①刑訴[基本的事項]①Q1〜118

 

⭐️⭐️【刑訴毎年出るテーマ】3〜5ポイント放り込む。

 

⑴捜査(任意捜査、強制捜査)

⑵逮捕→緊急逮捕等

(3)告訴(の効力)

⑷検察官の権限

⑸弁護人の権限

⑹裁判官の権限

⑺捜索差押え

⑻鑑定

⑼おとり捜査

⑽勾留

(11)接見指定

(12)公判前整理手続

(13)訴因の特定、変更

(14)証人尋問

(15)証拠能力

(16)違法収集証拠の証拠能力

(17)被害者参加制度

(18)控訴

 

⑴〈刑訴法の意義と手続の全体像〉

[基]Q1刑訴法は、どのような事項を定めているか。A刑法を現実の行為に対して適用するための手続を定めたもの。

 

【フォロー】刑法はどのような行為について犯罪が成立し、その犯罪に対してどのような刑罰が科されるのかを定めた法律。

 

〈刑事手続の法源〉

[文解]Q2 憲法31条にいう「法律の定める手続」とは。A適正な手続を意味する。

 

〈刑訴法の目的〉

[短]〈基〉Q3判例違反は、上告理由となる。A◯

 

[短]〈修〉Q4 刑訴法上、訴訟が著しく遅延した場合に、訴訟を打ち切るための規定が設けられている。A×【フォロー】規定ない。

 

〈公判手続〉

[短]Q5強盗致傷罪は、裁判員裁判対象事件であり、公判前整理手続に付さなければならない。A◯

 

【フォロー】裁判員2①1号、49。

 

〈被疑者・被告人〉

[短]〈修〉Q6司法巡査には、緊急逮捕の場合における逮捕状請求権は認められていない。A×

 

〈検察官の職務の特徴〉

[基]Q7法務大臣は、検察権行使の最高責任者であり、国会に対して責任を負うが、司法の公正を保持するため、個々の事件や処分については、直接個々の検察官を指揮することは許されず、検事総長のみを指揮できるにとどまる。A◯

 

〈検察官の権限〉

[短]〈修〉Q8検察官及び検察事務官は、捜査のため必要があるときでも、管轄区域外で職務を行うことはできない。A×【フォロー】必要有場合可。195。

 

[基]Q9検察官の権限。A①自ら犯罪を捜査すること、②公訴提起の決定、③起訴猶予処分、④公訴を維持する役割、⑤裁判の執行。

 

〈被疑者・被告人の弁護人選任権〉

[短]〈基〉Q10 憲法は、被疑者・被告人に弁護人選任権を保障している。A◯【フォロー】憲34、37③。

 

〈弁護人の資格〉

[定]Q11 特別弁護人。A地裁において他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合、又は簡易裁判所の場合、弁護士でない者を弁護人に選任することができる。【フォロー】31②。

 

[基]〈例〉Q12特別弁護人として選任される者の例。A税理士等の会計専門家、IT技術の専門家等。

 

〈弁護人の選任〉

[短]Q13私選・国選を問わず、公訴の提起前にした弁護人の選任は、第1審においてもその効力を有する。が、公訴提起後における弁護人の選任は、審級ごとに行わなければならない。A◯【フォロー】32条。審級代理の原則。

 

〈任意捜査と強制捜査〉

[基]Q14 相手方の同意・承諾を得て行うのが任意捜査であり、同意・承諾がなくても強制的に行うことができるのが強制捜査。A◯

 

〈証拠の収集〉

[短]Q15鑑定嘱託自体は、任意処分として行われるので、令状は必要ない。A◯

 

〈比例原則〉

[定]Q16比例原則。A国家機関による個人の権利・利益の侵害や制約は、必要性に応じた相当のものでなければならないとする原則。

 

〈捜査の端緒〉

[短]Q17現行犯逮捕も捜査の端緒の一つとなる。A◯

 

〈検視〉

 

