~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

「子供の頃は乗り物酔いがひどかったのに、大人になってから全く酔わなくなった」という人は結構いるもの。

その一方で、「昔は絶叫マシンが好きだったのに、いつの間にか弱くなった」という人も多い。これってなぜ。三半規管の関係だとしたら、乗り物酔いも絶叫マシンの恐怖も共通していそうだが…。

 都内の耳鼻科医に聞いた。

 「大人と子供の一番大きな違いは、“経験の量”でしょう。大人になると、乗り物には鍛えられ、自分が酔いやすいパターンなどがわかるようになるので、それを避けることで、経験的に乗り物酔いしにくくなるのだと思います」

 子供の頃と違い、ブランコでは酔うこともあるが、それも「大人になり普段、乗らなくなっているからでは」という。

 となると、絶叫マシンも、単に子供の頃より乗らなくなるから、弱くなるということだろうか。

 「絶叫マシンの経験そのものというより、大人になると、体中を揺さぶられるような体験が少なくなるからでしょう。慣れの問題は大きいと思います。楽しんで夢中になっていると、“酔い”を忘れて、症状が出ないこともあると思います」

 子供の「はしゃいでいる精神状態」と、大人の「嫌々つきあっている精神状態」の違いによるものでは、という指摘だった。

 加えて、大人には「単純に楽しめない要素」もある。

 「例えば大人の場合、疲れていると、体調が悪くなり、酔いやすいこともあるでしょう。また、肩こりがひどく乗り物に揺られることで、悪化し、気分が悪くなるということもあると思います」

 さらに、「大人になるとお尻が重くなって、揺れの“弧”が大きくなる」という可能性も多少だが、あるのではないかと言う。

 ちなみに、乗り物酔いは「動揺病」というめまいの一種で、人間の体に乗り物の揺れやスピードなどの刺激に対する限界があることから起こるのだという。

 また、乗り物酔いは視覚的刺激や、「酔ったら嫌だな」といった心理的な不安などによっても左右されるもの。とりあえずいろいろ忘れて楽しむことは重要ってことか

「太りやすいのは、結局、親の遺伝だから仕方ない」なんて言う人がいる。

 でも、ホントに太りやすさに「遺伝」ってあるものなのだろうか。ダイエット外来のパイオニア的存在「渋谷DSクリニック銀座院」の平山桂子院長に聞いた。

 「肥満に関する遺伝子には4つあり、じっとしているときに使うカロリー『基礎代謝』が平均より150~250キロカロリー落ちるもの、50キロカロリーくらいまで落ちるものなど、さまざまです。

その中の2つ3つを持っていたり、全部を持っていたり、平均より250キロカロリー代謝が落ちるものを1つだけでも持っていたりすると、基礎代謝が少なくなる可能性があり、遺伝子的に肥満しやすいということはありますね」

 ただし、肥満に関する遺伝子を持っているから、必ず太るというわけではなく、また、現在太っている人が肥満に関する遺伝子を持っている、というわけでもないと言う。

 遺伝子はあくまで「傾向」として挙げられるものの、必ずしも結果を伴うわけではなく、生活習慣による部分も大きいそうだ。

 「そもそも日本人は、基礎代謝が落ちやすい遺伝子を持っている方の割合が多いと言えます。ただし、これは、食べるものがない時代だったら、生き延びやすいとも言えるんですよ」

 これは「節約遺伝子」と呼ばれており、少ない燃料でやっていける半面、余剰になりやすい性質があるそうだ。

 「その他に、後天的な生活習慣が遺伝しやすいということもありますね。たとえば、幼い頃から甘いものばかり食べてきたり、脂っこい料理が多かったりなど、食べ物の嗜好は家族間で遺伝しやすいと言えます」

 では、太りやすい人が体質を変えるには?

