130年の伝統を誇る横浜市無形民族文化財
森浅間神社の「神田囃子」
8月14、15日は森一帯の鎮守として親しまれている浅間神社の例大祭が行われます。
このお祭りで私たちの身も心もワクワクさせてくれる森のお囃子は、伝統芸能として130年余も受け継がれ、昭和56年に「神田囃子」として横浜市無形民俗文化財としの保存団体として認定されました。
この神田囃子は、音符もないのに上手に太鼓をたたいたり、笛を吹く技をどのようにして先祖代々受け継いできたのでしょう。私の母校、屏風浦小学校で創立50周年を記念して発行された「屏風浦物語」をひもとき、その理由を調べてみました。
神田囃子には、口譜(くちふ)という台本があり、それには「トロシトツクツクトンツクツ」と書いてありますが、素人には見ただけではどんな音だかわかりません。実際に師匠の方から太鼓をたたいてもらったり、笛をふいてもらい、口譜に合わせて練習するのです。教わる時にはまず太鼓からで、タイヤや横にした丸太を棒でたたいて打つ練習をします。
笛は最初に「かまくら」という曲で練習し、すべて聞きながら覚えていきますが、毎晩吹いても上手になるには一ヶ月はかかるそうです。「ピイシャララ」という笛の音を軸にして、打楽器の太鼓やかねの音が入って合奏するわけですが、聞いている人をうっとりさせるようになるには、少なくとも3~4年はかかるといわれるほど高度な技法が必要なのです。
100年ほど前には、この地に笛菊さんという笛の名人がいたといわれ、近年では笛寅さんをはじめ名人が次々と生れています。屏風浦小学校の生徒や、町内でもかんだ囃子を習っていて、舞台に出演することもしばしばです。実は私の弟もその内のひとりでした。
このお囃子は「神田囃子森保存会」の皆さんが地域文化の発展、向上のために守ってくださっていますが、私も夏のお祭りには毎年神輿を担いで、磯子が誇る郷土芸能がいつまでも伝承されるよう祈願しています。