「五月のそよ風をゼリーにして持つてきてください」 | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

秋っぽいことしてますか。

私はやたらとかぼちゃや栗を摂取してる位かしら。

あと読書。

と音楽。



読書と音楽に季節要因があるのかっていえば、
自分基準ではないはず。

ところがこのところ、
メディアによる

「秋~冬はひと肌恋しくなるからせつない系を売ろうぜ」


という戦略にのせられているわけでは断じてないが、
手にする本が心ゆさぶり系で、うちのめされている。


装丁が変わっているという点において
お勧めいただいた一冊

立原道造詩集「僕はひとりで夜がひろがる」
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「好きすぎて難しいから断ろうと思ったけど」
というほど道造ラブの魚喃(ナナナン)キリコさんのイラストもたまらない。


ざっと挙げる好きなフレーズ



「逝く昼の歌」





海は 波は 単調などぎつい光のくりかへしだ






「午後に」





私はいつしか 別の涙をながしてゐた
甘い肯定が 私に祈りをゆるすために






「その五」






おまへは いまは 不安なあこがれで
明るい星の方へ おもむかうとする
うたふような愛に 担はれながら








1938年の夏に彼が感じた感情が
2010年の初冬にそのまま
引き継がれていることに震えを覚える。

ブログタイトルにしたのは病床で立原道造が残した言葉。
1939年3月29日、肺尖カタルにて没する。享年24歳。