偶然のサイン本
サイン本が何冊かある。種類としては次の3つである。
1.最初からサイン本として購入したもの
2.人に頼んで、著者にサインしていただいたもの
3.お会いした時に、サインを直接お願いしたもの
このうち3は前もってお会いするのが、わかっているのが普通である。
しかし、そうでないサイン本が1冊あり、深い思い出となっている。
その昔、京都のとある芝生の上で、購入した本を読んでいた。
『歴史に何を学ぶか 羽仁五郎 井上清 現代史対談』(現代評論社/羽仁五郎・井上清/1973年12月初版/680円)
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途中、ふと目を上げた時、前をなんと羽仁五郎らしき人が歩いているではないか。
もちろん写真でしか見たことがなかったので、半信半疑ではある。
そして何か道に迷っているような様子が感じられたので、思い切って羽仁先生ですかと声をかけた。
するとそうだと答え、もうすぐ講演会が始まるのだが、その場所がわからないという。
幸いその場所を知っており、そこから近かったのでご案内した。
その会場の前には係員らしき人がキョロキョロとあたりを見渡しており、ホテルへ迎えに行ったが行き違いになったということだった。
時間が迫っていたので、係の方は羽仁さんをすぐ中に連れていこうとした。
その時また思い切って、今読んでいた本を見せ、サインをいただけませんかとお願いした。
すると、名前はと聞かれ、○○君へ 1974.4.24 Goroとサインをしていただいた。
講演は聞かなかった。
『都市の論理』も持っていればよかったと欲も出たが、しばらく幸運な偶然の余韻に浸っていた。