曹洞宗は、中国の禅宗五家の一つで、洞山良価によって創宗された宗派です。日本においては、鎌倉時代に道元が伝えたことで始まり、現在では日本最大の単一宗教宗派として、14,000を超える寺院を有しています。特に、黙照禅を特徴とし、仏陀や悟りを開いた人々の教えに基づき、出家在家を問わず求道者が自ら悟りを開くことを目指しています。

 

 


曹洞宗の歴史

 

曹洞宗は、洞山良価とその弟子である曹山本寂を祖とし、中国で発展しました。日本では、道元が1227年に帰国後に曹洞宗を広め、永平寺(福井県)と總持寺(横浜市鶴見区)を本山としています。道元は、特定の宗派名を称することを否定し、「正伝の仏法」としての教えを強調しました。

 

 


教義と実践

 

曹洞宗は、「只管打坐」(ただ座禅をすること)を中心とした坐禅実践を重視しています。『普勧坐禅儀』は道元による坐禅の指南書であり、『正法眼蔵』は道元の悟り体験に基づく仏教全般についての表現です。主な経典としては、『摩訶般若波羅蜜多心経』や『妙法蓮華経観世音菩薩普門品』などがあります。

 

 


現代の曹洞宗

 

現代の曹洞宗は、全国に約15,000の寺院があり、「宗教法人曹洞宗」によって統括されています。大本山永平寺と總持寺の貫首が2年毎に交互に管長を務め、宗派の長として活動しています。曹洞宗は、臨済宗が時の中央武家政権に支持されたのに対し、地方武家や一般民衆に広まりました。

 



曹洞宗の寺院と僧堂

 

曹洞宗には、永平寺と總持寺をはじめとする多くの著名な寺院があります。また、僧堂では、出家者だけでなく在家の人々も参加できる坐禅会などが開かれています。

 

 


曹洞宗は、静寂の中で自己と向き合い、心を磨く黙照禅の実践を通じて、道元禅師が伝えた深遠な教えを今に伝えています。この宗派の歩みは、単に座禅を組むこと以上の、日常生活の中での悟りを求める生き方そのものを示しています。永平寺と總持寺を中心に、全国に広がる寺院と共に、曹洞宗は静かながらも力強い仏法の光を世に放ち続けています。