⑴〈会社とは何か〉

Q1会社。

A営利を目的とする社団法人。

 

Q2定款。

A組織、運営、管理のあり方を定める根本規則。

 

Q3営利性。

A会社が事業を営むことで利益を獲得し、それを社員に分配することを目的としていることを前提に制度が設計されていることを意味する。

 

Q4株式会社。

A株式会社の意思を決定するための会議体。

【フォロー】全ての株式会社は、必ず株主総会を置く必要有。

 

[大前提(条文規定、判旨のこと。以下「大」とのみ略。)]

Q5 株主総会での意思決定は、株主の議決権の行使によって行わなければならない。A◯

 

Q6 104条趣旨(株主の責任は引き受け額…限度)。

A株主有限責任の原則を明らかにする規定。

 

Q7 公開会社(2条5号)。

Aその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について、株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社。

 

Q8 資本金の額。

A設立又は給付をする際に、株主となろうとする者が会社に払い込み又は給付した財産の額。

 

Q9 大会社(2条6号)。

A①資本金の額が5億以上である会社、又は②負債が200億円以上である会社。

 

Q10 法人格否認の法理。

A特定の法律関係についてだけ法人格を否認して、会社とその背後にある社員を同一視する法理。

 

⑵〈株式〉

Q11株式。

A均一的な割合的単位の形をとる株主の会社に対する権利の総体。

 

Q12株式買取請求権(116条1項等)。

A自己の有する株式を「公正な価格」で買い取ることを請求する権利。

 【フォロー】株式買取請求権が認められるのは、株主全員ではなく、116条所定の「反対株主」に限られる。

 

Q13譲渡制限を定めるための定款変更が行われる場合における「公正な価格」。

 

A仮に当該定款変更が行われていなかったとしたら、株式が有していたであろう価格。

 

Q14株券。

A株式すなわち株式会社の株主としての地位を表章する有価証券。

 

[大]Q13 会社は原則、株券を発行できず、例外的に定款で定めた場合に限り株券を発行できる。A◯ 【フォロー】214条。【フォロー2】上場会社は、全て株券不発行会社であることが前提とされている。

 

【フォロー2/定義】Q13の2株券発行会社。A株券発行につき定款の定めを設けた会社。

 

【フォロー3/株券不発行が原則とされる理由】①株券発行にコストがかかる。また、株主にとっても盗難等により第三者に善意取得されるリスク有、②非上場会社では株式譲渡が稀、③上場会社でも、株式取引がコスト増になっていた事情有等から。

 

[大]Q14 株式譲受人が株式を譲り受けて、自己が株主になったことを会社に主張するためには、株主名簿の名義書換が必要である。A◯ 【フォロー】130条2項。

 

【フォロー】株券発行会社の場合、株主名簿の名義書換は、会社に対する対抗要件に過ぎず、第三者への対抗要件ではない。130条1項。

 

[大]Q15 株式自由譲渡性を確保する観点から、株券発行会社は、原則、株式発行後遅滞なく当該株式に係る株券を発行しなければならない。A◯ 【フォロー】215条1項。

 

[大]Q16 株主から株券不所持の申し出があれば、会社は当該株主の請求があるまで株券を発行しなくてよい。A◯ 【フォロー】217条。株券不所持制度。

 

[大]Q17 会社が株券を作成して株主に交付した時点で株券が成立する。A◯ 【フォロー】c f128条1項。交付時説。最判昭和40.11.16 百選26。

 

[大]Q18 会社法上は、株券発行前の株式譲渡は、会社との関係では効力を生じない。A◯ 【フォロー】128条2項。会社に株式譲渡を対抗できないという趣旨。

 

[大]Q19 株券発行会社の株券を喪失した者は、会社に対して株券喪失登録を請求できる。A◯ 【フォロー】223条。

 

[大]Q20 株券喪失登録がされた株券は、登録日の翌日から1年を経過した日に無効となり、株券喪失登録者は会社から株券の再発行を受けることができる。A◯ 【フォロー】228条1項、2項。

 

