そのしおんかんとく | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

初めて映画のオーディションを受けたのが
高校生のときだった。

学校を早退して当時事務所のマネージャーUさんと一緒に行き、
会場で別室に案内され、待機したのち、呼ばれて向かった。

ドアを開けるとそこにUさんがいたから、
控室その2だと思って
「めっちゃ緊張してますどうしよー」的なことを言って
あばれていたら彼女が大笑いして
「関ちゃん監督いるよ」っていわれて、
横をみたら園監督がいた。

もうその後のことは覚えていないけど
オーディション後にUさんからもらった手紙に
「見事な三段オチでした」という文面から察するに、
多分なにかやらかしたんだと思う。
初心を忘れないよう?その手紙は今でも大事にとってある。

それから9年も経った。
そんな園監督の最新超話題作「冷たい熱帯魚」を観た。

あまりの残虐ぶりと、ふりきりっぷりに
もう笑えてしまう程だった。

映画も舞台もそうだけど、いくら面白いといっても
どこかで我にかえる瞬間とか、あとどの位で終わるかな、
と時計みたりしたくなること多々ある。

だけど「冷たい熱帯魚」はもう、そんな隙を
与えずに最後まで突っ走る。

無駄なく、観客を裏切り続ける。

そして役者が監督を信頼しきっている。



自殺サークルで免疫がついている人にとってはこの作品への
意外性は感じないだろうけど、未だ公開されない「プロムナイト」という作品が
日の目に触れたら、多分監督の見方がまた変わるのだろうと思った。
なにせもう何年も経ってしまったし、もうお蔵入りだろうけどどこかでフィルムは眠っているんだろうなぁ。
春、全速力で坂を下った撮影風景を思い出す。

suicide circle
「さようなら」あたりにいるのが現役学生時代の関(ばってん制服は衣裳)
スカートが曲がっているのお洒落ポイントです(前向き)