◯小さくルネッサーンス!…大きくルネッッッサーーーンス!!!
●テンション高めですね。
◯今日はルネサンスだ。難しいことは置いといて、まずはルネサンスをローマ字で綴ってみよう。
●はい。えっと…“Renaissance”
◯さて、それをそのまんま読んだらどうなる?
●えっと…レンアイサンセー…あっ!恋愛さんせい!恋愛賛成だ!わーい!!!
◯その通り!ルネサンスというのはまさに恋愛賛成の時代なのです!!!響け!恋の歌!おわり!
●おぉ!………いや、もうちょっと細かくお願いします…。
◯14世紀から16世紀にかけて、イタリアを中心に人間性の自由・解放を求め、各人の個性を尊重する文化運動が起こった。これがルネサンス!ルネサンスの前後じゃ、ヨーロッパ人のモノの見方や考え方ががらっと変わるんだ。ちなみに、ルネサンスは「再生」という意味だけど、じゃあ何を再生するのかっていうと、それはキリスト教が広まることによっていつのまにか消え去ってしまった古代ギリシアやローマ文化なのです!
●なるほど。でもどうしてこの時代にギリシアやローマの文化を「再生」したのです?
◯それには3つの背景がある。
1.十字軍によるイスラームやビザンツとの接触。
…ビザンツ帝国はローマ帝国の後継者なわけで、当然ギリシアやローマの文化を引き継いでいるわけ。
2.ビザンツ帝国の滅亡による学者のイタリアへの亡命。
3.イタリアの都市国家の成長と、諸都市の有力者による学問・芸術の保護。
…ルネサンス芸術のパトロンとして、フィレンツェのメディチ家は絶対暗記!
●権力者によって芸術家が保護されているっていうことは、既存の社会を真っ向から批判するような社会改革はできないですね。
◯そうだね。そこがルネサンスの限界ってわけだ。よしっ!じゃあまずは、ルネサンスの中心地イタリアの文芸から見ていこう!ここからは作者と作品の一問一答だよ!
<ダンテ>(1265~1321)
『神曲』。ラテン語ではなくトスカナ語で書かれている。トスカナ語は方言。自由ですねー。ちなみに作品中には、古代ローマの大詩人<ウェルギリウス>が登場する。これはダンテがウェルギリウスに憧れていた証拠!
<ペトラルカ>(1304~74)
『叙情詩集』。人間の感情を表現しているわけです。神中心じゃなく、人間中心ってこと!
<ボッカチオ>(1313~75)
『デカメロン』。デカは10という意味。10人が10日間にわたって、聖職者のゴシップネタなんかを話していく物語です。構成は『アラビアンナイト』の真似。デカメロン。先生はメロンもスイカも嫌いです。
<マキァヴェリ>(1469~1527)
『君主論』。この人は文学者ではなく政治学者!当時のイタリアは全土を統一する政治勢力がなく、ドイツ皇帝やフランス王がイタリアの支配権をめぐって争っていた。そんな中「イタリアに統一国家を作り上げなきゃヤバイ!」と主張したのがマキァヴェリです。そのためには、理想的な君主が必要。じゃあどんな君主が理想的か…それは、ずる賢くて、力強い君主なんです。「キツネの狡猾とライオンの勇猛」ですね。この発想をマキァベリズムと呼ぶ。
●ふむふむ。ここまでは覚えられそうです!
◯じゃあもうちょっと頑張ろう!続いてイタリア以外の文芸だ!出身国も覚えること!
【ネーデルラント】
<エラスムス>(1469~1536)
『愚神礼讃』。宗教改革の卵を産んだ人でお馴染ですね。
【ドイツ】
<ロイヒリン>(1455~1522)
『ヘブライ語入門』で、ヘブライ語文法書を完成させた人。というわけでユダヤ人です。
<メランヒトン>(1497~1560)
『神学綱要』。ヴィッテンベルク大学の教授で、アウクスブルクの和議にも出席しました。というわけでルターの知り合いです。
【フランス】
<ラブレー>(1494~1553)
『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』。この人は聖書のフランス語訳をしたことでも有名!
<モンテーニュ>(1533~92)
『エセー(=随想録)』。彼は、インディアンを“良き野蛮人”と表現して、インディアンの強制労働を批判した。良い人です。ラス=カサスと一緒に覚えておきましょう!
【スペイン】
<セルバンテス>(1547~1616)
『ドン=キホーテ』。激安の殿堂のお話ではありません。セルバンテスはスペインの軍人で、1571年のレパントの海戦に従軍し、左手を失います。そして、田舎にこもって小説を書いた。それが『ドン=キホーテ』。当時のスペイン社会を痛烈に批判してます。
【イギリス】
<チョーサー>(1340~1400)
『カンタベリ物語』。ボッカチオの書いた『デカメロン』のイギリス版と思ってください。
<トマス=モア>(1478~1535)
『ユートピア』。ヘンリ8世に大法官として仕えていた聖職者。王の離婚に反対して処刑されます。『ユートピア』では、理想郷を描き、“羊が人間を食う”と言って第1次囲い込み(エンクロージャー)を批判しました。
<シェークスピア>(1564~1616)
『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』は四大悲劇として覚えておこう!ユダヤ商人を扱った『ヴェニスの商人』や、『ロミオとジュリエット』も有名。<エリザベス1世>の保護を受けた劇作家です。以上。
●たくさん出てきましたね…覚えるのが大変そう…。
◯なに言ってるの!まだまだこれで半分!明日は絵画・建築・彫刻をみていこう!はい、せーのっ…
◯●ルネッサーーーンス!!!
☆センターチャレンジ
印刷・出版物とその著者の組合せとして正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。[04追試]
① 『君主論』―シェークスピア
② 『ガルガンチュア物語』―チョーサー
③ 『随想録』―モンテーニュ
④ 『キリスト者の自由』―エラスムス
正解は
③