[大]Q21 株券不発行会社では、株券がないので、当事者の意思のみで株式の譲渡の効力が生じる。A◯ 【フォロー】128条1項の反対解釈。

 

[大]Q22 株式不発行会社の株式(振替株式を除く)の譲渡は、株主名簿の名義書換が対第三者対抗要件となる。A◯ 

 

【フォロー】株券発行会社の場合とは、対第三者対抗要件が異なる。株券発行会社の場合、株主名簿の名義書替は対会社対抗要件(この場合と上記Q21の場合とで平仄を揃える)。

 

[大]Q23 株式取得者には、名義書換請求権が与えられている。A◯

 

【フォロー/例外】会社が株式を発行した場合や、株式併合・分割をした場合は、会社が名義書換を行う。132条。

 

[大]Q24 株主名簿上の株主から株式を譲り受けたが、名義書換未了の場合は、株式取得者の側からは株主権の行使を主張できない。しかし、会社の側から当該取得者を株主として扱うことはできる。A◯ 【フォロー】最判昭和30.10.20

 

[大]Q25 名義書換が不当に拒絶された場合、会社は株式譲受人を株主として取り扱うことを要し、株主名簿上に株主として記載されている譲渡人を株主として取り扱うことはできない。A◯ 【フォロー】最判昭和41.7.28

 

[大]Q26 株式取得者による適法な名義書換請求が行われたにもかかわらず、会社の従業員や経営者の過失によって株式取得者について名義書換が行われていない場合、会社は株式取得者を株主として取り扱わなけばならない。

 

A◯ 【フォロー】過失による名義書換未了の場合も、不当拒絶の場合と同様に扱う。前記最判昭和41.7.28

 

[大]Q27 公開会社では、株主総会の招集通知は原則、総会の会日の2週間前までに発行する必要がある。A◯ 【フォロー】299条1項。

 

[短]Q28 会社は本店に株主名簿を備え置くが、株主名簿管理人がいたとしても、営業所に備え置く必要はない。A×。

 

【フォロー】株主名簿管理人がいれば、営業所に株主名簿を備え置く必要有(125①)。

 

[短]Q29 株主や債権者は、会社の営業時間内であればいつでも、請求の理由を明らかにした上で、株主名簿の閲覧又は謄写の請求ができる。A◯。【フォロー】125②各号。株主名簿の場面。

 

[短]Q30 会社は、法定がある場合でも、株主名簿の閲覧・謄写の請求を拒絶することはできない。A×。【フォロー】法定有場合は、拒絶可。

 

[短]Q31 親会社社員は、その権利を行使するにあたり必要があるときは、裁判所の許可を得て、子会社に対して株主名簿の閲覧・謄写を請求できる。A◯ 

 

【フォロー】125条4項。【フォロー2】裁判所は、法定拒絶事由があるときは、許可を与えること不可。

 

[大]Q32 会社法は、株式は自由に譲渡できることを原則としつつ、定款に規定を置くことにより、株式の譲渡による取得について、会社の承認を要求する。A◯ 【フォロー】127条、107条1項1号、108条1項1号。

 

Q33 譲渡制限株式(2、17号)。

A定款で譲渡が制限された株式。

 

[大]Q34 相続、会社合併などの一般承継により譲渡制限株式を取得する場合、会社の承認は不要であり、一般承継人は会社の承認を得ることなく株主名簿の書換を請求できる。A◯ 【フォロー】134条4号。

 

[大]Q35 会社は定款に規定を置けば、株主総会の特別決議に基づき、譲渡制限株式の一般承継人に対して当該株式の売り渡しを請求できる。A◯ 【フォロー】174条〜177条、309条2項3号。

 

[大]Q36 譲渡承認請求について、株券不発行会社の場合、株式取得者は原則、株主名簿上の株主又はその相続人、その他の一般承継人と共同で請求する。

 

A◯ 【フォロー】株券発行会社の場合は、株式取得者は株券を提示して単独で請求可。

 

