父が蒸発してから、母が一人で始めた雑貨屋を、父が戻り、喫茶店にした。

父がマスターで、手伝いを父はK女にさせた。調理師の学校に行かせて。

K女には、二人の男の子がいた。9才と3才。腹違いの弟。まだ、母親を求める小さい子。

母はk女が働いている間、二人の子の面倒をみた。私は中学生だった。

妹はまだ、療護園にいて、姉と私も、二人の子の面倒をみた。一緒に銭湯なんか行って。

上の子は小さいながらも自分の境遇になんとなく気付いているようで、母に反抗的な態度を見せた。

下の子はなんにもわからず、ただ甘えたいだけで、抱くとミルクの香りがするかわいい子だった。

母も下の子をかわいがった。

でも、不思議な気がした。近所の人も噂した。母はおかしいって。

だって、子供に罪はないから 母は言った。


私が高校を卒業する頃、母は最後の入院をした。

妹は家に戻って来ていて、福祉作業所に通っていた。姉は会社を辞めて、母の付き添いでずっと病院泊だった。

家で妹と二人だった。

私は就職したから、朝、妹の世話をして、会社から帰って、妹に夕飯を食べさせてから、母の見舞いに行く毎日だった。

ある日、K女が、サトイモの煮物を持って来た。おいしそうな煮物。

18才で料理があまり出来ない私。出来合いのお惣菜ばかりの毎日。おもわず、唾がでて、飲み込む。

でも私は断った。あんたの作ったのなんか食べたくない。持って帰って!と。

大人になったらわかるわよ そう言って、K女は持って帰った。

ふりむくと、妹が泣いていた。 ごめん、食べたかった? 断っちゃったよ  

ううん、そうじゃない 夕ちゃんの用意してくれたのがいい 妹が言った。