今日も左目はなにも写さない
明日も、明後日も、1年後も、20年後も・・・・・一生。
周りの人の両目は今日もキラキラ光っていたり
どんより曇っていたり
焦ってあたりをきょろきょろ見たりしている。
今日も左目を長い前髪で隠して歩く
人に嫌われることを実感するために
私が悪者だって確かめるために
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暑い。
夏休みが終わり9月に入ったばかりなので夏の暑さは健在だ。
慣れてない道を、記憶を頼りに進んでいく。
転校初日から遅れるわけにはいかないので、早く家を出発して正解だったようだ。
朝8時前の日差しは強くもあり、優しくもある。
朝早いうちに花に水をあげたのだろう。
花弁や葉に水滴が残っている。
コンクリートの道がところどころ濡れている。
その上を歩くと少し涼しく感じる。
やっぱり髪を切っておくべきだったと思いながら、歩みを早める。
目を覆い隠すように前髪が伸び、分けていても視界が悪い。
とかしても直らない寝癖を無駄だと解りながら手ぐしで整える。
ふと視線を上げると、同じ制服を着た学生がぽつぽつと歩いているのが目に入った。
道はあっているようで安堵した。
数分後校舎が見えた。
ちょうどたくさんの生徒が登校する時間帯で、好奇の視線が自分に向けられている気がする。
一歩立ち止まって校舎を見上げて、大きく深呼吸する。
「よし・・・」
期待と不安が入り混じる中、この学校で過ごす覚悟を決めた。
玄関に立っている初老の先生に
「今日からこの学校に通うことになったのですが…・」
と声をかけると、
「あぁ、新井真君だね。待ってたよ、まず教務室へ行こうか」
と、下駄箱の場所を教えてもらい、買ったばかりの靴に足を入れる。
キュッと音が鳴った。
初老の先生は池田といい、学年主任をしているという。
黒々とした髪に手を当て、通り道に在るものの紹介をしながら教務室へ向かう。
「はい、ここが教務室ね」
といって、ドアに手をかけ右に引いた。
「失礼します・・・」
池田について入り、ぼそぼそとあいさつする。
教務室中の視線が集まっているのを感じる。
「横瀬先生、新井君がきましたよ」
池田が声をかけると、机に向かっていた若い男が近づいてきて、
「おはよう。今日から君が入るクラスの担任の横瀬昌樹だ。よろしく」
と右手を差し出してきた。
さすがに断ることが出来ず、
「よろしくお願いします」
と下を向いたまま握手した。
今日の予定についての話をし、予鈴が鳴った時に
「さて、そろそろ教室にいくか」
と横瀬が机に荷物をとりに向かった。
他の先生もだいたいが教務室を後にしている。
「じゃあ、がんばってらっしゃい」
と池田は声をかけ、自分の席へと向かった。
それと入れ違いに横瀬が戻り、
「さあ、いくぞ。心の準備はいいな?」
と言った。
曖昧に笑っておいて、教務室を後にした。