心眼(谷口碩志氏) | 清話会

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谷口碩志の「会社は人から」第13回
心眼

谷口碩志氏(クリエイトマネジメント協会代表取締役)

正月も終わりもう一月も後半になりました。時間のたつのは年齢を重ねる毎に早いですね。今年の冬は厳しい寒さが続き冬らしいですね。

この間、大阪梅田の近くに旭屋と言う名前の7階~8階立ての本屋があり、本の購入のために行ってきました。本屋の入口のところで、何か心安らぐ音色が聞こえてきましたので、フット立ち止まって暫し聞き入っていました。

清話会 そして横に目をやると、少し前の話になりますが、大変話題になりました例の全盲のピアニストの辻井伸行 さんのピアノ演奏のメロデーでした。何か、若者の持つ感性溢れたみずみずさを感じる、晴れやかな音律で、心が和みました。

私は音楽的素養は全くないのですが、時折コンサートなど、フラッと聴きにいったりします。なにか心が洗われます。

今から10年前ぐらいになるかと思いますが、京都の方で会計事務所の創立確か20周年だったかと思います。京都フイルハーモニー交響楽団による 演奏会がありました。約一時間ぐらいの演奏で 解説付きのコンサートでした。

音楽には起承転結があり、それを楽団員が一体となって演奏するということです。

指揮者の方のその演奏の折々の解説で、音楽を聴くことによって、音楽と旋律の綾が理解でき、大変良い機会でした。

その事は、その後の音楽鑑賞の聞き方に理解でき、大変良かったです。
一例をあげますと、音楽には物語りがあり、川の流れの場面があるとします。 

川上のせせらぎには かすかな旋律で各団員が演奏します。それが、川下にいくにつれて楽団の奏でる各楽器が大きくなり、滝に近づくと怒涛のようなハーモニーになります。そして大きな川になっていくと、悠久感・存在感のある旋律に変わります。

そのように 音楽の物語にたいしての解説による演奏でした。
音楽を心で聞けたことが、大変よかった印象を思い出しました。

さて、私はアメリカ、バン・クライスバーン国際ピアノコンクールで優勝しました全盲の辻井伸行さんなど、お目のお悪い人に大変心がキュッと引かれます。それは 私の幼少の折の思い出につながります。

私は 幼少の頃は大阪の下町のど真ん中に生まれ、思い出が一杯詰まった所で過ごしました。

私の家の近くで、確か私より一歳年上で、生まれた時から全くお目の見えない友達がいました。よく一緒に遊びましたが、今から50年、60年の前の事です。当時は終戦後という事もあり、物の無い時代で、遊び道具などほとんどなく限定され、暫くするとどうしても健常の友達と遊んでしまいます。

そのお目のお悪い友達の、私の耳から今も離れない言葉があります。
その友達は、確か初冬だったかと思いますが、家の前の縁台で一人で遊んでいました。

太陽が出てくると、「今、汽車がトンネルを出ました。」
清話会 そして太陽が雲で隠れると、「今、汽車はトンネルに入りました。」
なんども一人で口ずさんで太陽と遊んでいました。

そばでその声を聞き、子供心にアー、太陽が出るとお目が悪くとも目元が明るくなり、太陽が隠れると目元が暗くなるんだなあと、明るく一人で遊んでいた友達の光景が、今も忘れることは出来ません。

「明るく一人で太陽と遊んでいる。」いま感じる事は、そのなんとも言えないけなげさを子供心に本能で感知したのかも知れません。

今、こうしてパソコンにむかいながら、その折の状況が手に取るように浮かび目頭が潤みます。

その友達は、確か私がまだ小学校に入っていなかったと思いますが、盲学校に行かれる事になり転宅することになりました。

その日の朝の友達との別れに、私はなぜか言葉はかけなかったように思います。
お母さんに手をひかれ(お父さんは戦死されたような記憶があり、確か一人っ子だったように思います)、立ち去って行く後姿が今も脳裏に焼きついています。

今はどうされておられるのか、もしご健在でお会いできたら、一言「お元気でしたか」とお声をかけ、強く抱きしめたい心境です。

その立ち去る後姿に、子供心に寂寥感と、そして幸せに、と言うような心が交錯したように思います。

なぜかと言いますと、その後の人生でお目のお悪い人に出会いますと、当たり前の事で書くには及びませんが、積極的に自然に身体が動きご案内させていただいています。

遠くで見かけた折は、その後姿に幼馴染の友達の思い出が蘇るのか、心でお幸せにと思わずつぶやいています。

今回は、この間の喧騒する梅田での一服の清涼剤に耳を傾け、幼少の折の思いに馳せました。 




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※ 谷口碩志氏が講師を務められる「新入社員 2泊3日禅寺合宿研修会」が3月と4月に開催されます。

平成23年度
新入社員(第二新卒含む)
2泊3日禅寺合宿研修会


◆日時
第215回平成23年3月29日(火)~31日(木) 2泊3日
第216回平成23年4月 4日(月)~ 6日(水) 2泊3日

◆会場

心華寺青少年研修道場 [京都府宇治市]


この禅寺道場研修は、30年余にわたり毎年定期的に開催され日本でも屈指の伝統的な社員教育として評価され、昨年の新入社員研修会は400名のご派遣があったと聞きおよんでいます。
2泊3日の研修を通じて、感謝の気持ちや奉仕の精神、素直な心など、社会人として第一歩を踏み出す新入社員に、意識改革を図り決意と勇気と目標をもたせる効果があります。それは職場に新風と若さのパワーをもたらします。
ここに関係各位にご案内させていただきます。 
 



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