新橋演舞場八月花形歌舞伎 夜の部 | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

行ってきました。夏の花形歌舞伎。

今年は八月でも昼夜二本立てでスッキリ。

三部制だと入れ替えのざわつき具合が違うので、とか
そんなことはどうでもよくって、
いやはや、怪談物でなくてもこんなに
夏を感じるものなのね。

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慙紅葉汗顔見勢(はじもみじあせのかおみせ)


三代猿之助四十八撰の内 伊達の十役(だてのじゅうやく)


市川海老蔵十役早替り宙乗り相勤め申し候



 

発 端 稲村ヶ崎の場


序 幕 鎌倉花水橋の場


大磯廓三浦屋の場

三浦屋奥座敷の場


二幕目 滑川宝蔵寺土橋堤の場


三幕目 足利家奥殿の場

同床下の場


四幕目 山名館奥書院の場

問註所門前の場

同白洲の場



 

口上


仁木弾正
絹川与右衛門


赤松満祐
足利頼兼


土手の道哲
高尾太夫 
腰元累
乳人政岡
     
荒獅子男之助
細川勝元
 

海老蔵

渡辺民部之助  愛之助
八汐  右 近
京潟姫  笑 也
松島  児太郎
山中鹿之助  弘太郎
山名持豊  寿 猿
大江鬼貫  亀 蔵
渡辺外記左衛門  市 蔵
沖の井  家 橘
三浦屋女房松代/栄御前  萬次郎
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ご覧になってわかるように、なんと海老蔵さんが
赤字にしたお役を全部務めてらっしゃるのです。
伊達の十役、口上も入れたら11役!

聞くところによると科白は300以上、
早変わりは40数回らしい。

数値上での大健闘ということでなく、
とにかく海老蔵さんの本領発揮という感じだった。


もちろん女形の口跡など、およよとなるところはあっても、
それがへでもなくなる
ぞくぞくする恐ろしさ、美しさ。
海老蔵さんが持って生まれた、
他の俳優がどれだけ羨んでも手に入らない
華・色気を見せつけられた。
しかも失礼ながら、あまり期待をしていなかった政岡が、もう天晴れでしたのです!

凄み、強さ、我が子を目の前でなぶり殺される悲惨な場面での葛藤。

つい「やっぱり親になると変わるのね」とありきたりなまとめかたをしたくなってしまうけれど、要因の一つではあるかもしれない。


外部的要因によって演技が変わるとすれば、自分はどういう状況なのだろうか。


そんなことを考えていたら
photo:01

大好物の丹波黒豆甘納豆を食べ切ってしまった。豆源最高。