前回のブログ の続き。

HELLO ENDING

「ライブ音源をアップロードした子に、言いたいことがあるんだけど」

「………なんて?」

取材の休憩中に、話しかけて来る深瀬。
何か考えて、言いたいことをまとめてきた時の顔だ。


「ありがとう、を忘れたから」


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前回のブログを書いてから、大きな反響があった。

コトバをしっかりと受け入れてくれた人たち。
過去の自分と対峙してくれた人たち。
アップロードした人に共感して、戸惑いのコメントをくれた人たち。
それから、「許せない」と愛をもって戦おうとしてくれた人たち。

たくさんのコメントやメッセージを読んで、
深瀬は みんなからたくさん反響がきたね!と嬉しそうにしながら
何か、考えている顔をしていた。


「もしかしたらスゴくショックを受けてるんじゃないかって、心配になってきて。」

「アップした人が?」


HELLO ENDING

「そう。【正義】を振りかざしてたった一人のひとを責め立てることになるのはいやなんだ。」

深瀬がライブのMCでも言っていたコトバだ。

「…でも、ライブを録音してアップすることが違法なのは周知の事実でしょう?
 【無知】は罪だよ。」

「じゃあ【無知】が原因で、違法アップロードが世に蔓延しているの?」

「それは……」

「悪いのはシステムだよ」


真っ直ぐな純白の声が、頭によぎる。

ーいじめは正義だから、悪をこらしめてるんだよ。
そんな風に子供に教えたのは僕らなんだよ。(天使と悪魔/世界の終わり)ー


HELLO ENDING

悪いのはシステム。

【クリエイターの悲鳴】が届かないように出来ている、
無機質な違法音楽ダウンロードシステム。

「だれかが悪いんじゃない。だれかを責めたって何も変わらない。
だから、アップロードしたその子に、まずありがとうって言いたいんだ。
広めようとしてくれて、ありがとうって。」

「そうかあ……」

「あとはコミュニケーションだからさ。」

「うん」

「新曲がアップされちゃうと、ライブで新曲披露ができなくなっちゃうとか、
CDが売れなくなったらおれたちは音楽を続けていけないんだ、とか
そういうことを伝えていきたい。」

深瀬らしい、と思う。彼はいつも【コミュニケーション】だ。
ライブもそう。リリースもそう。
みんなにちゃんと伝わるように、丁寧にていねいにコトバを紡ぐ。


HELLO ENDING


「そうだね…。
確かによかれと思ってやったことを非難されると、かなしいキモチになるね。」

「だから作る人も受け取る人も、
それからシステムを変えようと思うエネルギーだって
必要なのは、愛なんだ。」

愛とは何か。
それは時に「想像する」ことであり
それは時に「待つ」ことであり
それは時に「行動する」ことである。


【愛で世界を繋ぐ】なんて本気で掲げてみんなと向き合っても
笑わないで、一緒にいてくれますか。