「個人番号制度について」(真田幸光氏) | 清話会

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「個人番号制度について」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

いよいよ、
「個人番号制度=通称、マイナンバー制度」
が日本で本格的に始まります。
財政問題を抱えつつも、社会保障制度を充実、円滑に運用させていくためには必要不可欠な制度であり、私も大いにこれに期待をしています。

そこで、まず、内閣府のホームページを抜粋しつつ、優しい、そして易しい言葉で書いてあるこの制度の特徴を眺めて見ますと次の通りとなります。

「マイナンバー制度に於いては、住民票を有する全ての方に対して、1人1番号のマイナンバーを住所地の市町村長が指定します。
原則として、一度指定されたマイナンバーは生涯変わりません。
国の行政機関や地方公共団体などでは、社会保障、税、災害対策の分野で保有する個人情報とマイナンバーとを紐づけて効率的に情報の管理を行い、さらにマイナンバーを活用して、同一の者に関する個人情報を他の機関との間で迅速かつ確実にやり取り(情報連携)することができるようになります。
また、他人のマイナンバーを利用した成りすましを防止するための厳正な本人確認の仕組み、マイナンバーを保有する機関の情報管理や情報連携における個人情報保護の措置も取り入れています。」

となっております。
素晴らしいです。

そして、最近のニュース報道を見ておりますと、日本政府は、この仕組みに、
「医療関係の個人情報」
も加えて、より効果的な運用、仕組みの運営を考えているようで更に素晴らしいと思います。

そして私は、このマイナンバー制度の施行、運用については、総論賛成であります。
但し、我が国ではかつて、米国の制度を模し、
「グリーン・カード」
なる制度が議論された際に、
「個人情報の管理や情報そのものの運用」
についての疑問や不安もあり、導入のための議論はなされたものの採択されなかったと言う歴史があり、私は今も少しこの点が気に掛かります。

即ち、如何にIT技術が進んでいても、否、IT技術が進んでいるからこそ、個人情報保護には、万全には万全を期して対応しなければ個人情報が侵害される可能性が無きにしもありません。

実際に最近の年金機構の情報漏れの状態を見ていると、如何に慎重に運営していても、
「想定外の事態」
はやはりここでも発生しており、こうしたことからすれば、国民は、
「不安ばかり」
であるとも言え、とても今直ぐにマイナンバー制度を開始しても良いとは言えない状況にあるとも思います。
そして、更に、重要なことは
「情報管理をする側に、悪意の運用が見られた場合の未然の仕組み」
なるものも、必要不可欠であると私は考えています。

人気テレビドラマである「エックスファイル」の中で、主人公の相方であるスカーリー捜査官が宇宙人にITチップのようなものを身体に埋め込まれ、彼女の全てが管理・監督されているのではないかと言ったシーンがありましたが、例えば、個人のDNA情報などの医療関係の情報も含めて、個人の様々な情報がその個人番号制度に名寄され、一括管理されていくと、情報管理している側が、これら情報を悪用した場合、個人の個人たる権利が侵害される可能性もあり、更に強い悪意が有れば、情報管理を出来る立場の者がその情報を書き換えることも理論的には可能となると言うことにもなります。

だからこそ、万全を期すためにも、
「未然にそうした事態が生じないような仕組み、例えば、政府、行政と全く関係のない第三者機関による定期監査と抜き打ち検査を制度化すると言った安全弁を組み合わせてスタートすべきではないか。」
と私のような一般庶民は考えています。

功罪併せ持つ、「もろ刃の剣」的な要素のあるマイナンバー制度のスタート、慎重に進めて戴ければ幸いなのですがーーー




真田幸光------------------------------------------------------------
清話会 1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している

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