[定]Q18検視。A人の死亡が犯罪によるものかどうかを判断するために、検察官が五官の作用により、変死体又は変死の疑いのある死体の状況を見分すること。【フォロー】229①。五官とは五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)を生ずる五つの感覚器官、すなわち目、耳、 鼻、舌、皮膚をいう。

 

[基]Q19検視は何のために行われるか。A犯罪の嫌疑が明らかでない場合、これを確認するため。

 

[短]〈修〉Q20検視は捜査に含まれる。A×【フォロー】検視は捜査ではない。【フォロー2】検視の結果、犯罪の嫌疑があるとされれば捜査の端緒となる。

 

[短]〈基〉Q21 検視は、検察官のみが行うことができる。A◯【フォロー/留保】検察官は、検察事務官又は司法警察員に検視を代行させることができる(229②)。

 

[短]〈修〉Q22検視を行う際、X線検査や死体を損壊することもできる。A×【フォロー】できない。

 

〈告訴〉

 

[定]Q23告訴。A被害者その他一定の者が、検察官又は司法警察員に対して、犯罪事実を申告し、犯罪の処罰を求める意思表示をいう。【フォロー】230。

 

[短]〈基〉Q24 強制性交、準強制性交、強制わいせつ、準強制わいせつ(178)、わいせつ・結婚目的拐取・誘拐(225)は非親告罪である。A◯

 

[短]〈基〉Q25 被害者が死亡したときは、被害者の配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、被害者の明示した意思に反しない限り、告訴をすることができる。A◯【フォロー】231②。

 

〈告訴期間〉

[基]Q26 親告罪の場合、告訴権者が「犯人を知った日」から6ヵ月を経過すれば、告訴をすることができなくなる。A◯【フォロー】225。

 

[文解]Q27「犯人を知った」。A告訴をするか否かを決められる程度に、犯人が誰であるかを知ること。【フォロー】犯人の氏名、年齢、住所等の詳細まで知る必要はないが、犯人が誰であるかを特定できる程度に認識する必要がある。最判昭和39.11.10。【フォロー2】告訴権者が複数いる場合、「犯人を知った」かどうかは告訴権者ごとに判断される。

 

[文解]Q28「犯人を知った日」。A犯罪の終了後の日をいう。

 

〈告訴の方式〉

[短]〈基〉Q29 告訴は、書面又は口頭で、検察官又は司法警察員に対してしなければならない。A◯【フォロー】241①。

 

[短]〈基〉Q30 口頭の告訴があった場合、警察官又は司法警察員は、告訴調書を作成しなければならない。A◯【フォロー】241②

 

[短]〈基〉Q31 形式的に告訴調書になっていなくても、告訴権者の供述調査に犯罪事実の申告と犯人の処罰を求める意思表示が記載されていれば、告訴は有効である。A◯【フォロー】依頼を受けた代理人、委任を受けた弁護士が告訴した場合も告訴は有効。

 

[短]〈基〉Q32 告訴は、公訴の提起があるまで、いつでも取り消すことができる。A◯【フォロー】237条1項。

 

[短]〈修〉Q33 法定代理人がした告訴を被害者本人が取り消すことはできない。A◯【フォロー/留】告訴をした者から委任を受けた代理人(依頼を受けた弁護士)は、告訴を取り消すことができる(240)。

 

[短]〈基〉Q34 一旦告訴を取り消した者は、再び告訴をすることができない。A◯【フォロー】227②。

 

〈告発〉

[定]Q35 告発。A犯人又は告訴権者以外の第三者が捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示である。【フォロー】239。告訴と同様、単なる犯罪事実の申告ではなく、処罰を求める意思表示である必要有。【フォロー2】告発の取り消しに関する規定はない。告訴と異なり、告発を取り消した後に再び告発をすることも許される。

 

〈自首〉

[定]Q36 自首。A捜査機関に発覚する前に犯人が進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分に服する意思表示をいう。【フォロー】42。自首に期間の制限はない。また、自首の取り消しは不認。【フォロー2】自首があった場合、告訴の方式、効果が準用される(245)。【フォロー3】自首を受けた検察官又は司法警察員は、自首調書を作成しなければならない。