[大]Q37 会社が株式譲渡の承認をしない場合、対象株式の一部を会社が買い取り、残りを指定買取人に買い取ってもらうこともできる。A◯【フォロー】140条1項、4項。

 

[大]Q38 会社の承認のない場合でも、譲渡の効力は当事者間では有効である。A◯ 【フォロー】最判昭和48.6.15 百19。

 

[大]Q39 一人会社の株主がその保有する株式を他に譲渡した場合、定款所定の取締役会の承認がなくとも、その譲渡は会社に対する関係においても有効である。A◯ 

 

【フォロー/理】そのように解しても、会社の閉鎖性の維持という制限譲渡株式の制度趣旨は損なわれない。

 

[大]Q40 指定買取人に買い取らせる場合は、譲渡承認請求者が株主であるときは、その者は株主総会で議決権を行使できない。A◯ 【フォロー】140条3項。

 

[大]Q41 株式譲渡承認請求に対して、会社による株式買取りは自己株式の取得の一場面なので、他の自己株式取得の場合と同様の財源規制がある。A◯ 【フォロー】461条1項1号(配当等制限)、465条1項1号(欠損が生じた場合の責任)。

 

[大]Q42 指定買取人又は会社から、譲渡承認請求に対し、株式買取の通知がなされると、株式の売買契約が成立するが、その時点では売買価格はまだ決まらない。A◯ 【フォロー/理】売買価格は、第一次的には当事者間の協議によって定めるべきもの。

 

[大]Q44 株式会社の株式について、相続人が複数存在する共同相続の場合、遺産分割されるまでは、法定相続分に応じて共同相続人の準共有に属する。A◯

 

[大]Q44 株式が複数の者に共同相続され準共有状態になった場合、法定相続分である準共有者の持ち分の過半数によって権利行使者を指定できる。A◯ 【フォロー】最判平成9.1.28

 

[大]Q45 取締役は、株主総会の特別決議に際して、株式の併合を必要とする理由を説明しなければならない。A◯ 【フォロー】180条4項、同2項1号。

 

[大]Q46 株式分割の場合は、取締役会設置会社であれば取締役会決議、それ以外の会社では株主総会の普通決議で、分割の日、基準日、分割の効力発生日を定めればよい。A◯ 【フォロー】183条2項。

 

[大]Q47 株式の併合、株式の分割の効力は、定められた効力発生日に生じる。A◯ 【フォロー】182条、184条1項。

 

[大]Q48 公開会社については、発行可能株式総数を発行済株式総数の4倍超とする定款変更はできない。A◯ 【フォロー】113条3項。

 

[大]Q49 株式併合の場面でも、効力発生日における発行可能株式総数を効力発生日における発行済株式総数の4倍超と定めることはできない。

 

A◯ 【フォロー】180条3項。【フォロー2】非公開会社は例外有(4倍超と定めること可)。

 

Q50株式無償割り当て。

A会社が株主に対して、保有株式数に応じて無償で当該株式の保有株式数に応じて無償で当該会社の株式を交付すること。

 

【フォロー】185条、186条2項。1株につき1株を割り当てる株式無償割り当てが行われると、1株の株主は新たに振り込みをすることなく、2株の株主になる。

 

【フォロー2】会社は株式の分割では株主に自己株式を交付することはできないが、株式無償割り当てでは、自己株式を交付できる。

 

[課題]Q50の2 会社分割では、会社が株主に自己株式を交付できない理由。

 

A株式分割では、対象となる株式と同じ種類の株式が増加する方法によりなされるため、株主が保有する株式と異なる自己株式の交付はできない。

 

【フォロー3】株式の分割は、会社の保有する自己株式にも効力が及ぶのに対し、株式無償割り当ての場合には、自己株式は影響を受けない。

 

[課]Q50の3 その理由。

A株式分割においては、分割により会社の保有する自己株式が増加するという影響がある。が、株式無償割り当ての場合は、自己株式に株式無償割り当てはできないため、影響がない。

 

【フォロー4】株式の分割では、分割の対象となった株式と同じ種類の株式の数が増加するのに対し、株主の無償割り当てでは、株主に対して保有株式と異なる種類の株式を割り当てることも可。

