少々現実的なお話をしておこうかと思います。
養成所に入った声優志望の人の大半の人が当てはまる事です。あなたもそうなる可能性が高いというお話です。いえ、そうなりますと言っても過言ではありません。
声優になれる人なんてひと握りの存在です。声優になれない人の方が多いので、この話は殆どの人に当てはまるという意味です。
夢破れた時にどうなるのか、知っておきましょう。
そしてそうならないように日夜、稽古に励んでください。
この話は、あなたにも起こり得る、声優になると決意して取った行動の末路の話です。
【よくある声優志望者の末路、養成所編】
色々な養成所がありますので一概にソレと決めつけるのは宜しくないですが、とは言え、どこの養成所でも同じような事が起こります。
夢と希望に満ち溢れているあなたは、ある意味身の程を知らない勢いで養成所選びを始めます。
当然、有名な声優が沢山いるような事務所の養成所を選ぶでしょう。
学費との兼ね合いもあると思いますので色々考えた結果『日ナレ』という所を選択します。
日ナレじゃなくてもいいですが、とにかく良さそうな養成所という意味で日ナレを例にあげましょう。声優養成所の中で一番の大所帯ですからね。
日ナレは、アーツビジョン、アイムエンタープライズ、ヴィムス、クレイジーボックスなどといった関連会社の声優事務所が複数あるのも人気の秘密かもしれませんね。
(現在もこの4社なのかどうかはわかりませんが)
では、本題に入りましょう。
あなたは意気揚々と日ナレの基礎科に入ります。
基礎科というのは文字通り、基礎から学ぶコースですね。
日ナレは、基礎科、本科、研修科、と三つに分かれています。一年レッスンをして年度末に『進級審査』と呼ばれるものがあり、合格すると上のクラスに上がれます。合格しなければ来年も同じ科で頑張る事になります。
なので、基礎科から入ったとしたら研修科まで行くには数年かかるという事です。
進級審査などの関門を突破して研修科にまでたどり着いたあなたはいよいよプロへの道がボンヤリ見えてきます。研修科より上はもう事務所へ所属というゴールしか無いわけですからね。
ある意味ここからがスタートです。
進級審査のように簡単に事務所に所属できるわけではありません。
日ナレでは関連会社オーディションという内部オーディションがあり、成績優秀者はそのオーディションを受ける事ができます。
実はこのオーディション、基礎科の人でもオファーが来る人は来ます。
研修科ともなると、当然上手い人が多いのでオーディションのオファーが来る人は沢山いるでしょう。
そして、張り切ってプロフィールや、ボイスサンプルなどを作ります。それを提出して二次審査への連絡を待ちます。
そんな感じで頑張って頑張った挙句…
所属できないで途方に暮れます。
日ナレも在籍年数に制限があるらしく、6年(?)以上はいられなくなりました。昔は何年でも良かったんですけどね。
4、5年目になったあなたは焦り始めます。
このまま日ナレにいていいのだろうか…
他の養成所に行ってみようか…
もう声優になる事は諦めて就職しようか…
色々な事が頭をよぎります。
そしていよいよ日ナレを卒業する決意をします。
他の養成所でもう一回やってみて、ダメだったら諦めよう。もう一度初心に返って心機一転頑張ろう!などと思い、他の養成所の門を叩きます。
この頃には若き日の夢と希望に満ち溢れていた勢いは無く、ある意味現実を見る事ができるようになっているし、年齢もそこそこいってしまったので、アイドル声優になりたかった過去の自分とは決別し、地道に堅実に需要があるような実力派で行こうという方向転換も終わっていると思います。
声優になれればいい!全てはそこからだ!
というような気持ちになってしまっているかもしれません。
日ナレという激戦区で戦っていた無謀な自分に気づき、もっと競争率の低い所で闘おう、と思うようになります。
アーツ、アイム、ヴィムスなどの派手な仕事を持っているような事務所を諦め、あまり人気が無さそうで、かつ事務所に所属しやすそうな養成所を探し当てます。あえてここではその養成所がどこだとは言いませんが。
その養成所で1、2年頑張りました。
残念ながらあなたはまた所属まで行き着けませんでした。
もう潮時だ…
なんて思うかもしれませんね。
しかし、この頃のあなたはもう芝居の世界にどっぷりと浸かっていて、抜け出せなくなっています。長年養成所暮らしをしてきた意地もあります。
もう一回だけ…
なんて気持ちが芽生えてきます。
次は確実に声優になれそうな養成所を探そう、とにかく所属になる事が優先だ!などと、少々見当違いな事を思うようになってきます。
ここでどの養成所を選ぶか。
大きく人生が変わる分岐点です。
さすがにここまで長年養成所暮らしを続けていると、比較的楽に事務所に所属できる養成所などがあるという情報が耳に入ってきている筈です。
少々費用はかさみますが背に腹は変えられない…
いよいよ最後の勝負です。
テクノアカデミアやAMGなど、制作会社がやっているような養成所に入ります。
そして、最後のオーディションで、どこかの事務所に所属する事ができました。
どこだとは言いませんが、あまり聞いた事も無いような事務所です。
でも、あなたは満足するでしょう。
長年の夢が叶ったわけですから。
そして、その事務所でまたレッスンの日々が始まります。レッスンもタダではありません。有料です。
数年が経ち…
事務所に所属してから何か仕事らしい仕事があったかというと、片手で数える程度、そろそろ事務所に対して不信感を感じてきます。
もういい歳です。
バイト先で出会った彼氏、彼女も『そろそろ結婚しようよ』みたいな事を言い出す年齢です。
潮時か…
と、やっとあなたは業界から足を洗う決意をします。
色々あったけど…楽しかったな…
と、一般人に戻っていくのです。
終わり。
いかがでしたか?
なかなかリアルな結末だと思います。
しかし、ここまで行けたら良い方です。物凄く良い方です。声優になるという夢は一応叶ったのですから。
諦めなければ一応の夢は叶います、とはこういう事です。
普通は日ナレの次の養成所でダメだったら心が折れてしまうと思いますけどね。
何がいけなかったのでしょう?
情報、調査、経験不足から来るものでしょう。
上記したプロセスの中に無駄な事が沢山含まれています。
しかし、実際に組織の中にいると気付きにくい事は沢山あります。
どこにチャンスがあってどこにチャンスが無いか。
見極める目が必要です。
見極めるにはインターネットの情報だけでは足りません。
ネットの情報は正しく無いものが多いですからね。
斯く言う私の情報も、たかが、いちインターネットの情報でしかないのですから信じろと強制する事はできません。
誰が正しい事を言っているのか、誰が正しく無い事を言っているのか、判断は難しいと思います。
私はただただ、あなたにこの現実を疑似体験してもらう事により、このような末路にならないようにと、切に願う気持ちからこのブログを書きました。
参考にするかしないかはあなた次第です。参考にならないと判断したならば忘れてください。
頑張ってください。