 「太りやすい人は代謝が落ちやすいのですから、代謝を上げることをすれば良いわけです。例えば、運動など、体が温まりやすいことをするとか、有酸素運動を増やすとか、温まりやすいものを食べるなど。食べるものの内容に気をつけることも必要です」

 結局、「太りやすい遺伝子を持っているか」どうかよりも、日頃の積み重ねの影響が大きいようだ。

爽やかな季節。そろそろ運動でも始めてみようか…と考えている人も少なくないかもしれない。

 運動の方法は、「会社に行く前に、毎朝走っている」という人や「毎朝ジムで汗を流している」なんていう人が結構、多いのではないだろうか。あるいは、会社から帰って、食事や入浴を済ませた後の運動も、適度な疲れによってグッスリ眠れる効果がありそう。

 では運動は朝と夜、どっちに行うのが身体に良いもの? 渋谷DSクリニックで睡眠改善指導を行っている、インナービューティーアドバイザーの友野なおさんに聞いた。

 「運動を頑張っている人は今、多いですが、実は運動する時間帯というのが非常に大切で、一番望ましいのは18時から20時の間なんですよ」

 18時から20時というと多くの人にとって、帰宅の移動中か夕食をとっているタイミングだと思うのだが、なぜこの時間帯が良いのだろうか。

 「1日の中には“体温のリズム”があり、就寝時には深部体温を下げるということが快眠のコツとなります。

ところで、最も体温が高くなるのは、18時から20時なのですが、睡眠状態に入るためには深部体温が下がることが必要となるため、体温が高くなる時間帯に運動してしっかり体温を上げることが望ましいのです」

 また、運動することによって睡眠物質が脳内に溜まり、夜グッスリ眠ることができるという効果もあるそうだ。

 では、朝の運動は?

 「朝の体は覚醒していませんので、激しい運動は控えましょう。というのも、朝起きたときには断食・断水状態になっているため、血液がドロドロで、体の中が詰まった状態になってしまっているのです。

実際、明け方から起床後3時間に脳梗塞などの発作が起こりやすいんですよ」

 そのため、朝の運動は、ゆるやかなウオーキングやラジオ体操程度にすることが望ましいそうだ。

ちなみに、夜21時以降は深部体温が徐々に低くなり、眠りの準備に入る時間帯のため、体温を上げてしまう運動はNGだとか。

 せっかく運動するのなら「時間帯」にも着目し、効果的に行ってみては?

一般に医者が患者に告げる「余命」の数字は、その人の残りの寿命を指すわけではない。ある病気の「生存期間中央値」なるものを告げるケースが大半で、患者の病状を斟酌して決められるものではない。

「がん生存率」も多くの人が誤解している代名詞だ。現在、がん治療の現場で最も広く用いられているのは「5年生存率」だ。がん治療を始めてから5年後に生存している人の割合を示したものだ。千葉県がんセンター研究所・がん予防センター部長の三上春夫氏がいう。

「全国がん(成人病)センター協議会の最新調査では、全部位・全ステージのがんの平均5年生存率は69.1%となっています。約7割の人が5年経過した後も生きている。ただし、このデータが示しているのはそれだけです。誰がこのデータに当てはまるか分からないし、あくまで参考値として見るしかない」

 このケースも余命宣告における生存期間中央値と同じく、問題は多くの患者が「死へのカウントダウン」と捉えてしまっているところだ。

 例えば、胃がんのステージIIIでの5年生存率は45.5%だが、多くの患者は“自分も5年後に5割以上の確率で死ぬ”と考えてしまうという。

 町田実さん(仮名・66)の妻は3年前、膵臓がんと診断された。その時、医師から「すでにステージIVで、外科手術は不可能な状態。抗がん剤治療しか選択肢はない。5年生存率は7.7%です」と告げられたという。

「“苦しい抗がん剤治療を続けても5年も生きられない”と悲観した妻は、通院をやめてしまい、怪しげな民間療法に頼るようになったのです。“これでがん細胞が消えた人がたくさんいる!”と嬉しそうに話し、勧められるままに高額の“エネルギー水”のようなものだけを口にするようになった。

 結局、告知から1年も経たずに妻は亡くなりましたが、西洋医学を否定して痛み止めも飲まなかったので、最後は苦痛にのたうち回りながら死んだ。安らかな最期を迎える方法はいくらでもあったと思います」

夜間勤務者では心筋梗塞や脳卒中、糖尿病になるリスクが高まると指摘されている。がんについても、前立腺がんや乳がんのリスクが上昇すると報告されているが、カナダ・ケベック大学州立科学研究所のMarie-Elise Parent氏らは、