 

[大]Q51 会社が単元株の制度を利用しようとするときは、定款で、一定の株式を1単元の株式とする旨を定めなければならない。A◯ 

 

【フォロー】188条1項。単元株制度の定款変更には、株主総会の特別決議による承認が必要(466条、309条2項)。

 

[大]Q52 単元株制度を採用している会社が1単元の株式数を減少する場合、又は単元株制度を廃止する場合には、常に取締役(取締役会設置会社は取締役会)の決定によって定款変更ができる。A◯

【フォロー】195条1項。

 

[大]Q53 定款で定めた1単元の株式数に満たない株式を単元未満株式というが、その株主は、株主総会で議決権を行使できない。A◯ 【フォロー】188条1項、308条1項但書。

 

[大]Q54 単元株未満株主は、いつでも会社に対して自己の保有する単元未満株式の買取を請求できる。A◯ 【フォロー】192条1項。株式に市場価格がある場合、その価格を基準に買い取り価格が決まる(193条1項1号)。

 

[大]Q55 会社が定款で定めれば、単元未満株主は、単元株主になるのに必要な数の株式を売り渡すよう請求できる。

 

A◯ 【フォロー】194条。【フォロー2/留保】実際に売り渡してもらえるのは、会社がそれだけの数の自己株式を有している場合に限られる。

 

⑶〈機関〉

[大]Q56 どの会社においても必ず設置しなければならない機関は、株主総会と取締役である。A◯ 【フォロー】295条1項、326条1項。

 

[大]Q57 株主総会と取締役の二つの機関しか設置しないという機関構成も、大会社でなくかつ公開会社でない場合に限り許される。A◯ 【フォロー】328条1項。

 

[大]Q58 公開会社は、取締役会を設置しなければならない。A◯

【フォロー】327条1項1号。

 

[大]Q59 会計監査人を設置した会社は、監査等委員会設置会社か指名委員会等設置会社にならない限り、監査役を設置しなければならない。A◯ 【フォロー】327条3項。

 

[大]Q60 大会社が同時に公開会社である場合、監査等委員会設置会社か指名委員会等設置会社でない限り、監査役会を設置しなければならない。A◯ 

 

【フォロー】328条1項。【フォロー2】大会社かつ公開会社である場合、原則、3名以上の監査役により構成され、その半数以上は社外監査役である監査役会の設置が要求される。

 

⑷〈株主総会〉

Q61株主総会。

A議決権を持つ株主によって構成される株式会社の意思決定機関。

 

[大]Q62 株式会社において株主総会決議が要求されている事項(法定決議事項)の決定権限を取締役や執行役、取締役会等の他の機関に委譲することはできない。A◯ 【フォロー】295条3項。

 

[大]Q63 法の定めにより、例えば、募集事項の決定(200①)、剰余金の配当等(459)は、決定権限の一部又は全部を取締役又は取締役会に委任できる。A◯ 【フォロー】法の定めによる例外有。200条1項、459条。

 

[大]Q64 。株主総会決議が要求される法定決議事項以外の事項について、取締役会設置会社における株主総会は、特に定款で定めた事項に関してのみ決議を行う権限を有する。A◯ 

 

【フォロー】295条2項。定款の定めが何もなければ、株主総会の決定事項は法定決議事項に限定される。

 

[大]Q65 取締役会設置会社は、ほとんどの場合、公開会社であるか、特に定款によって取締役会を設置することを選択した会社である。

 

A◯ 【フォロー】327条1項1号、326条2項。

 

【フォロー2】

取締役会非設置会社は、非公開会社である。同会社は、株主相互間の関係が比較的緊密であり、株主が会社経営に関する情報を得るのも容易。

 

また、取締役会を設置していないことから、株主は取締役らに経営権限を委ねることなく、自らも経営に関与していく意思を有している。それゆえ、非公開会社は、株主総会の決定権限を広く定めている。

 

