しま:さぁ今日のテーマはエジプトだ!張り切っていこう!

生徒:先生、前回のメソポタミアのブログ、笑えるところ無かったですよ。クソつまんなかったです。クソポタミアです。

しま:いや!めちゃくちゃ言うじゃん!ってかクソポタミアってなによ!俺とシュメール人に謝りなさい!

生徒:ごめポタミア。

しま:…もう良いです…。

生徒:先生泣かないでくださいよ!ほら、これで涙ふいて。

しま:なんですかこれ?

生徒:粘土板。

しま:顔どろどろになるわ。もういい。エジプトはじめます…。さぁ、メソポタミアはティグリス・ユーフラテス川の流域で繁栄したって教えたけど、エジプトはなんていう川で繁栄したか、もちろん知っているよね!?

生徒:わかんないです!あ、いや、わかんないるです!

しま:絶対わかってるだろ!「エジプトはナイルのたまもの」という言葉がある。たまものってのは、神から授かったありがたい物って意味。古代エジプトが、ナイル川の定期的な氾濫によって運ばれてきた肥沃な土壌によって繁栄したことをあらわす言葉なんだ。ギリシアの歴史家ヘロドトスが、『歴史』という本の中で引用した言葉だからしっかり覚えておこう。

生徒:先生、エジプトも覚え方のポイントってありますか?

しま:もちろん!エジプトはメソポタミアと違って民族の入れ替わりが無く、ずっとハム語系のエジプト人の歴史が続いていく!それを3段階に分けて覚えよう!古王国➡中王国➡新王国だ!

生徒:なるほど!

しま:エジプトにはまず、ノモスと呼ばれる小さな都市国家が誕生した。それを統一したのがメネス王。つまりファラオ。

生徒:エジプトでは、王のことをファラオと呼ぶのですね!

しま:ほいじゃまぁ、さっそく古王国から見ていこう!古王国時代は、だいたい紀元前27世紀~紀元前22世紀。都はナイル川下流域のメンフィスという場所。で、この時代にピラミッドがたくさん作られた!作られた場所はギザで、クフ王・カフラー王・メンカウラー王のものが有名だね。ちなみにスフィンクスが横たわっているのは真ん中のカフラー王のピラミッドの前!

生徒:先生、スフィンクスってなんのために作られたんですか?やっぱりシーサーみたいな守り神?

しま:その通り!ちなみにピラミッドって、クフ王のものが最大で、なんと高さが150メートル近くにもなるんだけど、これだけどでかいってことは、王様の権力も大きかったんじゃないか…って想像つくよね?

生徒:つきます!王様が偉大だからこそ、これだけ巨大な石造建造物が作られたんだと思います!

しま:で、ここでちょっとメソポタミアの復習だけど、メソポタミアの王ってのは神の権力を授かって政治を行う、「王は神の代理人」だって授業で教えたよね?

生徒:はい!「王は神の代理人」と覚えました!

しま:それが、エジプトの場合には、王は人間の姿をした神なんだ!王は太陽神ラーの子!神の子だからもちろん神!

生徒:「王(=ファラオ)は人間の姿をした神」なのですね。了解です、心に刻んでおきま……あ!!!メソポタミアは粘土板に楔形文字を刻んでいたけどエジプトはいったいどんな文字を使っていたんです!?

しま:エジプトの文字は3つの書体があった!神聖文字(=ヒエログリフ)と神官文字(=ヒエラティック)と民衆文字(=デモティック)だ!神聖文字は神殿や墳墓の壁面に刻まれる宗教的なもの。民衆文字ってのはそれが最も簡略化された書体だね。

生徒:あれ…たしか、エジプトの文字を解読したのってナポレオンじゃなかったでしたっけ?

しま:惜しいね…ちょっと違うな!ナポレオンは1799年にイギリスにダメージを与えるためにエジプト遠征を行うんだけど、その時にロゼッタ゠ストーンというものを発見するんだ。だから、ナポレオンがエジプト文字解読のきっかけになった!って感じかな?

生徒:なるほど!あ、資料集にロゼッタ゠ストーン載ってますね!上から順に神聖文字・民衆文字・ギリシア文字の3書体で刻まれていて、1822年にフランス人のシャンポリオンがギリシア文字の部分を手掛かりに解読に成功…か。

 

しま:ちなみに古代エジプトには草の茎を薄くスライスして、乾燥させて作る紙の一種の“パピルス”っていうものがあったんだけど、このパピルスが英語のpaper(紙)の語源なんです!

生徒:なんかこういうのを知ってるとちょっとかっこいいですよね。例えば、トイレに入ってて、紙が無いことに途中で気づいた時でも「すいませーん!ちょっと誰かトイレットパピルス取ってくださーい!」って言えば、だいぶインテリ感が出ますもんね!

しま:いや、だいぶダサいよ。

生徒:そっか…まぁ確かに、万が一本当にパピルス持って来られたら困っちゃいますもんね。お尻痛そうで。

しま:いや、なんの心配。

生徒:ってか先生!トイレットペーパーで思い出したんですけど、エジプトって確かミイラも有名ですよね?

