中国の太陽光発電(真田幸光氏) | 清話会

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中国の太陽光発電
~国際社会を意識した経済発展戦略

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

私は、2008年9月のリーマン・ショック以降、米国は、地球環境と資源・エネルギー問題を絡めて、金融システムを軸のまま、改めて世界経済の秩序を再構築し、その経済的な覇権も維持してくるような動きを示していると見ています。

清話会 そして、そうした中で、具体的、表面的に見えるビジネスの軸として、

*電気自動車化
*鉄道の高速化
*電力の原子力発電分野拡大

を推進してくる、否、既に推進してきているものと言えましょう。

こうした世界的な経済の動きの中で、地域・国別セグメントで見ると、注目すべきは、やはり中国本土でありましょう。

GDP規模は既に日本を超えたと言われる経済成長率を見ると、このクラスの世界的経済大国の中で圧倒的に高い成長率を記録、また貿易規模は世界第二位、輸出は世界一位、対外信用力の高さを担保する外貨準備高も圧倒的な第一位であり、鉄鋼、造船、自動車といった現代の産業の核分野に於いても、質はともあれ、量の面では世界のトップクラスに入る中国本土は間違いなく、

「世界の経済大国」として今後の世界経済、ビジネスの分野に少なからぬ影響を与えてくるものと思います。

そして、上述をしたような米国の動きを意識しつつも、或いは、むしろ意識して、中国本土も、電気自動車、鉄道の高速化、原子力発電分野を拡大していこうとする動きが顕著となっているのではないかと私は見ています。

そこには国家としての勢いと、それを支える戦略的国家発展計画が底辺に存在しているようにも、私には感じられます。

しかし、こうした一方で、中国本土には中国本土の特性を生かした、そして国際社会を意識した経済発展戦略も存在しているものと私は考えています。

そして、例えば、環境と資源、そして環境問題を意識して、中国本土にも、

「太陽光発電の建設拡大」
清話会 「電気自動車化への転換」

の積極的な導入に向けた動きも見られ、またそうした延長線上、太陽電池の製造拡大に向けた動きが急ピッチで進んでいると私は見ています。

私がご縁を持つ、日本企業の太陽光発電業務に関与している方から戴いた「太陽電池」に関する資料などを見ると、例えば、中国本土には、既に、

(1)太陽電池セル主要メーカー:大手7社、中堅9社
(2)薄膜Si太陽電池主要メーカー:14社
(3)シリコン原料主要メーカー:17社
(4)Siインゴット・ウェハー主要メーカー:18社

が存在しており、こうした太陽電池関連企業の集積しているクラスターを見ていくと、主として、
清話会 (1)無錫、蘇州なども含めた上海圏
(2)河北省
(3)四川省

などが中心となっています。

中国本土が強いのは、その旺盛な需要を背景として、
「外資に市場としての魅力」
を大いにアピールした上で、こうした太陽光関連企業を中国本土に引き込んだ上で、外資系企業が持つ技術を果敢に学んでいこうとする力であり、また、場合によっては、そうした外資系企業を絵画で買収しようとする動きも示し始めていることではないでしょうか。

そして、当然に、太陽電池に限らず、中国本土は今後、世界の経済の成長分野に於いて、強い国家観、鳥瞰図的・複眼的世界観に基づいた発展戦略を立て、またそれを具体的に実行してくるのではないか、だからこそ、中国本土ビジネスは面白く、また、ある意味では、脅威でもあると私は考えています。

皆様方は一体どのようにお考えになられますか?

真田幸光------------------------------------------------------------
清話会 1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メンバー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している.

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