◯フランスの続きです。さて、フランスでは1830年に起きた七月革命で新たにルイ=フィリップを国王とした、オルレアン朝七月王政が誕生しました!この人の自称は「市民の王」。みんなから人気があると思ってる。でも実際は「株屋の王」。お金持ちのためにしか政治を行わない!と批判されているのです。

 

●それで、こんな風刺画を描かれてしまっているわけですね。

 

◯選挙権を持っている人はわずか1%。でも、考えてください。フランスでも産業革命が起こって、産業資本家や労働者が力を付けてきてるわけですよ。それなのに有権者1%はひどい!ってことで、労働者は選挙権要求運動を起こします。

 

●選挙権!選挙権!!選挙権!!!

 

◯そこへ、ギゾー首相が登場してきて一言、こう言うわけです。

 

「なに?きみたちそんなに選挙権が欲しいの?」

 

●選挙権!!!選挙権!!!選挙権!!!

 

「あーそう。そんなに選挙権が欲しいんなら…金持ちになりたまえ。じゃ。」

 

●ムカーーー!!!

 

◯でしょ!?ムカつくでしょ!?この民衆の怒りは、パリでの選挙権要求運動…いわゆる改革宴会が鎮圧されたところでピークに達します。

 

●二月革命ですね!

 

◯その通り!1848年、二月革命が起こると国王ルイ=フィリップは亡命。国王が居なくなったので、第二共和政となります。臨時政府には、共和派のラマルティーヌや、社会主義者のルイ=ブランが参加します。すごいですよ、何しろジャコバン派以来の男性普通選挙ですから。ルイ=ブランは、失業者対策として国立作業場という施設を作ったりしている!

 

●もうパリの街はルイ=ブラン一色ですね!

 

ルイ=ブラン!ルイ=ブラン!ルイ=ブラン!

 

◯そんな感じ!そしていよいよ4月、四月普通選挙が行われて…開票してみたら、はい!!!ルイ=ブラン落選!!!

 

●ホワィッ!!!

 

◯簡単なことです。フランスの街はパリだけじゃないんですよ。確かにパリには労働者がたくさん居ます。でもフランスは全体としては農業国ですからね。農民の方が多いわけよ。もし、ルイ=ブランが勝って社会主義になっちゃったら?農民の土地はどうなっちゃう??

 

●あ!そっか…。それで保守化しちゃったのか…

 

◯そういうこと。ただ、これには労働者は不満ですよ。さっきの国立作業場が6月に閉鎖されたことをきっかけに、六月蜂起を起こします。明らかに社会が混乱していますね…。ほら、ちょうど、どっちつかずの総裁政府の時にクーデタが起こっていた時みたいに…。

 

●あの時は確か、ナポレオン=ボナパルトが登場してきて、混乱を沈めたんでしたよね。………はっ!まさか!!!

 

◯まさか??

 

●ナポレオン=ボナパルト、セントヘレナ島より脱出ですか!?

 

◯いや、さすがにないです!ナポレオンの弟の息子…つまり、ナポレオンの甥にあたる、ルイ=ナポレオンがここで登場してくるんです!!!

 

●知名度すごいから、名前だけで当選しちゃいそうですね!

 

◯すごいですよ。軍人はもちろん、農民、労働者、あらゆる層の支持を集めて大統領に就任します。こっちのナポレオンの話は、またしばらく先にやりましょう!以上、1848年の二月革命でした!

 

●ハクションッ!

 

 ◯あれ?風邪です??

 

●みたいです。寒いのに中庭に呼び出されたからかなぁ…

 

◯とりあえず、マスクあげます。さて、ドイツで三月革命が起こりまーーーす。オーストリアの首都ウィーンと、プロイセンの首都ベルリンですね。ウィーンでの三月革命によって、メッテルニヒはイギリスへ亡命しています。一応これでウィーン体制は崩壊!ね。

 

●なるほど。ウィーン会議の主催者が居なくなっちゃったんですもんね。

 

◯あと、オーストリアが支配していたハンガリーやベーメンでは、民族運動が起こります。ハンガリーではコシュートが独立を目指して立ち上がり、ベーメンではパラツキーが自治を求めて立ち上がります!が…これはどちらもオーストリアに鎮圧されて失敗。

 

●あら。どっちも失敗なんですね。

 

◯あと、ドイツの統一を目指して開催されたフランクフルト国民議会!これはドイツ統一のところで詳しく話します。

 

●イタリアでも、運動が起こってますね。

 

◯ですね。この間の七月革命の影響のところで話した青年イタリアが、イタリアの統一を目指してローマ共和国を建国します!ただ、これもすぐにフランスによって崩壊させられてしまいました。おわらず。

 

●おわらず!?

 

◯大事なことを一つ。今話してきた二月革命の影響による自由主義・国民主義の高まりには、実は名前が付いています。それが「諸国民の春」!

 

●国民意識が芽吹いたわけですね!