デンマーク戦に勝利した後の話。





中村俊輔の32歳の誕生日と、日本の決勝トーナメント進出を祝う会が、サポートメンバーを含む全員で行われた。

マイクを持った俊輔は『これから森本君が歌います』と突然のキラーパス。しかしそこは日本屈指のストライカー。「ウォ、ウォー!」と謎のアフリカチックな唄を披露。場を大いに盛り上げ、宴は深夜まで続いた。

出番に恵まれない選手も今一丸となっている。ましてや俊輔は直前までエース級でアジア予選からチームを牽引してきた大黒柱。

森本も今絶好調であり、守備要員でもいい、一分でもいい、試合に出て全力で走りたいと直訴している選手。

その二人が率先して盛り上げ結束をさらに強固とした。

川口は岡ちゃんに不信感が生まれたときも、カメルーンに勝って勢いに乗ってからも、変わらず献身的にチームを鼓舞し、ケアし、全力でまとめている。

楢崎は毎試合川島にアドバイスを送り、俊輔は経験を活かして前半分析した敵の特徴をハーフタイムで的確に選手へ伝えている。

遠藤がデンマーク戦で鮮やかなFKを決めたとき、真っ先に走っていったのはベンチ。『皆で戦っているんで、決めたら行こうと決めてました』

選手は皆思っているだろう。もう少しだけ、このチームで戦いたい。

ファンも思っているだろう。もう少しだけ、このチームの奇跡が見たい。

どこまで夢が続くかわからないが、今、日本代表は一丸である。