の「世界最古の《鉄器》」=「世界最古の《はがね》」をめぐる報道は、このように問題だらけになってしまったのでした。
●「世界最古の鉄剣 トルコで発見 ヒッタイト起源説覆す」(朝日新聞2009年03月26日)http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200903250414.html
●「世界最古の鋼と判明 トルコ遺跡の鉄器」(ZAKZAK 2009年03月26日)
●中近東文化センター付属アナトリア考古学研究所
http://www.jiaa-kaman.org/index.html
●ヒッタイトの遺跡とその出土品は、こちらからどうぞ。
http://www.mineprofs.org/info/research/SOMP-05-Research-Ancient%20Metallurg-Ozbal.pdf
(C)Dr.Kazuko OKADA
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