【坂東巳之助さんによる舞踊「流星」あらすじ解説】
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「流星」は中国のファンタジー。
7月7日の七夕に隼人&右近扮する牽牛と織女、今でいう織姫と彦星が2年ぶりの再会をしてるわけですよ。去年は雨で天気が悪くて天の川が氾濫しちゃって渡って来れなかったの。
遠距離恋愛の二人がそうやっていちゃこらしてるときに、流星、その名も流れ星の流星さんがやってくるの。
その流星って使いっ走りがその二人のところにやってきて、
「御注進(ごちゅうしん)!」って出てくるわけよ。
「なんのようですか?」っていちゃこらしてる二人が聞くと
「やばいんですよ!」って流星が話し出すのね。
雷様ご家族が雲の上にあるんですけど、その旦那様がうっかり地上に落っこちちゃって、しかも落っこちたときの衝撃で腰を打っちゃって帰りの雲バスみたいなの(←笑)に乗り損ねて帰れなくなっちゃうの。
で、しょうがながいから次の雲バスが来るまで端唄の師匠のところに居候するの。なぜなら端唄の師匠に落っこちたから。で、暇だから端唄のお稽古をするわけね。
それで雷さまが家族の元に帰ってきたときには、端唄にすっかりはまっちゃってるもんだから「ゴロゴロゴロ」っていえなくなっちゃうの。それで気の強い奥さんにキレられちゃうの。
「そんな気の抜けた雷でどうすんの!」って。
で、旦那の方は
「うっせー俺はもう端唄マスターだから、こういう感じの雷を世の中に提示していくわ」
って夫婦喧嘩始まるわけよ。それで出てけよってなるんだけど、旦那はマスオさん状態だから、
「いやあんたが出てきなさいよ」
「うっせー子供つれて出てけ」
「ここ私の家よ」
みたいなこといってると子供のカミナリが出て来て
「夫婦喧嘩はやめて。パパママ仲良くして」
っていうんだけど、子供を挟んでまだ喧嘩続けてるのね。
そこにおばあちゃんがやってきて
「あんたたち何してんの」
って止めようとしたら、おばあちゃんカミナリが入れ歯を飲み込んじゃって、それをみておかしくなっちゃって、笑ってるうちに仲直りしました。あはは
っていうのを御注進にきました!(by流星)
牽牛&織女「へ!?」
っていうお話です。
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なんといいますか、流星の空気読めなさとか(笑)このあと彼らはどうなるんだ!?と改めて文字にすると気になることが沢山ありますが、この大らかさも作品の魅力だと思います。
お話を伺ってから改めて「流星」を観ると、状況がよりわかって振りの一つひとつもなるほどと思えたり、清元も「実際にその単語で語られていたんだ!」などまた違った発見がありました。
演じる側でありながら、わかりやすく、やわらかく、的確に作品を解説してくだる巳之助さんは本当に稀有な存在だと思います。
歌舞伎ビギナーの方も、舞踊はなんとなく距離があるな~という方も、楽しめる作品だと、自信をもっておすすめします。
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