 

2023.3.15

〈領置〉

[短]〈基〉Q37 検察官、検察事務官又は司法警察員は、①被疑者その他の者が遺留した物、又は②所有者、所持者、保管者が任意に提出した者を領置できる。A◯【フォロー】221。

 

[短]〈基〉Q38 領置した物は、捜査機関が「領置の必要がない」と判断すれば、還付しなければならない。A◯【フォロー/性】222①、123①。領置は、物を領置するまでは任意処分、取得した後は強制処分の性質を有する。

 

〈令状の発布/捜索差押許可〉

[短]〈基〉Q39 令状の有効期間は原則、7日間である。A◯【フォロー】規則300。裁判所又は裁判官は、相当と認めるときは、7日を超える期間を定めること可。

 

[短]〈基〉Q40 捜索すべき場所について、憲法が「格別の令状」を必要としていることから、捜索を受ける場所の管理権ごとに令状を要する。A◯

 

[短]〈基〉Q41被害者の自宅に対する令状で、自宅にある金庫や自動車も捜索できるかについて、裁判官が一つの管理権の範囲内で捜索・差押えをしてもよいと事前審査をしたと認められるのであれば、その管理権が及ぶ敷地や付属物、そこにある物についても捜索できる。A◯

 

〈捜索・差押えの実施〉

[短]〈基〉Q42 捜索・差押えを実施できるのは、検察官、検察事務官又は司法警察員である。A◯【フォロー】218①。捜索・差押えの実施にあたっては、処分を受ける者に令状を提示しなければならない。

 

[短]〈基〉Q43令状に「日没前又は日没後でも執行することができる」旨の記載がなければ、夜間に人の住居等に立ちいることはできない。A◯【フォロー】222③、116①。

 

[短]〈基〉Q44 日没前に令状に着手し、時間が経過して日没後に至った場合には、引き続き令状を執行できる。A◯【フォロー】222③、116②。

 

〈捜索・差押えの立会い〉

[短]〈基〉Q45 立会人なしで捜索、差押をすることができるかについて、立会人は必ずいなければならず、立会人なしで執行すれば違法となる。A◯【フォロー/留保】立会人に代わるべき者として、その同居人や管理人等を立ち会わせて、令状を執行できる。

 

[短]〈基〉Q46 同居人や管理人等を立ち合わせて、令状を執行することができない場合には、隣人や地方公共団体の職員(消防署員など)を立ち会わせて令状を執行してもよい。A◯【フォロー】222①、114②後段。

 

[短]〈基〉Q47 女子の身体について捜索する場合には、急速を要する場合を除き、成年の女子が立ち会わなければならない。A◯【フォロー】222①、115。

 

[短]〈修〉Q47の2 女子の身体について捜索する場合には、急速を要する場合を除き、女性警察官が捜索する場合でも、別に成年の女子が立ち会わなければならない。A×【フォロー/例外】女性警察官が捜索・差押えを実施するのであれば、別に成年女子が立会わなくてもよい。東京高判平成30.2.23。

 

〈捜索・差押えに必要な処分〉

[短]〈基〉Q48 検察官、検察事務官、司法警察職員は、捜索差押許可状や差押許可状の執行については、錠を外し、封を開き、その他必要な処分をすることができる。A◯【フォロー】222①、111②。

 

〈検証としての身体検査〉

[短]〈基〉Q49 身体検査は、検証の一種として認められているが、生命・身体の安全や名誉等にも関わるので、身体検査令状という特別な令状が必要とされる。A◯【フォロー】218条。

 

[短]〈基〉Q50 女子の身体を検査する場合には、医師又は成年の女子をこれに立ち会わせなければならない。A◯【フォロー】222①、②。

 

