○「インシャーアッラー。」

 

●ん?それ、どういう意味ですか?

 

◯“神のみぞ知る”ってこと!例えばこんな時に使うよ

 

「それじゃ、明日は10時に駅前集合ねー!遅れないでねー!インシャーアッラー!」

 

●…すると、どうなるんです?

 

◯10時に来られるかは“神のみぞ知る”…つまり、あぁ多少遅れても仕方ないよね!ってこと。

 

●はっ!遅刻がちゃっかり正当化されてる!

 

◯覚えておいて損はないでしょ!?というわけで、今日からイスラームです!まずは、6世紀から7世紀にかけてのシルクロードの衰退から追っていくことにしよう!

 

●どうしてシルクロードが衰退しちゃうんですか?

 

◯それは、ちょうどこの頃、ビザンツ帝国とササン朝ペルシアがシルクロード上でケンカしていたから!道のど真ん中でケンカしているのに、そこにわざわざ割って入って通ろうとする人なんてまずいないよね?

 

●ですね!迂回します!

 

◯その迂回ルートが、まさにアラビア半島のヒジャーズ地方だったわけ!隊商貿易はどんどん活性化して、メッカやメディナという街が繁栄するんだ!

 

●いいですね!いけいけ!

 

◯ただね、繁栄するということは、一方で貧富の差が生まれるということでもあるわけよ。その貧富の差をどうにかしたい!みんなで協力して、平等な社会を実現したい!そういった発想を持って登場してきたのが、名門クライシュ族ハーシム家出身のムハンマドなんです!

 

●聞いたことあります!予言者ですよね!

 

◯おーっと!漢字が違うよ!予言者じゃなくて預言者。すなわち神の言葉を預かる人だ。神というのはアラビア語でアッラー。これは神様の名前では無くて、神そのものってこと。ムハンマドはもともと商人で、隊商活動を行っていたから、キリスト教徒やユダヤ教徒と触れる機会が多かったんだ。そのたびに「あー…一神教の団結力って素晴らしい。」なんて思ってたりしてたわけ。

 

●ってことは、ムハンマドにとってキリスト教徒やユダヤ教徒というのは、尊敬すべき相手なんですね!

 

◯もちろん!だから、彼らのことを“啓典の民”と呼んで、庇護者(=ジンミー)だと言ったんだよ。

 

●なるほど!

 

◯そしてムハンマドは、啓典の民と同じように、一神教を創り出したんだ。それまでは、みんなが好き勝手に自分の思う神々を崇拝して、偶像をつくり、黒い立方体(=カーバ)の建物に投げ入れては拝んでいた。でも、それを辞めさせたんだ。

 

●やりたいことは分かるんですが、イスラーム教も、生まれた当初は新興宗教なわけで、すぐには受け入れられないと思います…

 

◯その通り。いきなり「神の声をきいたぞ!」と言っても、信じてもらうには時間がかかる。ムハンマドは当初、信頼のおける部下たちを連れ、メッカからメディナへ“聖なる遷都”をすることになるんだ。これを聖遷(=ヒジュラ)と言って、この年がイスラーム暦の紀元元年になっている!西暦だと622年だね!

 

●“聖遷”と言うと聞こえがいいですけど、つまりは迫害を逃れた…ということなんですね。

 

◯これによって、イスラームの共同体(=ウンマ)が形成されることになった。そして満を持して630年。彼はメッカに戻ってくると、カーバ聖殿をイスラーム教の聖殿にするのです。

 

●ムハンマドってどんな顔してるんだろ。ちょっと資料集で見てみよーっと………ん?

 

◯気付いたかな?ムハンマドは、偶像崇拝の対象となってしまわぬよう、描かれる際には顔に白い布がかけられるんだ。

 

●なるほど!

 

◯さ、今日はとりあえずここまで!次回はイスラーム教の特色についてみていきましょう!

 

☆センターチャレンジ

預言者ムハンマドに関連して、次の地図中に記されたadのうち、迫害を逃れたムハンマドがイスラーム教徒(ムスリム)の共同体(ウンマ)を建設した都市の位置として正しいものを、下の①~④のうちから一つ選べ。[14 本試]

 

 

① a   ② b   ③ c   ④ d

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は