異物誤食  限りなく透明に近いプラスチック  | 南大泉せき動物病院(練馬区) 診察室の隣から

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レントゲンにプラスチックは写るのか

写ることもあれば写らないこともある

 

プラスチック単独ではレントゲンには写ります

体内に入ってしまうと、まず写りません

 

特に胃の中にごはんが入っているとほとんどわかりません

 

レントゲン写真では白いものを透過性が低い(不透過性が高い)

黒いものを透過性が高い(不透過性が低い)と表現します

 

不透過性が高いもの

金属、石、骨

 

透過性が高いもの

空気

 

中間

水、脂肪、筋肉

 

これらの白黒のコントラストで判断しています

プラスチックの場合こんな感じです

残念ながらほぼ写らないのです

 

 

分かることもあれば分からないこともあるんです

 

誤食してしまった際には

まず異物のサイズ、質、細かく食べたのかをお聞きします

 

少しでもレントゲンに写りそうであれば撮影します

 

目的は、レントゲンで異物の位置を特定すること

特定できなくとも異物によって引き起こされた体の異常を察知すること

 

レントゲンに写らなかった場合

本人の体格、異物のサイズ、異物の性質によって

 

①吐かせる

②このままうんちに出るのを待つ

③内視鏡

④胃切開

 

となるわけです

 

①吐いて異物が出てくればすっきりですが

 

異物が鋭利なもの、サイズが大きいもの、電池、有機溶媒

 

などの場合は食道を傷つけてしまう可能性が高く採用できません

食道が裂けてしまうことは本当に怖いです

胸部の手術になりますし、食道自体癒合が遅く縫合も困難です

 

②異物が小さく、本人の体格も大きい場合うんちで出るのを待つ

も重要な選択肢です

 

②の怖いところは鋭利なもの、詰まりやすい物であった場合

腸閉塞を起こす可能性、腸穿孔を起こす可能性です

 

こまかく砕いて食べてしまったのであれば、結構出ることが多いです

詰まりやすいのは、紙製品の丸まったもの、ガーゼ、ひも状のもの

植物の種とかは小さくても注意が必要です

 

③麻酔が必要ですが、胃内を確認できるため有用です

 

難点は胃内にごはんが多量にあると、適用できません

内視鏡は胃を空気で膨らませて視野を確保しますが

ごはんが入っていると、カメラの視野が確保できず見つけられません

 

異物が大きすぎても胃の入り口、食道を通過できず採取することができません

 

④胃を開いて異物を確認、摘出

確かに確実ではありますが、

便で排出できる可能性、吐かせられる可能性がある場合には

侵襲性が高すぎます

 

じゃどうせレントゲン撮ってもわからないんじゃない?

うんちで出るのを待つなら撮らなくても一緒じゃないの?

 

いえそうではありません

 

これらの選択肢を選ぶうえで重要な検査です

 

まずは動物へのダメージが少ない検査(侵襲性が低い)

レントゲン、エコーをおこなうわけです

 

異物の性質、異物の場所、本人の体格、腸管の太さ、食道の太さ

細かく食べているのか、レントゲンに写るくらいまだ大きいのか

現時点で異物による体の変化が起こっている可能性

 

選択肢を選ぶうえで重要な要素がレントゲンではわかります

 

無駄ではないですよ

 

動物たちに負担の少ない、侵襲性の低い検査で情報が得られるのであればまずやってあげてください

 

①②③④

を提案したうえで②を選択される場合も多いでしょう

 

レントゲン撮って待つだけだった

何もしてくれなかった

そうは思わないでください

 

うんちで出るのを待つ

検査も無駄ではありません

②を選ぶというための検査です

 

なにもしなかったわけではありません

可能性を考えて動物たちのために

②を選んだということです

 

②を選ぶことで

飼い主さんの理解が得られず満足にならないこともあるかもしれません

説明が足りなければすみません

 

でも

うんちに出て、あぁ、良かったと思えれば

 

願わくば動物たちの幸せになればまぁいいかえーん