行政法[基本的事項]⑤[判例]©︎seize the dream 2023

2023.4.28 Q398〜444

 

〈採実・出題趣旨に非掲載、重要な視点〉

⑴当事者の立場に立った弁護人の主張。

⑵反対側たる相手方の利益への配慮。

⑶問題の所在の整理。鋭い問題提起。どの条文のどの文言が問題となるか。条文を大切にする姿勢。

⑷事案の特殊性。事案から出てくる考慮要素。

⑸主張、反論、争点整理。争点から出てくる考慮要素。

⑹基本的事項の正確さ(定義、原原、制度趣旨、条文趣旨、要件効果)

⑺事案解決の視点。結論の妥当性。結論を導く理由の説得性。結論に至る思考の方向性。丁寧な個別・具体的検討。

2023.4.27

 

〈Not posted on the purpose of the actual and question, important point of view〉

 

(1) The claim of the defense lawyer from the standpoint of the parties.

 

(2) Consideration for the interests of the other party.

 

(3) Organize the location of the problem. A sharp problem is raised. Which article and which word of the article is the problem? The attitude of cherishing the provisions.

 

(4) The peculiarity of the case. Considerations that come out of the case.

 

(5) Claims, counterarguments, and dispute points. Considerations that come out of the issue.

 

(6) Accuracy of basic matters (definition, origin, purpose of the system, purpose of the article, requirement effect)

 

(7) The viewpoint of case resolution. Validity of the conclusion. The persuasiveness of the reason for leading to the conclusion. The direction of thinking that leads to the conclusion. Polite individual and specific consideration.

 

2023.4.27

 

〈ドイツ語〉

〈Nicht veröffentlicht über den Zweck der tatsächlichen und Frage, wichtiger Standpunkt〉

 

(1) Der Anspruch des Verteidigers aus der Sicht der Parteien.

 

(2) Berücksichtigung der Interessen der anderen Partei.

 

(3) Organisieren Sie den Ort des Problems. Ein scharfes Problem wird aufgeworfen. Welcher Artikel und welches Wort des Artikels ist das Problem? Die Haltung, die Bestimmungen zu schätzen.

 

(4) Die Besonderheit des Falles. Überlegungen, die aus dem Fall hervorgeht.

 

(5) Ansprüche, Gegenargumente und Streitpunkte. Überlegungen, die sich aus dem Thema herausstellen.

 

(6) Genauigkeit der grundlegenden Angelegenheiten (Definition, Herkunft, Zweck des Systems, Zweck des Artikels, Anforderungseffekt)

 

(7) Der Standpunkt der Falllösung. Gültigkeit der Schlussfolgerung. Die Überzeugungskraft des Grundes, der zur Schlussfolgerung geführt hat. Die Denkrichtung, die zur Schlussfolgerung führt. Höfliche individuelle und spezifische Überlegung.

 

2023.4.27

 

〈行政上の不服申立て〉

46〈処分の告示と不服申立期間の起算点/最判平成14.10.24 百Ⅱ 131(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q398 行審法14条1項本文の規定する「処分があったことを知った日」というのは、処分がその名宛人に個別に通知される場合には、その者が処分のあったことを【現実に知った日】のことをいい、処分があったことを【知り得たというだけでは足りない】。A◯

 

[判]〈判旨〉Q399 【都市計画法における都市計画事業の認可】のように、処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には、そのような告知方法が採られている趣旨に鑑みて、【「処分があったことを知った日」というのは、告示があった日】をいうと解する。A◯

 

47〈不服申立適格〜主婦連ジュース不当表示事件/最判昭和53.3.14 百Ⅱ 132(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q400 景表法10条1項にいう「第1項・・・の規定による公正取引の処分について不服申立の場合と同様に、当該処分について不服のあるもの」とは、一般の行政処分についての不服申立の場合と同様に、当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのあるものをいうと解すべきである。A◯

 

[判]〈判旨〉Q401 法律上保護された利益とは、行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益であって、それは、行政法規が他の目的、特に公益の実現を目的として行政権の行使に制約を課している結果、偶々一定の者が受けることとなる反射的利益とは区別されるべきものである。A◯

 

48〈懲戒処分と人事委員の修正裁決/最判昭和62.4.21 百Ⅱ 138(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q402 【懲戒処分につき人事院の修正裁決】があった場合に、それにより懲戒権者の行った懲戒処分(以下「原処分」)が一体として取り消されて消滅し、人事院において新たな内容の懲戒処分をしたものと解するのは相当ではなく、修正裁決は、原処分を行った懲戒権者の懲戒権の発動に関する意思決定を承認し、これに基づく原処分の存在を前提とした上で、原処分の法律効果の内容を一定程度のものに変更する効果を生ぜしめるに過ぎないものであり、これにより、【原処分は。当初から修正裁決による修正通りの法律効果を伴う懲戒処分として存在していたものと見做される】ことになると解すべきである。A◯

