三ヶ月余りの休職状態のおかげで、フィジカル面のコンディションは良好だ。
やはり時間的余裕というアドヴァンテージは大きい。
おかげで温浴とストレッチは完全に日課となった。
各部の柔軟性は向上し、可動域が拡がりつつあることを実感している。
下肢のストレッチを徹底したことで、中殿筋や腰の不安も無くなった。
今は左肩甲骨周辺へのアプローチに重点を置いている。
左母指への負荷軽減のためクリニックから指導を受けたためだが、これが思ったよりも酷い。
やはり専門家の意見は傾聴するに限る。
唯一続けてきた腹筋運動は、強度こそ軽めながら150回をこなせるようになった。
地道な成果にほくそ笑んだものの、年明けから1分間のプランクを付け加えてみると、これがなかなかキツい。
体幹の強度はまだまだ望むレヴェルには至っていない。
投げ出すことなく粛々と継続してゆこうと思っている。

妹が10,000歩/日を目処に歩いていることを知り、やはり年明け、スマホに万歩計をインストールした。
─10,000歩なんて楽勝···
タカをくくっていたら大間違いだった。
ゴルフの練習に行っても、地元で普通に生活しているだけでは7,000歩程度しか稼げない。
職場まで往復することで12,000歩を越えることが判ったので、おそらく職場での作業を含むと、今までは16,000歩前後消化していたはずだ。
要するに、二ヶ月くらいの間に脚力が減退している恐れが強い。
今は8,000歩/日を目標に毎日出歩き、一ヶ月の平均は9,000歩強になった。
徐々に挽回していこうと思っている。

時間的余裕のおかげでゴルフの練習量は増えた。
練習後のケアは欠かせないが、ほぼ違和感無くクラブを振れているのは幸いだ。
左手の不調を感じた頃から、握り方をインターロッキングからオーバーラッピングに戻し、右手をしっかり被せるようにしたのが良かったようだ。
さらに年末、グリップを太目のモノに変更した。
手でコネる悪癖が無くなり、左母指への負荷も軽減できたように思う。
これまで負傷の原因を仕事のせいにばかりしてきたが、やはりゴルフにも一因があったようだ。
今後のことを考えれば、テンフィンガーかベースボールが最良なのだと思うが、違和感が酷くなかなか簡単にはいかない。
しばらく様子を見ようと思う。

スイングのメカニズムについては、かなり理解を深めた自信がある。
おざなりだった肘の使い方を正すことで脇の甘さが影を潜め、肩の旋回でオンプレーンにクラブを動かすことが出来るようになった。
このことで方向性の誤差はほとんど無くなったと言っていい。
スイングプレーンのイメージを間違わない限り、もはや大ケガをすることはないだろう。
あとはアライメントを正確にとれるかだが、どうやら右に向くのが苦手らしい。
まだまだチェックは必要だ。

距離感の誤差も埋まりつつある。
現在のアイアンセットはストロングロフトに対応したものだが、メーカーのスペックより0.5~1°寝かせた仕様になっている。(それでも以前に比べれば1~2°は強めだが··· )
そのせいで充分な距離が望めないのかと思っていたが違ったらしい。
どうやら、しっかりしたフィニッシュがとれてなかっただけのようだ。
力むことなく意識してしっかり肩を回し切るだけで、Pwで130yをカバー出来る。
ロフトのことを抜きにすれば、飛距離は二十年前と変わらない。
以前と変わらない番手構成でラウンドが出来ることは、ストラテジーの上で余計なことを考えなくて済むだろう。
おそらく番手選びのミス防止にもなるはずだ。
フィニッシュのことは、クリニックで指摘された左肩甲骨の固さも影響していると思う。
ある程度柔軟性を取り戻せば解決することかも知れないが、今はまだ意識的なスイングを心がけねばならない。

ひょんなことから、股関節の使い方がようやく分かった。
まだ取り組みを始めたばかりで手応えは薄いが、これを修得出来れば、上体の力みを抑え、飛距離・方向性の精度をさらに向上させられそうだ。
これも重点課題の一つとして、反復練習で修得してゆくしかない。

スイングのメカニズムについて理解が深まったことは大きな進歩だと思う。
ミスの原因究明がし易くなったのは間違いない。
大きな助けになったのは、ティーチングプロ内藤雄士氏のスイング理論だろう。
時折TVで垣間見るレッスンを参考にしただけだが、この人のアドバイスはいちいち的を射たことばかりに思える。
これまで様々な人のレッスン書や番組を参考にしてきたが、これだけ的確で明解なヒントを与えてくれた人を僕は知らない。
やはりスペシャリストを侮ってはならないと改めて思った。
機会があるなら、これからでも実際にレッスンを受けてみたいと願っている。

ショットに悩むたび常につきまとうのが、手持ちのクラブに対する不信感だ。
今回も何度かそんな局面があった。
そうした思いにかられるたび、···
─だとしても、もう少しマシなタマが打てるはず···
そう自分に言い聞かせてきた。
スイングが確立してない中でクラブを変えても、そのクラブの良し悪しを判断できるだろうか?
かえってクラブに合わせてスイング自体が変化してしまい、また混乱を深めてしまうのではないかといった考えを思い起こし、自分のムラっ気を抑え込んだ。
結果的にこの我慢は正解だったと思う。
クラブ自体の性能にそれほど詳しくない自分でも、実戦の経験則に基づく今のセットアップだ···
苦手意識などの偏見を排除し均一なスイングを心がければ、スペック通りの性能を発揮してくれる。
今は手持ちのクラブで、そのことを実感できるようになった。
そうは言っても、クラブに求めるモノが全く無くなった訳ではない。
Drのロフト角やウエッジのバウンス角、重量など、限定的ながらいくつか試してみたいコトはある。
だが、それはあくまでもショットの質をより向上させるためで、安易にスイングの問題を解決させるためではない。
実際のラウンドを通して、さらに検討してゆくコトだと今は思える。

皮肉な話だが、退職が決まった途端、左母指は急速に回復傾向にある。
自分に非は無いと思うものの、世話になった人への挨拶もないままの退職には一抹の悔いが残る。
予定より一年前倒しのリタイアとなり、生計の維持には工夫を強いられることになってしまった。
だが、それ以外は全てが順調に進み始めている。
この三ヶ月、右往左往しながらも続けてきたことに間違いは無かったと今は思いたい。
─これがオレの力だ!
自分に甘いのはいつものことだが、今回ばかりは自惚れてもいいと思った。

その時気がついた。
─ああ、春がやって来る···