[大]Q66 株主総会の招集に関する事項の決定は、取締役が決定する。A◯ 

 

【フォロー】298条1項。【フォロー2】取締役会設置会社では、取締役会が決定機関となる。同4項。

 

[大]Q67 取締役会設置会社の場合、あらかじめ目的とされていなかった事項については、株主総会で決議できない。A◯ 

 

【フォロー/理】議題について情報を与えることで、普段は経営に関与しない株主に株主総会への出欠に関する判断材料を提供するとともに、出席する株主に準備の機会を与え、株主総会における実質的な審理を可能にする。

 

[大]Q68 株主が株主総会を招集するには、株主総会の目的である事項と招集の理由を示した上で、取締役に対して、株主総会の招集を請求する。A◯ 【フォロー】297条1項。

 

[大]Q69 株主総会の招集請求を行う株主は、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6ヶ月前から引き続き有していなければならない。A◯ 

 

【フォロー】非公開会社の株主は、6ヶ月要件は不要。保有議決権のみが要件。

 

[大]Q70 株主が株主総会の招集を請求したにもかかわらず、遅滞なく招集の手続が行われない場合、あるいは、招集請求から8週間以内の日を総会開催日とする株主総会の招集通知が発せられない場合、招集請求をした株主は、裁判所の許可を得て自ら株主総会を招集できる。A◯【フォロー】297条4項。

 

[大]Q71 株主総会の招集権者は、招集の決定に従い、議決権を持つ株主に対して、招集する旨の通知を発しなければならない。A◯

【フォロー】299条1項。

 

[大]Q72 招集通知は、株主総会の日の2週間前までに発するのが原則である。A◯ 【フォロー/例外】書面投票を実施しない非公開会社の場合は、1週間前まで、その非公開会社が取締役会非設置会社でありかつ定款で1週間未満の期間を定めている場合は、その期間の前までに発すればよい。

 

[大]Q73 招集通知は、書面投票や電子投票を実施する場合又は取締役会設置会社である場合は、書面で行わなけばならない。A◯ 【フォロー】299条2項。

 

[大]Q74 書面による招集通知が義務付けられている場合、その書面には298条1項各号、すなわち、1号(株主総会の目的及び場所)、2号(株主総会の目的事項)、3号(書面による議決可の時その旨)、4号(電磁的方法で議決権行使可の時その旨)、5号(前各号他、法務省令で定める事項)を記載しなければならない。A◯ 【フォロー】298条1項各号。

 

[大]Q75 書面や電子投票を実施するのでなければ、株主全員が同意した場合には、招集手続を経ることなく株主総会を開催できる。A◯ 【フォロー】300条。

 

[大]Q 76 株主の全員が異議なく出席して行われた話し合いについて、株主総会決議として有効である。A◯ 【フォロー】最判昭和60.12.20

 

[大]Q77 全員出席株主総会において、出席した株主の一部が代理人による出席だったとしても、株主が会議の目的たる事項を知った上で委任状を作成し、かつ、株主総会決議が当該委任状の範囲内でなされている限りは、株主本人が同意して出席しているのと同じであると評価し、全員出席総会として有効である。A◯ 【フォロー】前記最判昭和60.12.20

 

[大]Q78株主は、自己が議決権を行使できる事項について、株主総会の目的とするよう取締役に請求できる。A◯ 【フォロー】303条1項。

 

[大]Q79 取締役会設置会においては、総株主の議決権の100分の1以上の議決権、又は300個以上の議決権を保有している株主のみが議案提案権を行使できる。A◯ 【フォロー】公開会社の場合は、さらに6ヶ月間の保有要件有。303条2項前段。

 

[大]Q80 取締役会設置会社における議案提案権は、株主総会の日の8週間前までに行使しなければならない。A◯ 【フォロー/理】取締役会設置会社では、会議の目的とした事項しか決議できないため、議決された事項を株主総会の目的とすることを取締役会で決定するなどの準備が必要だから。309条5項、298条1項2号。

 