男性を対象にした研究から、夜勤はこれまで指摘されていた以外のがんの発症とも関連すると、発行の米医学誌「American Journal of Epidemiology」(電子版)に発表した。

夜勤をしている男性では、夜勤未経験の男性に比べてがんリスクが2~3倍高かったという。

◎11種類のがんを検討

夜間に光にさらされると、夜間に濃度がピークに達するはずのメラトニン(睡眠に関係するホルモン)の分泌が抑制されてしまう。メラトニンの抑制は概日リズム(サーカディアンリズム)や生殖ホルモンなどを障害するほか、がん発症に影響を及ぼすことが指摘されている。

Parent氏らは、最低6カ月間、夜間勤務に従事した男性(タクシー運転手、機関士、警備員、消防士、警察官、ライター、医師など)とがん発症の関連を検討した。

対象となったのは、1979~85年にカナダのモントリオール州とケベック州で就労していた男性のうち、がんが認められた30~70歳の3,173人(症例群)。

これと年齢や住んでいるところが同じでがんを発症していない男性512人を対照群とした。なお、午前1~2時の夜勤を6カ月間以上経験していたのは症例群で25.5%、対照群で14.5%だった。

症例群のがんの内訳は、肺がん(761人)、結腸がん(439人)、膀胱(ぼうこう)がん(439人)、前立腺がん(400人)、直腸がん(236人)、胃がん(228人)、腎臓がん(158人)、膵臓(すいぞう)がん(94人)、食道がん(91例)、メラノーマ(悪性黒色腫、94人)、非ホジキンリンパ腫(197人)となっている。

◎7種類のがんでリスク上昇

解析の結果、夜勤は胃がん、食道がん、腎臓がん、メラノーマを除く7種類のがんリスクと関連することが分かった。夜勤未経験者と比べたリスクは、前立腺がんで2.77倍、非ホジキンリンパ腫で2.31倍、膵臓がんで2.27倍などとなっており、最もリスク上昇が低かった膀胱がんでもリスクは1.74倍に上がっていた。

一方、夜勤の継続期間(5年未満、5~10年未満、10年以上)や経験した時期(20年以内、21年以上前)に分けた評価では、がんリスクとの関連は認められなかった。

これまでも夜勤と乳がん、前立腺がんの発症リスクは関連することが報告されていた。今回の結果について、Parent氏らは「乳がん、前立腺がん以外のがんと夜勤の関連を証明した、疫学研究としては新しい成果」と述べている。

なお、全盲の夜勤者ではがん発症率が低いことが1998年のスウェーデンがん登録研究で明らかになっている(「Epidemiology」1998; 9: 490-494)。

がんの治療をしながら働く人が約33万人いるとされるなか、「現在の日本社会は治療と仕事が両立できる環境である」と考える人が増加傾向にあることが17日、内閣府が行ったがん対策に関する世論調査で分かった。

一方で、両立は不可能だと考える人も依然、6割以上と過半数を占める。

がん患者の3人に1人は働く世代(64歳以下)で、厚生労働省は「がんになっても一定のサポートがあれば働き続けられる環境にしていきたい」としている。

 調査はがんに対する意識を探るため、全国の成人男女3千人を対象に昨年11月に面接で行われ、1799人が回答した。

 治療などのため2週間に1度程度、通院しながら働く環境が日本社会で整っているかを尋ねたところ、両立は可能との回答が計28・9%と、前回(平成25年1月)より2・8ポイント上昇。

一方、環境が整っていないと思うと答えたのは、計65・7%(前回比3・2ポイント減)と減った。

 両立を難しくしている理由としては、「代わりに仕事をする人がいない、いても頼みにくい」が22・6%で最多。

「職場が休むことを許してくれるかわからない」(22・2%)▽「体力的に困難」(17・9%)▽「精神的に困難」(13・2%)-などと続いた。

 調査では、主治医以外の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」や、がんに伴う体と心の痛みを和らげる「緩和ケア」についての認知度が上がっていることも明らかになった。

発生率が低い「希少がん」は、ほかのがんに比べて不十分な医療状況にある。しかし、平成26年6月、国立がん研究センターの中に「希少がんセンター」が開設され、その対策が本格化しつつある。