〈通信傍受〉

[短]〈基〉Q51 被害者から、被疑者との会話を録音したテープの任意提出を受けた。これを再生して聴くことは、通信傍受に当たらない。A◯【フォロー/理】傍受とは、その通信内容を知るため、現に行われている他人間の電話その他の電気通信を受けることをいうから、終了した通信内容の録音体や電子メールについては、捜索・差押えの手続によって押収できる。

 

[短]〈基〉Q52 殺人罪の被疑者の通信を傍受できるかについて、組織的犯行態様の犯罪解明を目的とする場合ではなく、単なる殺人罪の被疑者である場合には、その通信を傍受できない。A◯【フォロー】通信傍受3①。

 

[基]Q53 通信傍受法の対象犯罪。A①薬物犯罪、②銃器犯罪、③集団密航、④組織的殺人、⑤殺傷犯(現住建造物等放火、殺人、傷害、傷害致死、爆発物の使用)、⑥逮捕・監禁、拐取・誘拐、⑦窃盗・詐欺・恐喝、⑧児童ポルノ。

 

[基]Q54 通信傍受は、傍受令状に基づいて行われるが、傍受令状発付には、捜索差押許可状や検証令状よりも大幅に要件が加重されている。A◯

 

[短]〈修〉Q54の2 通信傍受令状の発付と捜索差押許可状や検証令状の発付の要件は同じである。A×【フォロー】通信傍受令状は、大幅に要件の加重有。

 

[基]Q55 傍受令状に記載すべき事項。A①被疑者の氏名、②被疑事実の要旨、③罪名、④罰条、⑤傍受すべき通信、⑥傍受の実施の対象とすべき通信手段、⑦傍受の実施の方法及び場所、⑧傍受ができる期間、⑨傍受の実施に関する条件、⑩有効期間及びその期間経過後は、傍受の処分に着手することができず傍受令状はこれを返還しなければならない旨、(11)発布の年月日等。【フォロー】裁判官が記名押印要。

 

[短]〈基〉Q56 被疑事実の要旨、罪名及び罰条のいずれも記載しなければならない。A◯【フォロー】この点は捜索差押許可状や検証令状と異なる。

 

[短]〈基〉Q57 傍受できる期間は、令状発付時に10日以内の期間が定められ、さらに10日以内の期間を定めて延長できるが、通じて30日を超えることはできない。A◯【フォロー】通信傍受5①、7①。

 

〈鑑定嘱託〉

 

[大]Q58 検察官、検察事務官、司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者に鑑定、通訳又は翻訳を嘱託できる。A◯【フォロー】223①。

 

[定]Q59 鑑定。A特別の知識経験に基づく意見判断の報告をいう。【フォロー】通訳、翻訳は鑑定の一種。

 

[短]〈基〉Q60 鑑定留置をするには、鑑定人・鑑定受託者共に裁判所又は裁判官が発した鑑定留置状がなければならない。A◯【フォロー】167②、224②。

 

〈鑑定処分〉

[大]Q61 鑑定人・鑑定受託者共に、必要があるときは、①人の住居・人の看取する邸宅、建造物又は艦船への立ち入り、②身体検査、③死体解剖、④墳墓発掘、⑤物の損壊をすることができる。A◯【フォロー】168①、225①。こうした鑑定に必要な強制処分を鑑定処分という。

 

[短]〈基〉Q62 鑑定処分を行うには、鑑定人の場合は、裁判所又は裁判官の発した鑑定許可状が、鑑定受託者の場合は、裁判官が発した鑑定処分許可状が必要である。A◯

 

〈被疑者の出頭要求・取調べ〉

[大]Q63 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被害者の出頭を求め、これを取調べることができる。A◯【フォロー】198①本。

 

[短]〈基〉Q64 被疑者の取調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。A◯【フォロー】198② 黙秘権の告知。

 

〈被疑者以外の者の出頭要求・取調べ〉

[大]Q65 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被害者、目撃者、その他の事件関係者ら被疑者以外の者の取調べを求め、これを取調べることができる。A◯【フォロー】223①。

