【老年に入りかけた年ごろ】をいう『初老』。年齢でいうと何歳くらいなのでしょう。辞書には【40歳の異称】とあります。日本には「還暦」や「古希」など、長寿を祝う慣わしが古くからあり、奈良時代には40歳の"四十の賀"を始まりとし10年ごとに祝いました。そのため40歳を『初老』と呼んだのですね。しかし、高齢化が進み平均寿命ものびた現代ではどうでしょうか。NHK放送文化研究所が今年行った調査では、60歳ぐらいからを『初老』と考える人が全体の42%でした。面白いことに、10代の意見では「初老」は平均48.8歳。50代の意見では平均59.1歳と年齢に幅があるのです。実際に「初老」と呼ばれる年齢に近づくと、まだまだそうは呼ばれたくないのかもしれませんね。他に5、60代を表すことばに『実年』があります。昭和60年、当時の厚生省が中高年の新しい呼び方を公募し、応募総数およそ31万通の中から選ばれました。「人生で一番充実する、実りのとき」というイメージだそうですが、あまり定着しなかったようです。すでに世間で使われていた『熟年』も候補にあがりました。「円熟した年ごろ、人間として成熟した年代」ということで、こちらは定着し今もよく使われますね。最近では「アラウンド還暦」略して『アラ還』という新しい呼び方も出てきました。呼び方は、その人が社会的にどんな立場にいるのか。どんなグループに属するのか、大まかにくくるのには便利です。しかし、くくられた当人たちは"十把一からげ"にされたと複雑な気持ちになる場合もあるかもしれません。呼び方を考えるときには、呼ばれる側がどう思うかも大事な要素の一つですよね。