希少がんの治療や研究、そして今後の展望について、国立がん研究センター 希少がんセンター長の川井章(かわい・あきら)さんに話を聞いた。

「始まった希少がん対策:前編 - 希少がんとは何か」とあわせてご覧ください

■治療や研究の拠点「希少がんセンター」が開設
■主要ながんに次いで注目され始めた
平成18年にがん対策基本法が成立し、翌19年から5年ごとに「がん対策推進基本計画」がつくられ、国の施策としてがん対策が進められている。

まず行われたのは、全国どこでも標準的ながん治療が受けられるようにする「がん治療の均てん化(平等に利益、恩恵を受けられるようになること)」だった。各地にがん診療拠点病院が整備され、患者数の多いがんを中心に対策が進んだ。

これにより、がん全体の死亡率は10%以上低下している。一方で、希少がんについては、主要5大がん(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、肝臓がん)に比べて、改善が進んでいないという状況があった。

そこで平成24年から始まった第2期がん対策推進基本計画には、初めて希少がん対策が盛り込まれ、平成26年の6月、国立がん研究センターの中に、希少がんの治療や研究の発展を目指して「希少がんセンター」が誕生した。

■対策の中心は医療の集約化
希少がん対策の中心となるのは、医療の集約化だ。現在、日本にはがん診療連携拠点病院が407施設ある。このうち、がんセンターと大学病院だけでも110施設になる。

これに対し、例えば骨肉腫は年間約200人が発症する。この患者さんが全員、がん診療連携拠点病院を受診するとしても、「1つの病院に、2年に1人患者さんが来るかどうか」という状況であり、専門的な診療を望むのは難しい。

そこで、全国に分散している患者さんと、専門的な診療を行える医療スタッフを、そのがんを専門とするいくつかの医療機関に集め、患者さんが専門的な治療を受けられるようにしようという取り組みが始まったのだ。

希少がんに対する医療の集約化は、フランス、イタリア、イギリスなど、ヨーロッパのいくつかの国では、すでに始まっている。方法は国によってさまざまだが、専門的な医療を提供できる医療機関に患者さんが集まるような仕組みになっている。

■情報収集がしやすくなる
希少がんを専門的に診療する医療機関の情報が社会的に明確になると、問い合わせ窓口がはっきりし、患者さんは、自身の病気や診療についての情報を得やすくなる。

また、限られた施設に患者さんが集まるため、同じ希少がんを抱える患者さんどうしのつながりが生まれやすくなる。それにより、不安や悩みを分かち合うことができたり、患者会などの組織ができることが期待されている。

現在は、希少がんセンターの「希少がんホットライン(※)」で、電話相談サービスが行われている。そして電話相談をした患者さんの約7割が、実際に受診したり、セカンドオピニオンを聞きに来たりしている。

■チーム医療が可能になる
現在、がんの医療現場では、医師だけでなく、看護師、薬剤師、検査技師、リハビリテーションの専門家、医療ソーシャルワーカーなど、多くの分野の専門的な職種が連携する「チーム医療」が行われている。

患者さんが年に数人という希少がんでは、そのがんの治療に習熟したチームをもつことが困難だったが、集約化することで、そうした体制づくりを目指すことも可能になった。

がんの新薬が次々と登場しているが、希少がんの新薬開発はなかなか進んでいない。新薬の開発では、有効性と安全性を確認するため臨床試験を行うが、希少がんは患者数が少ないため、必要な人数が集められないという問題があるためだ。

この点に関しても、いくつかの施設に患者さんが集約されれば、効率よく臨床試験を進められるようになる。

また、新薬開発が進みにくい背景には、患者数が少ないために、治療薬の市場が大きくないという事情もある。しかし、集約化によって、希少がんの研究が活発化することで、新薬開発も進むことが期待されている。

■不便を超える患者さんのメリット
医療の集約化には、欠点もある。全国で数か所の医療機関に集約するため、患者さんによっては、遠隔地に行かなければならない可能性もある。