 

[短]〈修〉Q66 被害者以外の者の取調べについても、黙秘権の告知をする必要がある。A× 【フォロー】被害者以外の者には、黙秘権の告知不要。それ以外は、被疑者の取調べと同様。

 

[課]Q67 被疑者以外の者(被害者、目撃者、事件関係者など)の取調べの際、黙秘権告知が不要な理由。A明文の規定はないが、実質的に黙秘権の告知は必要とされている。

 

〈第1回公判期日前の証人尋問の請求〉

[短]〈基〉Q68 署名押印のない供述調査は、原則、証拠にならない。A◯【フォロー】321①。

 

[短]〈基〉Q69 第1回公判期日前の証人尋問は、あくまで捜査の一環として行われるものであるから、被疑者(起訴後実施場合の被告人)及び弁護人に立会権はない。A◯【フォロー/留】裁判官が捜査に支障がないと認めるときは、被疑者及び弁護人を立ち会わせることができる。228②。

 

〈犯人の発見・確保と捜査の終結〉

[定]Q70 事件単位の原則。A逮捕・勾留の効力は、逮捕・勾留の基礎となっている被疑事実のみ及び、それ以外の事実には及ばないということ。

 

〈逮捕〉

[大]Q71 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、「被疑者が犯罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由」があるとき、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕できる。A◯【フォロー】199①

 

[大]Q72 逮捕状を請求できるのは、検察官又は司法警察員。司法警察員が警察官である場合、警部以上の者しか請求できない。A◯

 

【フォロー/理】199②。このような限定がされている令状は逮捕状だけであり、人身を拘束する令状であるために、特に慎重な考慮が払われている。【フォロー2】検察事務官、司法巡査は、逮捕状の請求は不可。

 

[基]Q73 検察事務官及び司法巡査は、逮捕状を執行することはできるが、逮捕状を請求することはできない。A◯

 

[要件]Q74裁判官が逮捕状を発付できるための要件。A①被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由、②逮捕の必要性。

 

[定]Q75 現行犯人。A現に罪を行なっている者、又は現に罪を行い終わった者。

 

[大]Q76 検察官、検察事務官又は司法警察職員のみならず、私人でも現行犯人を逮捕状なくして逮捕できる。A◯

 

[大]Q77 通常逮捕と同じく、一定の軽微事件については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合、又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、現行犯逮捕できる。A◯【フォロー】217。

 

〈緊急逮捕〉

 

[定]Q78 緊急逮捕。A検察官、検察事務官又は司法警察員が、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合に、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき、その理由を告げて、令状のないまま被疑者を逮捕するこという。A◯

 

2023.3.16

[大]〈基〉Q79 死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪かどうかは、法定刑を基準とする。従犯の場合は、減刑後の刑ではなく、正犯の法定刑に従って判断するので、殺人の凶器を貸与した従犯を、緊急逮捕できる。A◯

 

[文解]Q80 210条1項にいう「充分な理由」。A通常逮捕で必要とされる「相当な理由」よりも犯罪の嫌疑が高い場合を意味する。

 

[大]〈基〉Q81 裁判官の緊急逮捕の要件を充たしているかの審査は、緊急逮捕時の事情に基づいて行わなければならず、緊急逮捕後の事情は考慮してはならない。A◯

 

〈逮捕後の手続〉

[大]Q82 司法巡査が逮捕した場合は司法警察員に、検察事務官が逮捕した場合は検察官にそれぞれ引致しなければならない。A◯【フォロー】202。

 

[大]〈基〉Q83 司法警察員は、被疑者に対し、直ちに被疑事実の要旨と、弁護人選任権があることを告げ、弁解の機会を与えなければならない。A◯【フォロー/留】弁護人選任権の告知は被疑者に既に弁護人があるときは、これを告げること不要。203②

 

[大]〈基〉Q84 司法警察員は、留置の要否を判断し、留置が不要なら直ちに釈放し、必要なら「被疑者が身体を拘束された時」から48時間以内に、書類及び証拠物とともに被疑者を検察官に送致する。A◯【フォロー】203。