 

[判]〈判旨〉Q403 本件懲戒処分は、Yの懲戒権の発動に基づく懲戒処分としてなお存在するものであるから、被処分者たるXは、処分事由の不存在等本件懲戒処分の違法を理由としてその取消しを求める訴えの利益は失われない。A◯

 

【フォロー】行訴法10条2項は、処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起できる場合には、【裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができないと定め、原処分主義を採用】している。

 

【フォロー2/原処分主義】Q404 原処分主義。A原処分の違法は、原処分の取消訴訟においてのみ主張することを許し、裁決取消訴訟においてこれを主張することは許されないとする原則。

 

〈行政訴訟/行政訴訟と民事訴訟・刑事訴訟〉

49〈ごみ焼却場の設置/最判昭和39.10.29 百Ⅱ 148(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q405 行政事件訴訟特例法1条にいう、行政庁の処分とは、諸論の如く行政庁の法令に基づく行政行為の全てを意味するものではなく、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、【直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められて】いるものをいう。A◯

 

[判]〈判旨〉Q406 本件ごみ焼却場は、Y(東京都)が先に私人から買収したY所有の土地の上に、私人との間に対等の立場に立って締結した私法上の契約により設置されたものというべきであり、原判決がYにおいて本件ごみ焼却場の設置を計画し、その計画案を都議会に提出した行為は、Y自身の内部的手続行為に止まると解する。A◯

 

【フォロー/本判決自体】本判決は、取消訴訟あるいは抗告訴訟における「処分性」の判断基準についてのリーディングケースとされるとともに、この判断基準に基づいて本件で問題となった「ごみ焼却場の設置を計画し、その計画案を都議会に提案し、その裁決を経て公布し、これに基づいて実施する一連の行為について、処分性を否定する事例判決としても位置付けられる。

 

〈行政訴訟/抗告訴訟の対象〉

 

50〈土地区画整理事業計画/最大判平成20.9.10 百Ⅱ 152(7版)〉

[判]〈判旨〉Q407 市町村の施行に係る土地区画整理事業の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。A◯

 

【フォロー/意義】本判決は、学説より批判の多かった青写真判決を変更し、【事業計画の決定に処分性を認めた】点に意義がある。

 

51〈用途地域の指定/最判昭和57.4.22 百Ⅱ 153(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q408 当該地域内の土地所有者等に建築基準法上新たに制約を課し、その限度で一定の変動を生ぜしめるものであることは否定できないが、かかる効果は、恰も新たに右のような制約を課する法令が制限された場合におけるのと同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれに過ぎず、このような効果を生ずるというだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。A◯

 

52〈建築基準法42条2項の道路指定/最判平成14.1.17 百Ⅱ 154〉

[判]〈判旨〉Q409 特定行政庁による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされたものであっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。本件告示のような一括指定の方法による一括指定の方法による2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。A◯

 

【フォロー/位置付け】2項道路指定の処分性に関して、個別指定の場合には、指定により建築制限等の私見制限が課されることから処分性が認められている。対して、一括指定については、下級審において処分性の有無の判断が分かれていたが、【最高裁は初めて一括指定の処分性を認め】た。

 

53〈水道料金を定める条例/最判平成18.7.14 百Ⅱ 155(7版)〉

 

[判]Q410 本件改正条例は、旧高根町が営む簡易水道事業の水道料金を一般的に改定するものであって、そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、本件改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。A◯

 

54〈開発許可に係る公共管理者の同意/最判平成7.3.23 百Ⅱ 156(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q411 開発行為を行おうとする者が、右の同意を得ることができず、開発行為を行うことができなくなったとしても、その権利ないし法的地位が侵害されたものとはいえないから、右の同意を拒否する行為が、国民の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものであると解することはできない。A◯

 

[判]〈判旨〉Q412 公共施設の管理者である行政機関等が都計法32条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分には当たらない。A◯

 

55〈労災就学援護費の支給に関する決定/最判平成15.9.4 百Ⅱ 157〉

 

[判]〈判旨〉Q413 労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又は遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。A◯

 

56〈病院解説中止勧告/最判平成17.7.15 百Ⅱ 160(7版)→答案化6

 

[判]〈判旨〉Q414 医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれを従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらす。A◯

 