ただ、がんは、脳卒中や心筋梗塞などの病気に比べると治療の緊急性は低く、また集約化した施設でずっと治療が続くわけではない。

集中的に治療が必要な時期には集約化施設で治療を受け、その後は地元の医療機関で治療を継続する、ということも可能だ。

集約化により、これまでは実現できなかった「すべての患者さんが、経験豊かな医療スタッフによる、確実な最新の治療を受けられる」ことが期待できる。

■目指すのは、専門病院のネットワークづくり

■経験のある医師を育てる
希少がんの集約化は、あるがんは全国の5か所程度に、また別のがんについては10か所程度に集約する、という具合に、がんの種類ごとに行う。

どのがんにどれくらいの集約化施設が適切なのかについては、研究がスタートした段階だ。

集約化施設は、一斉に都道府県庁所在地の医療機関に置く、といったことではなく、個々のがんにとって最も専門的で適切な医療を提供できる医療機関を選ぶ必要がある。

そこで、施設決定は医療現場にいるそれぞれのがんの専門家に任せ、希少がんセンターがそれについて提言していく形になる。希少がんセンターのメンバーとなっている医師は、それぞれも臨床医として現場に携わりつつ、国としての希少がんに対する体制・環境づくりを行っていくことになる。

■専門医療機関へのアクセスを向上する
希少がんの医療機関の集約化を進める一方で、患者さんに対しては、どこでそれぞれのがんの専門的な医療を受けられるのか、という情報を提供する。

集約化に際しては、患者さんが自ら医療機関を自由に選択できる権利を保障することが重要なので、希少がんセンターとしては、患者さんが必要な情報すべてにアクセスできるような環境を整えることを目指している。

集約化が実際に進むまでにはかなり長い時間がかかることが予想されるが、いくつかの成功事例を積み重ねることで、将来的な実現が目指される。

■『NHKきょうの健康』2014年11月号より

「抗がん剤は効かない」「手術をすることで寿命を縮める」――近年、このような「がん治療不要論」の声が大きくなっている。

 そうした「がんは治療せずに放って置いたほうがいい」という論を聞くと、“治らないなら、苦しい治療を受けたくない”と考える人がいても当然のことだろう。し

かし、実際に“がんを放置”した患者を受け持った医師からは疑問の声が上がっている。

「ある患者さんの話です。最初に行った病院でステージ3の乳がんだと診断されましたが、“進行していないので治療しないほうがいい”と言われて放置していたら、がんが進行して骨に転移してしまった。

慌てて私の病院に転院して来たのですが、結局亡くなりました。最初の時点で治療を受けていたら、助かった可能性は充分あったので非常に残念でした」

 そうしたケースを受けて、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科医の勝俣範之さんは次のように指摘する。

「『がんは治療しないほうがいい』という主張には医学的根拠がありません。逆に、抗がん剤の治療の有効性が認められた論文は何百とある。

1970年代、イタリアのミラノがんセンターによって乳がんの手術後に3つの抗がん剤を投与した人と投与しなかった人を20年間追跡調査した結果があります。

 投与しなかったグループでは、179人中48人(約27%)が再発しなかったのに対し、投与されたグループは207人中74人(約36%)が再発しませんでした。

生存率も投与しなかったグループは25%ですが、投与したグループは34%。つまり、抗がん剤治療を受けた患者のほうが受けなかった患者より生存率が高く、再発率が低かった。それぞれ10%も違うのです。

 そして今は、より効果のある薬が開発されています。2014年には米国の研究で転移再発乳がんに新薬『ハーセプチン』(抗がん剤。日本でも承認済み)を投与した場合、10年生存率が75%から84%に改善されたとの報告があります」

 重要なのは調査の手法だ。

「『これまでに診てきた○○人の患者は治療しなくても治った』という医者の主観的な経験ではなく、科学的な手法を用いて比較しています。

 自分が診察した患者さんだけを対象にした場合、病状が悪化して病院に来なくなった人のデータは含まれない。治療をしなくても経過が良好な人のデータだけが、必然的に集まります」(勝俣さん)

 ただし、「過剰な治療はやめよう」という論には賛同できるという。

「ここ20~30年、拡大手術から縮小手術になってきているし、抗がん剤も進行がん患者さんへの過剰な投与はかえって命を縮めるということがわかってきています」(勝俣さん)