 

[大]〈基〉Q85 司法警察員から送致を受けた検察官は、被疑者に対し、さらに弁解の機会を与え、留置の要否を判断し、留置が不要なら直ちに釈放し、留置が必要なら「被疑者を受け取った時」から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求する。A◯【フォロー】205①。

 

[大]〈基〉Q86 司法警察員から送致を受けた時点で、公訴を提起できるのなら、勾留の請求をせずに公訴を提起してもよい。A◯【フォロー】205③。

 

〈検察官が被疑者を逮捕した場合〉

[大]〈基〉Q87 検察官が自ら被疑者を逮捕した場合、検察官は被疑者に対し、直ちに被疑事実の要旨と弁護人選任権があることを告げ、弁解の機会を与えなければならない。A◯【フォロー】留置の要否を判断し、留置が不要なら直ちに釈放し、留置が必要なら被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求する。この時点で公訴できるのなら、勾留を請求せずに公訴を提起してもよい。204①。

 

〈被疑者勾留/逮捕前置主義〉

[大]〈基〉Q88 勾留を請求できるのは検察官のみである。A◯【フォロー】司法警察員は勾留請求不可。

 

[定]Q89 逮捕前置主義。A被疑者を勾留するに先立って、必ず逮捕がなされていなければならないこと。

 

[趣]Q90 逮捕前置主義の制度趣旨。A捜査の初期段階では、犯罪の嫌疑や身体の拘束の必要性は浮動的であるから、いきなり長時間の身体拘束である勾留を認めるのではなく、まず短時間の身体拘束である逮捕を先行させ、その逮捕の期間内に捜査を尽くした上で、それでもなお長時間の身体拘束が必要と認められる場合に限って、勾留を認めるという慎重な手続をとり、被疑者の人身の保護を図った。

 

〈被疑者勾留の要件〉

[要件]Q91 勾留の要件。A①勾留の理由、②勾留の必要性。

 

[大]〈基〉Q92 勾留の理由は、被疑者に「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(60①)、すなわち相当な嫌疑があることに加えて、被疑者に住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかの事由があることである。A◯【フォロー】60①1号〜3号。

 

〈勾留質問〉

[大]〈基〉Q93 裁判官は、審査の結果、勾留の要件があると認めるときは、速やかに勾留状を発しなければならない。A◯【フォロー】207⑤。

 

〈被疑者勾留の期間〉

[大]〈基〉Q94 被疑者勾留の期間は、勾留請求の日から10日間。A◯【フォロー】初日も算入される。

 

[大]〈基〉Q95 被疑者勾留の期間の10日間の間に公訴の提起をしないときは、検察官は被疑者を釈放しなければならない。A◯【フォロー】208①。

 

〈接見等禁止〉

[大]〈基〉Q96 勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者との接見、書類又は物の授受については、これを禁止することは認められていない。A◯【フォロー】39①。

 

[大]〈基〉Q97 勾留されている被疑者は、弁護人以外の者についても、法令の範囲内で接見等をすることができる。A◯【フォロー】207①、80。

 

[大]〈基〉Q98 被疑者が逃亡し、又は罪証を隠滅するに疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官は検察官の請求により又は職権で、被疑者と弁護人以外の者との接見等を禁止できる。A◯【フォロー】207①、81。

 

〈勾留の延長〉

[大]〈基〉Q99 検察官は、やむを得ない事由があるときは、裁判官に勾留の延長を請求できる。A◯【フォロー】208②。

 

[大]〈基〉Q100 勾留延長の請求の回数には制限がないが、期間は通じて10日を超えることはできない。A◯【フォロー/例外】内乱罪、外患罪、国交に関する罪、騒乱罪については、さらに通じて5日間までの勾留期間の延長が認められている。208の2。

 