[判]〈判旨〉Q415 国民皆保険制度が採用されている我が国においては、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院で受診する者は殆どなく、保険医療機関の指定を受けずに診察行為を行う病院が殆ど存在しないことは【公知の事実】であるから、保険医療機関の指定を受けることができない場合には、【実際上】病院の開設自体を断念せざるを得ない。A◯

 

[判]〈判旨〉Q416 医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果及び病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると、この勧告は、行訴法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たる。A◯

 

57〈登録免許税還付通知拒絶通知/最判平成17.4.14 百Ⅱ 161(7版)〉

 

[判]〈判旨/前提〉〉Q417 登録免許税の納付義務者は、過大に登録免許税を納付して登記等を受けた場合には、そのことによって当然に還付請求権を取得し、その還付がされないときは、当該還付請求訴訟を提起できる。A◯

 

[判]〈判旨/趣〉Q418 登録免許税法31条1項及び2項の趣旨は、過誤納金の還付が円滑に行われるようにするために間便な手続を設けることにある。A◯

 

[判]〈判旨〉Q419 登録等を受けた者は、過大に登録免許税を納付した場合には、同項所定の請求に対する拒否通知の取消しを受けなくても、国税通則法56条に基づき、登録免許税の過誤納金の還付を受けることができる。A◯

 

[判]〈判旨〉Q420 登録免許税法31条2項が登録免許税の過誤納金の還付につき【排他的な手続を定めていることを理由】に、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求についてされた拒否通知が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解することはできない。A◯

 

【フォロー/修】Q〈判旨〉Q421 登録免許税法31条2項が登録免許税の過誤納金の還付につき【排他的な手続を定めていることを理由】に、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求についてされた拒否通知が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解することができる。A×

 

[判]〈判旨〉Q422 登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保護しているものと解する。同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、【登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにする】ものであって、これにより登記等を受けた者は、【簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなく】なる。そうすると、上記拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記に手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。A◯

 

【フォロー/意義】本判決は、法的地位(判例は、法的地位に影響をもたらす法的効果をもって処分性の有無を判断してきた)について、手続上の地位に対する効果を根拠として処分性を肯定したという点で、また、取消訴訟に並行して当事者訴訟を提起することを許容する判断を示している点で注目される。

 

〈原告適格〉

58〈原子炉設置許可と第三者の原告適格/最判平成4.9.22 百Ⅱ 162(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q423 取消訴訟の原告適格を規定する行訴法9条にいう「法律上利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、かかる利益も右にいう法律上保護された利益に当たる。A◯

 

[判]〈判旨〉Q424 行政法規が、上記の趣旨を含むかは、当該行政法規の趣旨・目的、当該行政法規が当該処分を通して保護しようとしている利益の内容・目的、当該行政法規が当該処分を通して保護しようとしている利益の内容・性質等を考慮して判断する。A◯

 

2023.5.2

59〈林地開発許可と第三者の原告適格/最判平成13.3.13 百Ⅱ 163(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q425 行訴9条にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上利益を侵害され、又は侵害される虞のある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるに留めず、それが帰属する個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害される虞がある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有する。A◯

 

[判]〈判旨〉Q426 当該行為法規が、不特定多数の具体的利益をそれが帰属する個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むか否かは、当該行為法規の趣旨・目的、当該行為法規が当該処分を通して保護しようとしている利益の内容・性質等を考慮して判断すべきである。A◯

 

[判]〈判旨〉Q427 森林法10条の2第2号1号及び同項1号の2の規定から、周辺住民の生命、身体の安全等の保護に加えて周辺土地の所有権等の財産権までを個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を読み取ることは困難である。A◯

 

[判]〈判旨〉Q428 森林法10条の2第2項2号と3号は、周辺住民等の個々人の個別的利益を保護する趣旨を含むものと解することはできない。したがって、本件開発区域内又は周辺に所在する土地上に立木を所有するX3〜X6、及び同川から取水して営農しているX7は、原告適格を有しない。A◯

 

【フォロー/意義】最高裁が近隣住民に対し、林地開発許可処分取消訴訟の原告適格を初めて認めた。

 

60〈総合開発許可と第三者の原告適格/最判平成14.1.22 百Ⅱ 164(7版)〉

[判]Q429 総合設計許可に係る建築物の倒壊、炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを有する者は、総合設計許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する。A◯

 

61〈都市事業認可と第三者の原告適格/最大判平成17.12.7 百Ⅱ 165(7版)〉

[判]Q430 都市計画法は、騒音、振動等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受ける虞のある個々の住民に対して、そのような被害を受けないという個々の個別的利益としても保護する趣旨を含む。A◯

 

[判]〈判旨〉Q431 上告人らは、いずれも本件鉄道事業に係る関係地域内に居住しているというのである。上記の上告人らについては、本件鉄道事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受ける虞がある者に当たると認められるから、本件鉄道認可の取消しを求める原告適格を有する。A◯