 治療をしなくてもがんが治ることはあるのだろうか。

「確かに、“ステージ0”といわれる超初期段階では、治療しなくても進行しない人がいる。しかし、進行する人は少ないながら確実にいます。

今の医学ではそれを見極めることはできないし、進行してしまったら取り返しがつかない。また、治療の効果は“治る”か“治らない”の二択ではありません。

 治らないがんでも治療を続けることで、多くの人が仕事をしたり旅行に行ったりして“がんと共存”できるようになってきているのです」(勝俣さん)

厚生労働省の専門委員会は11月27日、「電子タバコ」の一部の製品に発がん性物質のホルムアルデヒドが含まれており、健康への悪影響が懸念されると発表しました。

 

電子タバコは通常のタバコよりも毒性が低いというイメージがありますが、事実はそうではなかったというニュースです。

◆紙巻きタバコの毒性は?

厚労省の発表によれば、今回調査した電子タバコ3製品のうち、1製品に通常の紙巻きタバコの10倍以上のホルムアルデヒドが検出されたそうです。

 

10倍というと非常に毒性が強い印象を受けますが、紙巻きタバコはホルムアルデヒド以外にもさまざまな発がん性物質を含有しており、電子タバコのほうが毒性が強いとは一概に言えません。

左の表のように、紙巻きタバコにはホルムアルデヒドのほかにも、ベンゼンやニトロソアミン系の発がん性物質が含まれているのです(出典:厚生労働省)。
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◆副流煙の毒性が深刻な紙巻きタバコ

電子タバコに紙巻きタバコの10倍のホルムアルデヒドが含まれるというのは確かに深刻です。しかし、タバコの害は、喫煙者本人に加えて「副流煙」を吸わされる周囲の人にも及びます。

 

しかも、タバコの発がん性物質は喫煙者本人が吸う主流煙よりも副流煙のほうに多く含まれ、その量は主流煙の数倍~100倍以上になると言われています。

一方、電子タバコは副流煙が発生しないため、周囲の人への被害はほぼありません。周囲の人に及ぼす害を考えた場合、ホルムアルデヒドを含む電子タバコよりも、紙巻きタバコのほうがよほどたちが悪いという見方もできます。
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◆電子タバコだけを規制しても無意味

健康のために紙巻きタバコから電子タバコに切り替えた人が、今回の発表に憤慨するのは当然です。厚労省は、今後国内の使用実態や未成年への影響を調査し、規制も含めた対応を他省庁と検討していくとしています。

ホルムアルデヒドが有害なのは間違いなく、対策を講じるのはもっともな話です。しかし、多様な発がん性物質を含み、副流煙を生じる紙巻きタバコのほうが、より多くの人々の健康にかかわっているのも事実です。

「国民の健康問題」を心配するのであれば、電子タバコに限らず、紙巻きタバコに対する規制や喫煙ルールなども見直すべきではないでしょうか。

日本人の肝臓がんの患者だけに特徴的な遺伝子の変異があることを、国立がん研究センター、東京大などの研究チームが、患者らの遺伝子解析から見つけた。


チームは「日本人だけが持つ新たな発がん要因の解明に役立てたい」と説明している。2日付の米科学誌(電子版)に掲載された。


 ◇国立がん研究センターなど解析


 研究は日米共同で実施され、肝臓がんの9割を占める「肝細胞がん」の患者のがん組織を調べた。対象は日本人414人▽欧米人103人▽米国在住アジア人38人--など計608人。

解析の結果、加齢による遺伝子の変異は共通して見られたが、日本人には、この他に特徴的な変異のパターンがあった。


 一般に肝臓がんの原因は、B型・C型肝炎ウイルスへの感染が多いとされるが、ウイルスが関係しない非ウイルス性のがんも増えている。

見つかった日本人特有の遺伝子の変異はウイルス感染とは関係なく、いずれの患者にも見られ、新たな治療法の開発に役立つ可能性があるという。


 国立がん研究センターの柴田龍弘・分野長(がんゲノミクス研究分野)は「患者の食事など生活環境のデータと合わせれば、日本人の肝臓がんの新たな原因が分かるかもしれない」と話す。