[大]Q81 議案の内容が法令又は定款に違反する場合、あるいは、当該総会の日から過去3年以内に、議決権の10分の1以上の賛成を得られず否決された議案については、提案できない。A◯ 【フォロー】300条但書。

 

[大]Q82 単元株制度を導入している会社の場合、単元数に満たない株式には、議決権が発生しない。A◯ 【フォロー】308条1項但書。【フォロー2】1単元の株式数を100と定める会社において50株のみを有する株主は、議決権を有しない。

 

[大]Q83 会社が保有する自己株式には、議決権がない。A◯ 【フォロー】308条2項。【フォロー/理】自己株式に議決権を認めると、当該議決権の行使は当該会社の取締役が決定することになるが、それでは会社の資金で取得した自己株式につき、取締役の自己保身のための議決権行使が許されることになり、株式総会の経営モニタリング機能が弱められる可能性がある。

 

[大]Q84 特定の株主からの自己株式の取得について、株主総会決議を要する場合、当該議案については当該株主は議決権を有しない。A◯【フォロー】160条4項。

 

Q85一株一議決権の原則。

A株式1個につき議決権1個を分配すること。

 

【フォロー】308条。【フォロー2/制度趣旨】より多くの株式を有している者は、一般に会社利益の最大化に対してより多くのインセンティブを有していると考えられるため、このような制度となっている。

 

[大]Q86 株主総会では、代理人を通じて議決権を行使することが認められている。A◯ 【フォロー】310条。【フォロー2】代理人は議決権行使に伴い、株主総会における審議に参加し、質問等を行うことが可能。

 

[大]Q87 代理権授与は、株主総会ごとに行わなけばならない。A◯【フォロー】310条2項。【フォロー/趣旨】永続的な代理権授与により議決権の代理行使が会社支配の道具として濫用的に用いられることを防止する。

 

[大]Q88会社は代理人の数を制限できる。A◯ 【フォロー】310条5項。

 

[大]Q89代理人の資格を株主に限定する定款規定は、「株主総会が株主以外の第三者によって撹乱されることを防止し、会社の利益を保護する」という合理的な理由が有れば有効である。A◯ 【フォロー】最判昭和43.11.1 百選34。【フォロー/理】判例は、資格を制限する合理的な理由がある場合に、相当と認められる程度の制限を課すことを認めている。前掲最判昭和43.11.1

 

[大]Q90議決権の不統一行使。A株主がその有する複数の議決権の一部につき異なる議決権を行使すること。

【フォロー/例】100個の議決権を有している株主が、そのうち60個を賛成、40個を反対として行使するような場合である。

 

Q91何故、議決権の不統一行使が認められているのか。A他人のために株式を保有している株主などが、実質的な権利者の意見を株主総会決議に反映させるため、不統一に議決権を行使することが必要な場合があるから。

 

[大]Q92 会社は、他人のために株式を保有する者でない者による議決権の不統一行使を拒否できる。A◯ 【フォロー/理】313条3項。

 

[大]Q93 取締役会設置会社においては、議決権の不統一行使をしようとする株主は、会社に対してその旨、及び不統一行使の理由を会日の3日前までに通知しなければならない。A◯ 【フォロー】313条2項。

 

[大]Q94 株主総会で行う決議のほとんどは、普通決議か特別決議である。これらの決議においては、株主数ではなく、議決権数が重要である。対して、特殊決議は、それまで自由に譲渡できた株式に譲渡制限が課される場合(特殊決議①)、あるいは、株式平等原則の例外(109②)を定める場合(特殊決議②)であり、株主への影響が特に大きいと考えられるため、議決権数のみならず、株主数にも可決要件に加えられている。A◯ 【フォロー】109条2項。

 

[大]Q95 株主総会に対してなされた提案について、議決権を行使できる株主全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をした場合、株式総会を開かずに、可決する旨の決議があったものとみなされる。A◯【フォロー】319条。

 

[大]Q96 株主総会で作成された議事録は、本店において10年間保管され、支店においてその写しが5年間保存される。A◯ 【フォロー】318条2項、3項。

 