しま:トイレットペーパーで思い出すのはどうかと思うけど、確かにエジプトと言えばミイラだね!死体を保存しておけば死によって一度離れた霊魂が再び体に戻り、永遠の生命を得ることができるという霊魂不滅の思想、そして来世への信仰があったんだ!死後の世界があるわけだから、死者が死後の世界で困らないようにお墓に案内書みたいなものを一緒に埋葬していたんだけど、その案内書を『死者の書』という!

 

生徒:すごい!なんか中2心くすぐられてかっこいい!

しま:ちなみにこの『死者の書』はもちろんパピルスの巻物に書かれている。

生徒:なるほどー!あ、先生、紙の話は良いですけど、そろそろこのブログの紙面が足りなくなってきませんか?

しま:本当だよ!無駄遣いするから!次!紀元前22世紀頃~紀元前18世紀頃が中王国時代なんだけど、覚えるのはたった2つだけ!まず1つは、都がナイル川中流域のテーベだということ。そしてもう1つは、中王国の末期にヒクソスという西アジアの遊牧民がエジプトに侵入してきて一時的にエジプトを支配したことだ!

生徒:あれ?先生最初に「エジプトは民族の入れ替わりが無くて、ずーっとエジプト人の歴史」って言ってませんでした?

しま:言ったよ。だからこれは”例外”。で、入試ってのは例外が大好き。

生徒:なるほど。問題になりやすい…ってことか。

しま:以上!ここまでが中王国の歴史!続くエジプト新王国には、有名な4人の王様が居る。トトメス3世➡アメンホテプ4世(=イクナートン)➡ツタンカーメン➡ラメス2世だ。この4人の王の業績を追っていきましょう!

生徒:がんばります!


しま:トトメス3世は簡単。”最大版図(=最大領土)”それだけです。問題は次のアメンホテプ4世。この人は“エジプトの宗教改革者”と呼ばれている。これがどういうことか…まず、エジプトの宗教について教えよう!エジプトというのは多神教の国家。一番えらくて人気のある神様はラーと呼ばれる太陽神で、その他にも各都市にそれぞれ守護神(=都市神)がいる。で、その王国の首都の神+ラー神を合体させた形で呼ばれ、信仰されていたんだ。

生徒:ってことは、首都を確認しないとですね!

しま:古王国はメンフィス、中王国はテーベ、これはもう勉強した。で、新王国もテーベなんだよ。テーベに都を置いている時代がかなり長く続いている。だから、テーベの神様が崇拝される時間が長かったということになる!ちなみに、テーベの神様はアモン神だ。アメン神とも言うよ。

生徒:ってことは、アモン神とラー神を融合させて、アモン゠ラー神を長い間崇拝していた…ってことですか?

しま:まさしくその通り!と、ここである問題が起きます。なんとアモン゠ラー神に仕える神官たちが王以上に力をつけてくるのです!みんなも神様に拝む時って、お布施とかお賽銭を持っていくよね?それをこの時代の神官たちは私利私欲に駆られて自らの懐に入れちゃうんです。で、その財力を使って政治を操っていくのです!

生徒:なんと!政治が腐敗しちゃうじゃないですか!!!まぁいっか!!!

しま:良くない!まぁ、適当な王様なら全部神官任せで遊んでいれば良いから楽なんだけど、正義感の強い王はそんなの黙って見ていられないよね?その王こそがアメンホテプ4世なんだ。彼は財力で政治を操る腐敗しきった神官団を排除しようと考えた!

生徒:そのためには、んーと…神官は神様に仕えているわけだから…分かった!首都を遷しちゃえば良いんだ!

しま:その通り!彼は当時未開の地だったテル゠エル゠アマルナに新都を築き、そして神様をアトン神に変えるのです!そして、自らの名前をイクナートン(アトン神に愛される者)と改名し、アトン神に仕える神官だと宣言するのです!

生徒:そうすれば、イクナートンに信頼もお布施も集まる!

しま:そうなんだ。彼はその余ったお金で様々な芸術品を作った。それでこの時代にはアマルナ美術という写実的な芸術が栄えたんだよ!

生徒:だけど、その繁栄も長くは続かない…? 

しま:まさしく。イクナートンの死後、その子のツタンカーメンが王になるんだけど、彼はまだ小さかった。結局ツタンカーメンは、財宝や権力を狙う大人たちの様々な陰謀によってアモン信仰を復活させてしまうのです…

生徒:え!ツタンカーメンって有名なのに、業績はアモン神を復活させただけですか!?

しま:そう。大した業績が無かったからこそ、墓も小さくて、だから見つからなくて盗掘されなかったと言われている。で、最後は“征服王”と呼ばれるラメス2世。ラメス2世が出てきたら絶対覚えなくちゃいけないのがカデシュの戦い。これは紀元前1286年頃のヒッタイトとの戦争で、世界初の国際条約と結んだと言われている。この戦争は、結局引き分けに終わるんだけど、彼が建設させたアブシンベル神殿には、まるでエジプトが大勝利を収めたかのような壁画が残されている!あと、これは後で詳しく話すけど“出エジプトの時の迫害者”というフレーズだけ覚えておいてね!

生徒:わかりました!これでエジプト新王国も終わりですよね?なんとか覚えられそうな気がします!

しま:あと、エジプトとメソポタミアはよく比較されるんだけど、エジプトは太陽暦を採用し、数の数え方は十進法。ナイル川の氾濫を予測するために天文学も発展していたよ!これで完璧だね。