〈勾留中の被疑者と鑑定留置〉

[大]〈基〉Q101 鑑定留置は、身体拘束という点で勾留に類似していることから、勾留に関する規定が準用される。A◯【フォロー】224②、167⑤。

 

〈弁護人選任権の機能〉

[大]〈基〉Q102 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。A◯【フォロー】30①。弁護人選任権。

 

 

[大]〈基〉Q103 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、被疑者、被告人から独立して弁護人を選任できる。A◯【フォロー】30②。

 

[大]〈基〉Q104 被疑者本人は、30条2項に定める者(法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹)が選任した弁護人を解任できる。A◯

 

〈国選弁護制度の意義〉

[趣]Q105 国選弁護制度の趣旨。A弁護人の援助が必要であるにもかかわらず、経済的理由その他の事情によって、自ら弁護人を選任できないことになれば、弁護人を選任権を被疑者、被告人の基本的権利として保障した憲法並びに法の趣旨を全うすることはできない。このため、法は、公費により弁護人を選任する制度を保障した。

 

[短]〈修〉Q106 現在では、逮捕段階でも、被疑者国選弁護制度が導入されている。A×【フォロー】導入されていないため、当番弁護士制度が活用されている。【フォロー2】被疑者国選弁護制度は、勾留された全ての被疑者に認められている。

 

[定]Q107 当番弁護士制度。A各弁護士会の名簿にあらかじめ登録された弁護士が、弁護士会から連絡を受け、直ちに逮捕、勾留されている被疑者と接見し助言等を行う。

 

〈国選弁護人の解任〉

[大]〈基〉Q108 弁護人を解任するには、あらかじめ、その意見を聴かなければならず、弁護人を解任するにあたっては、被告人の権利を不当に制限することがないようにしなければならない。A◯【フォロー】38の3②、③。

 

[大]〈基〉Q109 国選弁護人は、被疑者が「その選任に係る事件について」釈放されたときは、選任の効力を失う。A◯【フォロー/留】勾留の執行停止の場合は、効力を失わない。38の2。

 

〈弁護人の権限/固有権〉

[大]〈基〉Q110 弁護人のみが有する権限として、接見交通権、書物・証拠物の閲覧・謄写、上訴審における弁論などがある。A◯【フォロー】39、40、180①、388、414。

 

〈独立代理権〉

[大]〈基〉Q111 弁護人が被疑者、被告人の明示的な意思に反して行使できるものとして、勾留理由開示請求、勾留取り消し・保釈の請求、証拠調べ請求、異議申し立て、証拠保全請求などがある。A【フォロー】82②、87、88、91、298①、316の17②、309、179。

 

[大]〈基〉Q112 被告人の明示の反対意思がない限り、弁護人が被告人の同意を求めずに行使できるものとして、忌避申立て、上訴申立てなどがある。A◯【フォロー】21①、355、356。

 

[大]〈基〉Q113 身体拘束を受けている被疑者、被告人又は弁護人となろうとする者と、立会人なくして接見し、書類若しくは物の授受をすることができる。A◯【フォロー】39①。

 

〈勾留決定後〉

[大]〈基〉Q114 同一の勾留について認められている勾留理由開示請求は、最初の1回だけである。A◯【フォロー】207①、86。開示請求をするためには、「勾留されている」ことが必要であり、釈放後に開示請求することはできない。

 

〈勾留取消し・準抗告〉

[大]〈基〉Q115 勾留の理由又は必要がなくなったときは、裁判官は勾留を取り消さなければならない。A◯【フォロー】207①、87。

 

[大]〈基〉Q116 勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判官は、勾留されている被疑者若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系親族、兄弟姉妹の請求により又は職権で、勾留を取り消さなければならない。A◯【フォロー】207①、91。

 

[短]〈基〉Q117 勾留に関する裁判に不服がある者は、裁判所にその取り消し、変更を求める準抗告をすることができる。A◯【フォロー】429。

 

[短]〈基〉Q118 被疑者に犯罪の嫌疑がないことを直接の理由として、準抗告をすることはできない。A◯

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