花のある風景の思い出
子どものころは、その祖父母の後ろに
くっついて庭や畑に出ていたため、花や野菜の名前を覚
えてしまいました。
季節ごとにさまざまな花が咲きましたが、一番好きだった
のはテッセンです。
夏になると、庭の隅の朽ちかけた木のクイに絡まって毎年
咲いていました。
周りにほかの花はなく、紫と白の花だけが鮮やかに浮き上
がっていました。
「花は何が好きですか」と聞かれたら、今だに「テッセン」と
答えます。
テッセンのことをクレマチスというのを知ったのは、恥ずか
しながら比較的最近のことです。
しかし、子どものころに見たあの花を、クレマチスと呼んで
しまうと、何か違います。
麦わら帽子をかぶり、タオルを首にまいた祖母のかたわら
で見ていたのは、やはりテッセンなのです。
思い出の中だけでなく、花のある風景はすてきですね。