[大]Q97 株主や会社債権者は、会社の営業時間内であれば、議事録の閲覧謄写請求ができる他、親会社社員も裁判所の許可を得て閲覧謄写を請求できる。A◯ 【フォロー】318条4項、5項。株主総会議事録の場面。

 

[大]Q98 株主総会において、書面投票・電子投票を実施するか否かは原則、自由である。が、当該総会において、議決権を行使できる株主が1000人以上いる場合は、書面投票を実施しなければならない。A◯【フォロー】298条2項本文。【フォロー2/趣旨】株主総会に出席できない株主も多くと考えられるところ、そのような株主にも議決権の機会を提供する。

 

[大]Q99 代理人の資格を株主に限る旨の定款の定めに反して非株主である代理人が株主総会に出席した場合、決議方法の定款違反となり得る。A◯ 

 

[大]Q100 株主総会決議取り消しの訴えの被告となるのは、当該会社である。決議の取消しによって影響を受ける者、例えば、株主総会の取締役選任決議によって選出された取締役は被告とはなれないが、被告側に補助参加はできる。A◯ 【フォロー】834条17号、民訴42。

 

[大]Q101 株主総会決議取り消しの訴えは、被告となる会社の本店の所在地を管轄する地裁の専属管轄に属する。A◯ 【フォロー】835条1項。

 

[大]Q102 株主総会決議取り消しの訴えの提起は、株主総会決議の日から3ヶ月以内による必要がある。A◯ 【フォロー】831条1項柱書前段。【フォロー/理】いつまでも決議の効力を争うことができると、株主総会決議に基づいて形成された法律関係が後から覆されるリスクが永続しかねないので、効力の早期確定により法的安定性を図るため、期間制限が設けられている。

 

[大]Q103 株主総会決議取り消しの訴えの提訴期間経過後に新たな取り消し事由を追加主張することは許されない。A◯ 【フォロー/理由】提訴期間は、瑕疵ある決議の効力を早期に明確にさせることを趣旨とするところ、新たな取消事由の追加主張を認めると、その趣旨が実現できなくなる。最判昭和51.12.24 百選81。

 

[大]Q104 取消しの対象となっている選任決議によって選任された役員が全員退任してしまった場合、なお決議を取り消すべき特段の事情がない限り、訴えの利益は失われる。A◯ 【フォロー】最判昭和45.4.2 百選40。特段の事情とは、既に退任した役員を選任した決議を取り消すことが、何らかの紛争を解決するために必要であることを指す。

 

[大]Q105 役員退職慰労金の贈呈の株主総会決議取消しの訴えが係属している間に、当該決議が取り消された時に遡って効力を有する旨の条件を付して同内容の決議がされた場合、訴えの利益は否定される。A◯【フォロー/理】当該決議を取り消しても、後の条件付き決議の効力が生じる以上、決議を取り消す意味がなくなる。

 

[大]Q106 有効な取締役会の決議に基づかず、かつ法定の招集期間より2日遅れて招集通知が発された事例において、たとえ大多数の株主が異議なく決議に参加し、賛成していても、性質・程度から見て決議の瑕疵は重大とされた。A◯ 【フォロー】最判昭和46.3.18 百選42。

 

[大]Q107 株主総会決議の内容が法令に違反している場合、無効事由となる。A◯ 【フォロー】830条2項。決議内容が法令に違反している以上、そのような決議が取り消されれるまで有効として取り扱うことはできない。【フォロー2】決議の内容が定款に違反する場合は、決議取消し事由となる。

 

[大]Q108 株主総会決議不存在確認の訴えや決議無効確認の訴えの認容判決については対世効が認められる。A◯ 

 

【フォロー】838条。Q108の2 対世効。A判決の効力が当事者のみならず、第三者に対しても及ぶ効果をいう。

 

【フォロー2】838条では、会社の組織に関する訴えに係る請求認容する確定判決には、第三者に対しても効力を有すると規定有。

 

【フォロー3】会社の組織に関する訴えでも、請求棄却判決や却下判決には、対世効はない。