4月26日に国内乗用車メーカー8社が2015年度の生産状況を発表しました。この数字から少し考察してみます。まずはデータです。

トヨタが圧倒的に多いのは当然ですね。まずは総生産台数をグラフにしてみました。

棒グラフの青い部分が国内生産台数、赤が海外生産です。では、国内生産台数だけのグラフを作ってみましょう。

やはりトヨタが群を抜いていますが、二位以下の順位が大きく変わります。二位はなんとマツダなんです。マツダは昨年比7.6%増の99万台弱、100万台目前まで来ています。以下スズキの86万台、日産の85万台と続き、最下位の三菱自動車は65万台です。残念ながら三菱はこの数字が2016年度は大きく下がるでしょうね・・・

次のグラフは総生産台数に対する国内生産台数の割合、国内生産率です。

富士重工がトップの75%、以下ダイハツの70%、マツダの63%と続きます。トヨタも36%が国内生産です。対して日産とホンダは16%、もはや日本のメーカーではないような数字ですね。確かに「地産地消」を進めた結果なのですが、トヨタが36%を国内で生産し、その半数以上を輸出に回している(下のグラフ参照)のには理由があります。それは生産の平準化です。
世界中の国々によって景気に差が出ます、つまりクルマの販売台数が大きく変化します。あまりに地産地消を進めすぎると、ある国では生産が追い付かない、ある国では工場の稼働を止めなければいけないなんてことになってしまします。その点トヨタは全世界で生産の平準化を行います。それには国内生産35%というのは実に良いバランスだと私は考えています。
今、日産、ホンダが元気がないのはこのグラフに表れているのではないかなと思いますし、特にホンダはこの台数の半数近くが軽自動車ですから、生産金額で言えば日本経済に最も貢献していないのがホンダの乗用車生産なのではないでしょうか。

次のグラフは国内生産した車の輸出率です。

ここでは富士重工とマツダが80%と群を抜いています。これこそ「日本で作って、世界に売り、外貨を稼ぐ」という日本企業としてあるべき姿ではないでしょうか?
特に富士時重工はレガシィ、アウトバック、フォレスターなどが北米で大ヒット、「メルセデス?BMW?それともスバル?」とアメリカ人には完全なプレミアムブランドになっています。富士重のアメリカ工場ではその需要を全く賄いきれず、群馬県太田市で作ってその多くを輸出しているのです。
マツダもメキシコ工場をはじめ海外工場を拡大していますのでこの数字は徐々に低下してくると思われますが、Made in JAPANで外貨を稼ぐ形態は続くと思います。
ダイハツが最下位なのは軽自動車しか作っていないので当たり前です。スズキも軽自動車がほとんどなので同様ですが、ホンダのこの数字はやはり行き過ぎた「地産地消」なのかなと思います。

以上、私なりの考えをまとめてみました。私は「日本の拠点で、日本の雇用で、世界中に高付加価値の製品を売りまくることが真のグローバル戦略だ!」と常にセミナーで熱く語っています。それを実現しているのは間違いなく富士重工とマツダですね!