○さて、これから勉強する内容は、前漢の司馬遷が書き残した『史記』という歴史書がもとになっているんだけど、『史記』の中では、神話時代の8人を理想の君主として挙げていて、これを“三皇五帝”と呼ぶ。歴代の中国の君主は、この三皇五帝を理想とするんです。さて、中国史では君主のことをなんていう??
●えっと…“皇帝”…ですか?
○そう皇帝!“三皇五帝”から数字をとって“皇帝”です!三皇の方は出ないけど、後ろの五帝はたまーーーに出るから一応教えておくね!五帝の1人目が黄帝!4人目が暦で有名な堯(ぎょう)、そして5人目が舜(しゅん)。おわり。
●いよいよ王朝の誕生ですね!
○最初は夏王朝です!時代は紀元前2000年頃から前1600年頃。これ、実際にあったかは分かっていません。都もどこかわからない。建国したのは禹(う)という人物…らしい。
●伝説じゃなくて、存在が証明されている最初の王朝は?
○殷です!時代は紀元前16世紀から前11世紀!都は商!建国者は湯王。
●殷は“邑制国家”って書いてありますけど、邑制国家ってなんですか??
○もともと、黄河文明の後半くらいから“邑”という、都市国家ができ始めるんです。で、ちっちゃい邑(小邑)は、大きな邑(大邑)の支配を受けるようになる。こういうのを邑制国家と言うんです。最初の夏王朝は、大邑の商を中心に栄えたんです!殷は都が決まらないで、最初は中原を転々としていたらしい。そしてようやく落ち着いたのが殷墟。これ、殷の都の跡地ってことで、都の名前は商ね。河南省安陽市にあります!
●殷墟の“墟”って漢字、難しいですね!
◯さて、殷では甲骨を焼いて神意を占い、それに基づいて政治を行っていました。亀の甲羅をあぶるんですよ。で、その亀裂を見る。「ややっ!今年は川が氾濫する恐れがあるからダムをつくれだと!?」みたいな感じね。で、こういう占いの結果を記録するための文字が甲骨文字なんです。でも、これ、壊れやすい。というわけでしっかり残したい文は青銅器に刻みます。これを金文と言います。鉄はまだありません!最後に…子安貝です。これ、食べたことありますか!?
●えっと…味噌汁に入れてよく食べます!
○子安貝は食べ物じゃないです。貨幣です。貝の貨幣で”貝貨”!ほら、今でも“買う”とか“購入”とか、お金に関する漢字には貝が入ってるでしょ?で、この子安貝、ベトナムで取れる貝なんです。つまり、この当時から南海交易が盛んだったというわけ!よく試験で「殷は鎖国していた」なんて誤文が出されるけど、引っかからないように!
●かい!
○殷の最後の王が紂王(ちゅうおう)なんだけど…こいつがひどいんだ。自分の宮殿の池の水を抜いてお酒を入れちゃう。で、おなかが空いた時のために木に肉をぶらさげる。お酒の池に肉の林だぞ?こういう贅沢三昧のことをなんていう?
●酒池肉林!
○その通り!で、この紂王を倒したのが周という国の武王(ぶおう)。前の王がダメダメだったら天命に従って交代しちゃっていいんだったね?“易姓革命”のうちの“放伐”だ!
●殷が終わって周のはじまり!
○周は紀元前770年に西から東に都を移します。移動前を西周、移動後を東周と言います。さらに東周も紀元前403年で前後に分かれていて、前半を春秋時代、後半を戦国時代と呼ぶ!ちなみに『春秋』っていうのは孔子の出身地である魯の歴史書で、戦国っていうのは『戦国策』という、この時代に活躍した縦横家の人たちの策をまとめた本!
●周の全体像は掴めました!さっそく中身を教えてください!
○よし!まずは西周[前11世紀~前771年]だ。都は鎬京。渭水盆地がよく氾濫してくれるから、ここには緑が広がっている。さて、ここで絶対おさえて欲しい制度がある!その名も封建制度!
●中世西欧の契約に基づく封建制度とは違うんですか??