 

62〈風俗営業許可と第三者の原告適格/百Ⅱ 166(7版)〉

[判]〈判旨〉Q432 法施行令6条1号イの規定は、一定の広がりのある良好な風俗環境を一般的に保護しようとしていることが明らかであって、同号ロのように特定の個別的利益の保護を窺わせる文言は見当たらなず、専ら公益保護の観点から基準を定めていると解するのが相当である。A◯

 

[判]〈判旨〉Q433 同号イの基準に従って規定された法施行条例3条1項は1号は、同号所定の地域に居住する住民の個別的利益を保護する趣旨を含まない。したがって、【住居集合地域に居住する者は、風俗営業の許可の取消しを求める原告適格を有するとはいえない】。A◯

 

63〈場外車券発売施設設置許可と第三者の原告適格/最判平成21.10.15 百Ⅱ 167(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q434 場外施設の【周辺に居住し又は事業を営むに過ぎない者や医療施設等の利用者】は、【位置基準を根拠として原告適格を有しない】。A◯

 

[判]〈判旨〉Q435 位置基準は、業務上の支障が具体的に生ずる虞のある【医療機関等の開設者】において、健康で静穏な環境の下で円滑に業務を行うことのできる利益を、個々の開設者の個別的利益として保護する趣旨をも含む規定であるというべきであるから、当該場外車券場施設の設置、運営に伴い著しい業務上の支障が生ずる虞があると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者は、位置基準を根拠として原告適格を有する。A◯

 

[判]〈判旨/基準〉Q436 当該医療施設等の開設者が上記の原告適格を有するか否かを判断するに当たっては、当該場外施設が設置、運営された場合にその規模、周辺の交通等の地理的状況等から合理的に予測される来場者の流れや滞留の状況等を考慮して、当該医療施設等が上記のような区域に所在しているか否かを、当該場外施設と当該医療施設等との距離や位置関係を中心として社会通念に照らして合理的に判断すべきものである。A◯

 

[判]〈判旨〉Q437 本件施設の敷地周辺から【約800m離れた場所に医療施設を開設する者】は、当該医療施設が本件施設の設置、運営により【保険衛生上著しい支障を来す虞があると位置的に認められる区域内に所在していると認められず】、原告適格を有しない。A◯

 

64〈特急料金認可と第三者の原告適格/最判平成元.4.13 百Ⅱ 168(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q438 たとえXらが近畿日本鉄道株式会社の路線の周辺に居住する者であって通勤定期券を購入するなどした上、Xらは、本件特別急行料金の改定の認可処分によって自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということはできず、【右認可処分の取消しを求める原告適格を有しない】。A◯

 

65〈史跡指定の解除処分と第三者の原告適格/最判平成元.6.20 百Ⅱ 169(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q439 Xらは、本件遺跡を研究対象としてきた学術研究者であるとしても、本件史跡指定解除処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有せず、【本件訴訟における原告適格を有しない】。A◯

 

66〈競業者の原告適格⑴〜公衆浴場業/最判昭和37.1.19 百Ⅱ 170(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q440 適正な許可制度の運用によって保護せらるべき業者の営業上の利益は、単なる事実上の反射的利益にというにとどまらず、公衆浴場法によって保護せらる法的利益と解する。A◯

 

67〈競業者の原告適格⑵〜一般廃棄物処理業/最判平成26.1.28 百Ⅱ 171(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q441 市長村長から一定の区域につき既に廃棄物処理法7条に基づく一般廃棄物処理業の許可又はその更新を受けている者は、当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物処理業の許可処分について、その【取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、原告適格を有す】る。A◯

 

68〈更生処分・再更生処分と訴えの利益/最判昭和42.9.19 百Ⅱ 172(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q442 第1次更生処分の取消を求めるに過ぎない本件訴は、第2次更生処分の行われた時以降、その利益を失うに至ったものというべきである。A◯

 

69〈放送局免許拒否処分と訴えの利益/最判昭和43.12.24 百Ⅱ 173(7版)〉

 

[判]〈判旨〉Q443 競願者に対する免許処分(異議申立て棄却決定)の取消訴訟において、期間満了後再免許が付与されず、免許が完全に失効した場合は格別として、期間満了後直ちに再免許が与えられ、継続して事業が維持されている場合に、これを免許失効の場合と同視して、訴えの利益を否定することは相当ではない。A◯

 

70〈建築確認と訴えの利益/最判昭和59.10.29 百Ⅱ 174(7版)〉

[判]〈判旨〉Q444 建築確認は、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果を付与されているに過ぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われる。A◯