○違うんだ!よし、分かりやすく説明しよう!まずはこの教室を周だと思え!先生が周王だ。みんなは諸侯。諸侯は王からそれぞれの土地の支配を任されている。みんなはそれぞれ消しゴムやペンを持っていると思うけど、それが家臣だ。家臣は身分に応じて卿・大夫・士(けい・たいふ・し)と呼ばれる。そしてみんなが使っている机は、俺が貸してやったものだ。それを封邑(封土)という。さらにみんなが消しゴムやペンに貸してる土地が采邑(封土)だ。みんなは、土地を借りているんだから俺にちゃんと貢納しなきゃならない。そして、万が一先生が誰かに襲われたら、みんなは俺を助ける義務がある。軍役だ。
●なるほど!
○で、この王と諸侯っていうのは血が繋がってるんだよ。この血縁関係を宗族という。共通の祖先から枝分かれした集団だ。で、宗族の中には決まり事があって、これを宗法と呼ぶ!
●なるほどー。中世西欧と違って、中国の封建制度は血縁関係に基づいた世襲制度なんですね!
○そういうこと!地方は諸侯に“おまかせ統治”なんです。これが中国の封建制度!
●おまかせ!
○あともう1つ、井田(せいでん)制っていうおもしろい土地制度がある。これ、孟子が付けた名前です。土地があって、これをまず縦横に9等分する。そして外側8個の土地を8個の家族で使う。真ん中の土地は2日~3日交替で、それぞれの家族がやってきて耕す。じゃあ真ん中で収穫された作物は誰のものになるか?国のものなんです!
●なるほど!9等分した土地が井の字に見えるから“井田法”なんですね!
○さて、いよいよ紀元前771年。異民族が入ってきます!犬を連れて入ってきたので犬戎と言う!ただし、ケンジュウとは言うけどピストルは持ってないよ!…なんちゃって!
●シーン…
ははっ!(誰かの笑い声)
○犬戎という漢字を見れば東西南北どこから入ってきたかはわかるよね?そう、西だ!(西の異民族=西戎)よって、都を西の鎬京から東の洛邑へと移す。そして東周が始まるんだ!長くなってきたから今日はここまで!
センターチャレンジ
☆黄河流域の古代文化について述べた文として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。[07 追試]
① 仰韶文化では黒陶と呼ばれる土器が作られた。
② 黄河流域の主要作物は水稲であり、豚などが飼育されていた。
③ 殷王朝では甲骨文字が使用されていた。
④ 西周王朝下(前11世紀~前770年)の中国に仏教が伝わった。
正解は
③
●えっと…“皇帝”…ですか?
○そう皇帝!“三皇五帝”から数字をとって“皇帝”です!三皇の方は出ないけど、後ろの五帝はたまーーーに出るから一応教えておくね!五帝の1人目が黄帝!4人目が暦で有名な堯(ぎょう)、そして5人目が舜(しゅん)。おわり。
●いよいよ王朝の誕生ですね!
○最初は夏王朝です!時代は紀元前2000年頃から前1600年頃。これ、実際にあったかは分かっていません。都もどこかわからない。建国したのは禹(う)という人物…らしい。
●伝説じゃなくて、存在が証明されている最初の王朝は?
○殷です!時代は紀元前16世紀から前11世紀!都は商!建国者は湯王。
●殷は“邑制国家”って書いてありますけど、邑制国家ってなんですか??
○もともと、黄河文明の後半くらいから“邑”という、都市国家ができ始めるんです。で、ちっちゃい邑(小邑)は、大きな邑(大邑)の支配を受けるようになる。こういうのを邑制国家と言うんです。最初の夏王朝は、大邑の商を中心に栄えたんです!殷は都が決まらないで、最初は中原を転々としていたらしい。そしてようやく落ち着いたのが殷墟。これ、殷の都の跡地ってことで、都の名前は商ね。河南省安陽市にあります!
●殷墟の“墟”って漢字、難しいですね!
◯さて、殷では甲骨を焼いて神意を占い、それに基づいて政治を行っていました。亀の甲羅をあぶるんですよ。で、その亀裂を見る。「ややっ!今年は川が氾濫する恐れがあるからダムをつくれだと!?」みたいな感じね。で、こういう占いの結果を記録するための文字が甲骨文字なんです。でも、これ、壊れやすい。というわけでしっかり残したい文は青銅器に刻みます。これを金文と言います。鉄はまだありません!最後に…子安貝です。これ、食べたことありますか!?
●えっと…味噌汁に入れてよく食べます!
○子安貝は食べ物じゃないです。貨幣です。貝の貨幣で”貝貨”!ほら、今でも“買う”とか“購入”とか、お金に関する漢字には貝が入ってるでしょ?で、この子安貝、ベトナムで取れる貝なんです。つまり、この当時から南海交易が盛んだったというわけ!よく試験で「殷は鎖国していた」なんて誤文が出されるけど、引っかからないように!
●かい!
○殷の最後の王が紂王(ちゅうおう)なんだけど…こいつがひどいんだ。自分の宮殿の池の水を抜いてお酒を入れちゃう。で、おなかが空いた時のために木に肉をぶらさげる。お酒の池に肉の林だぞ?こういう贅沢三昧のことをなんていう?
●酒池肉林!
○その通り!で、この紂王を倒したのが周という国の武王(ぶおう)。前の王がダメダメだったら天命に従って交代しちゃっていいんだったね?“易姓革命”のうちの“放伐”だ!
●殷が終わって周のはじまり!
○周は紀元前770年に西から東に都を移します。移動前を西周、移動後を東周と言います。さらに東周も紀元前403年で前後に分かれていて、前半を春秋時代、後半を戦国時代と呼ぶ!ちなみに『春秋』っていうのは孔子の出身地である魯の歴史書で、戦国っていうのは『戦国策』という、この時代に活躍した縦横家の人たちの策をまとめた本!
●周の全体像は掴めました!さっそく中身を教えてください!
○よし!まずは西周[前11世紀~前771年]だ。都は鎬京。渭水盆地がよく氾濫してくれるから、ここには緑が広がっている。さて、ここで絶対おさえて欲しい制度がある!その名も封建制度!
●中世西欧の契約に基づく封建制度とは違うんですか??
○違うんだ!よし、分かりやすく説明しよう!まずはこの教室を周だと思え!先生が周王だ。みんなは諸侯。諸侯は王からそれぞれの土地の支配を任されている。みんなはそれぞれ消しゴムやペンを持っていると思うけど、それが家臣だ。家臣は身分に応じて卿・大夫・士(けい・たいふ・し)と呼ばれる。そしてみんなが使っている机は、俺が貸してやったものだ。それを封邑(封土)という。さらにみんなが消しゴムやペンに貸してる土地が采邑(封土)だ。みんなは、土地を借りているんだから俺にちゃんと貢納しなきゃならない。そして、万が一先生が誰かに襲われたら、みんなは俺を助ける義務がある。軍役だ。
●なるほど!
○で、この王と諸侯っていうのは血が繋がってるんだよ。この血縁関係を宗族という。共通の祖先から枝分かれした集団だ。で、宗族の中には決まり事があって、これを宗法と呼ぶ!
●なるほどー。中世西欧と違って、中国の封建制度は血縁関係に基づいた世襲制度なんですね!
○そういうこと!地方は諸侯に“おまかせ統治”なんです。これが中国の封建制度!
●おまかせ!
○あともう1つ、井田(せいでん)制っていうおもしろい土地制度がある。これ、孟子が付けた名前です。土地があって、これをまず縦横に9等分する。そして外側8個の土地を8個の家族で使う。真ん中の土地は2日~3日交替で、それぞれの家族がやってきて耕す。じゃあ真ん中で収穫された作物は誰のものになるか?国のものなんです!
●なるほど!9等分した土地が井の字に見えるから“井田法”なんですね!
○さて、いよいよ紀元前771年。異民族が入ってきます!犬を連れて入ってきたので犬戎と言う!ただし、ケンジュウとは言うけどピストルは持ってないよ!…なんちゃって!
●シーン…
ははっ!(誰かの笑い声)
○犬戎という漢字を見れば東西南北どこから入ってきたかはわかるよね?そう、西だ!(西の異民族=西戎)よって、都を西の鎬京から東の洛邑へと移す。そして東周が始まるんだ!長くなってきたから今日はここまで!
センターチャレンジ
☆黄河流域の古代文化について述べた文として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。[07 追試]
① 仰韶文化では黒陶と呼ばれる土器が作られた。
② 黄河流域の主要作物は水稲であり、豚などが飼育されていた。
③ 殷王朝では甲骨文字が使用されていた。
④ 西周王朝下(前11世紀~前770年)の中国に仏教が伝わった。
正解は
③